中東の紛争で特筆すべきは無人機による攻撃が頻発し、大きな戦果を挙げている事だ。 映像:イドリブ東部サラキブでトルコの無人機UAV( unmanned aerial vehicle)がシリア軍を空爆した様子
米軍が最近ソマリアやイエメン、イラクで反政府組織の指揮官やイランの指揮官を殺害したのも無人機による空爆だった。過去ブログ:2020年2月米アフリカ軍が過激派シャバブの指導者2名殺害か?アフリカ 2月米無人機が、イエメンのAQAP最高指導者を殺害 1月米国のソレイマニ司令官殺害と過去の在リビア米大使館襲撃
TB2-en-1536x1024Screenshot(27)シリアでもトルコは無人機UAVによる攻撃を多用しており、地上部隊や戦車をピンポイントで破壊している。この攻撃に対する防衛システムが弱いシリア軍は大打撃を受けている。英文記事 ツイッター映像;A #Syrian #Regime convoy consisting of tanks and armored vehicles were completely destroyed by #TB2 armed #UAVs, near #MaratAlNuman, South #Idlib.
この映像で使われているのがトルコ製の無人攻撃機「バイラクタルTB2」Bayraktar TB2 UAV:上右で、ウクライナなどへも輸出されている。参照記事 この事が、シリアで派手な攻撃を繰り返すトルコ軍の死傷者が異常に少ない結果となっている。トルコ側の映像を見る限り、シリア軍の戦車は、まるでゲームでもしているかのように次々と破壊されている。すっかり、戦場の主役が変わったようだ。
Screenshot_2-768x399Screenshot_129トルコは、地上侵攻と反政府側支援で戦車Leopard 2A4 battle tank(西ドイツ製)を多数送り込んでいる。写真左の右は、シリアでの戦闘で、ISの自爆攻撃などで破壊されたトルコ軍の戦車。
 やはり無人機からの攻撃を警戒するトルコは、戦車と共に、自走式の防Screenshot_1-16-768x388空システムを備えた車両ATILGAN Pedestal-Mounted Air Defence System(トルコ製):右下、左下 をシリアへ送り込んでいるが、戦車は自爆images攻撃や、近距離からの対戦車ミサイル攻撃には弱い側面を持っているため、より無人機による監視や攻撃が重要になってくる。参照記事
ある程度の軍隊を持つ国であれば、すでに高性能な無人機の開発や配備、同時にそれからの攻撃を監視、攻撃をする兵器の開発は避けられない部分で、当然だが日本の自衛隊も開発にかかっている。小型なものを作るのに長けた日本なら、相当優秀なものができそうな気がする。地上監視だけなら、現行法で輸出も可能だと思われ、無人機ドローンの開発は、災害地の調査や、山岳地、海上での捜索にも期待されている。 過去ブログ:2020年1月豪州で、ドローンでサメの接近発見で事故防止と日本の開発  参考:米国ドローン「超ハイテク攻撃」の衝撃 21世紀の戦争はこう変わる
ANKA_TUSAS-12020年10月21日:トルコは2018年に衛星通信を使用して制御された無人航空機(UAV)アンカ(ANKA)-S:右 が実戦で空爆に成功、さらに海外からの輸入に頼るSOTMの国産化とトルコのUAV事情に合わせてSOTMの小型化にも目2019121711152435011-790x480処がたち、2020年7月から国産SOTM:走行追尾型衛星端末 の出荷が始まり、10月9日、「バイラクタルTB2:Bayraktar TB2」:左 や偵察・監視用途の「カラエル」などの小型無人航空機に搭載可能とトルコメディアが報じている。国産の小型SOTMを開発したトルコ企業「CTech」の関係者によれば、小型SOTMは衛星通信を通じてUAVに20Mbpsを超える通信環境を提供でき、このシステムを使用すれば数十機のUAVを同時に制御することが可能らしい。

一般的に無人航空機(UAV)の制御には地上通信アンテナを利用した方法と衛星通信を利用した遠隔制御に対応した方法があるのだが、これはUAVの用途に合わせて選択されるため一方が特に優れているという訳ではない。

地上通信アンテナを利用した方法でUAVの制御を行うと通信距離が見通し線(LOS:飛行高度に左右されるため一概には言えないが100km~200km)に限定される点と、作戦地域に前もって移動式の地上通信アンテナや制御コンソール一式を展開させておく必要があるのだが、衛星通信を利用する方法に比べてコストが安いという特徴がある。

逆に通信衛星を利用した方法でUAVの制御を行うと通信距離の制限(但し通信衛星に通信範囲に左右される)が事実上無くなり、UAVの制御を安全な後方で集中的に行えるため運用効率と柔軟性が向上するのだが、通信衛星を整備したりUAVに走行追尾型衛星端末(SATCOM On-The-Move:SOTM)を搭載する必要があるためシステム全体のコストが高価になりがちだ。

衛星通信による制御に対応した小型UAVが価格面で競争力を失わないかだが、バイラクタルTB2の輸出向け機体単価は推定約500万ドル(約5.3億円)と言われており、関連機器(地上管制装置2基・地上データ端末3基・UAV-Reaper-Drone遠隔映像端末2基等のコンソール一式と搭載弾薬)を含めても1機あたりの導入コストは1,150万ドル(約12.2億円)前後なので、仮にSOTMを搭載することでコストが1.5倍になったとしても機体単価は750万ドルだ。因みに衛星通信による遠隔制御が可能な米国製無人航空機MQ-9:左 の平均調達価格(機体のみ)は約2,000万ドル(約21億円:2020会計年度発注分)と言われている。参照記事 英文記事





nappi11 at 01:30│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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