
すでに2019年10月9日から、トルコ軍によるクルド人居住地域への空爆、地上攻撃が確認されている。右図は公式ではないが、トルコ側の空爆が確認された地域。□は難民キャンプ、○はIS家族の収容施設で、北東部のIS兵士の家族が住むアルホル避難民キャンプ(Al-Hol Refugee Camp)だけで7万人(約半分が子供)が生活している。参照記事 過去ブログ:2019年3月SDFが3月17日戦況報告と収容所の悲惨な状況 シリア東部
トルコの攻撃は予想されていた事で、クルディスタン労働者党PKKのシリアでの民兵組織クルド人民防衛隊:YPG(People's Protection Units)はシリア北部へのトルコ軍の攻撃に備え、居住家屋を陣地に抵抗の構えで、Tal Abyadでは民兵らが民間の住居へ移動していると報道された。民兵らは市民の服装でオートバイなどで監視活動を行い、老人や女性は地域から避難を始めたが、若い市民には移動を制限しているとされ、トルコ側は市民を盾human shields にしていると非難している。


現地10日付の記事では、トルコ軍が地上で国境から約7キロTal Abyadへ向け進攻したとされる。トルコはシリア北部イドリブ圏の反政府支配地域の監視に「(シリア)国民軍 National Army(NA)またはSyrian National Army(SNA)」を組織しているが、越境進攻にはトルコ軍に伴い、この部隊も参加している。先に行われたトルコのF-16Turkish F-16 jetsによる空爆では、ユーフラテス川付近の、国境から30キロ離れたYPGの拠点も攻撃されたと報道されている。上の地図では、Ain-Issa辺りがその位置になる。参照記事

クルド人を主体とする民兵組織「シリア民主軍(SDF)」は国際社会に対し「差し迫った人道危機」から人々を守る措置として、飛行禁止区域を設定するよう要請した。トルコ軍の作戦開始を受け、西側諸国からは批判の声が上がっている。一方、エルドアン大統領は今回の作戦について、クルド人組織と過激派組織「ダーイシュ(イスラム国、IS)」の両方を標的にしたものと説明している。またトルコ政府は、国内のクルド人反政府勢力とつながりのあるSDFの勢力を弱めるために必要なものだと主張。


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右下図は、トルコから9日砲爆を受けた地点(黄色丸)とトルコ主張の安全地帯"Safe zone,buffer zone"(総延長約400キロ)で、Tal Abyad とRas al-Ayn間で約120キロあり、国境から5キロ圏内に約45万人が居住しているといわれる 。トルコは安全地帯"safe zone,buffer zone"に、トルコ国内の360万人のシリア難民を移住させる計画を表明している。 参照記事 参照記事
イラン外務省は10日木曜、声明を発表してシリア領内でのトルコの軍事作戦に懸念を示すとともに、「軍事攻撃は、トルコの治安面での懸念を払拭する方法ではなく、人的・物的に甚大な被害を引き起こすことになる。このため、イランはこの行動に対する反対を表明する」とし、シリアとトルコの間に立って役割を果たす用意があり、現在もこの両国と連絡をとっている」とした。この声明ではまた、「発生した緊張の解消は、平和的な措置や、シリアの領土保全と国家主権への尊重、そしてアダナ合意の実施によってのみ可能だ」とされている。参照記事 アダナ合意については:過去ブログ:2019年10月トルコがシリア北部で戦闘準備 米軍は撤退>9日トルコ攻撃開始

2019年10月12日:アラブ連盟事務総長は、トルコのシリア進攻は、アラブ国家への主権の侵略だと非難し、イラク外相Mohamed Ali Alhakimもトルコの行為を非難した。トルコ側は、作戦開始からクルド兵士399人を無力化neutralised(殺害)し、自軍兵士29人が死亡したと語った。またトルコは、クルド地域にある米軍基地は攻撃対象にしないとしている。 参照記事




トルコ共和国国防省はツイッター(Twitter)で、平和の泉作戦Operation Peace Springにおいて、地上と上空からの攻撃および無人航空機の支援により、分離主義テロ組織PKKのシリアにおける派生組織PYDとYPGのテロリスト480人が無力状態(死亡)になったと発表した。参照記事
コメント
2. Posted by 甲東 2019年10月13日 07:26
日本のトルコ大好き研究者が今でも、PKKは共産主義者、と言っている。本当にそうだろうか。方便として共産主義、ひいてはソ連を利用しただけのような気がする。
1970年代初めのトルコのインフレ率は20%台だったが、79年には100%になったとか。そりゃ、万国の労働者、仕事のない若者は切れるだろう。一方で、トルコ人になれ、クルド文化は今すぐ潰してしまえと言う集団もいた。今でもいる。
異常に単一民族にこだわる理由の一つに、ロシア帝国に勝った日本もほんの少し影響しているかも。時間をかけて、ほんわりと取り込めば良いものを・・・
1970年代初めのトルコのインフレ率は20%台だったが、79年には100%になったとか。そりゃ、万国の労働者、仕事のない若者は切れるだろう。一方で、トルコ人になれ、クルド文化は今すぐ潰してしまえと言う集団もいた。今でもいる。
異常に単一民族にこだわる理由の一つに、ロシア帝国に勝った日本もほんの少し影響しているかも。時間をかけて、ほんわりと取り込めば良いものを・・・
どちらも、相手を完膚なきまでに潰そうとして互いに泥沼状態。いくらでも妥協の余地はあると思うのだが・・・