当面はロンドンから中部リーズLeedsまでの約300キロの電化区間を走行させ、いずれ北部スコットランドの首都エディンバラEdinburghまでの930キロを運行する予定。さらにエディンバラとインバネス、アバディーンを結ぶ非電化区間でも走らせる計画だ。LNERは今後、現行車両を全てあずまに置き換える予定。ロンドン郊外で試運転中の2018年10月16日夜に架線に甚大な損傷を与え、10月17日にパディントン駅の発着便が電気系統の障害により運休や遅れが相次ぐ事故を起こしている。 参照記事 英文記事 参照記事
この車両、イギリスの東部を走ることから日本語で「あずま(AZUMA)」と名付けられ、日立製作所が山口県の工場で車体などを作って組み立てをイギリス国内で行っている。最高時速は200キロで、車内の静粛性などを高めるため新幹線の技術が生かされている。日立製作所は、主要都市を結ぶ高速鉄道の路線で老朽化した車両を更新するプロジェクトにおいて、車両の品質などが評価され、2つの路線で合わせて866両の納入と、27年余りの期間にわたる保守点検事業を受注している。
このうちロンドンと西部ウェールズを結ぶ路線ではすでに2017年10月16日に営業運転を始めている:写真右。この車両の運転速度も最高で時速約200キロ。電化区間だけではなく、電化されていない区間でも走行できるようディーゼル発電機を装備し、日立は鉄道の本社機能を英国に移し、2015年から現地で生産している。また、JR東日本と三井物産はロンドンと中西部の各都市とを結ぶ路線で、安全で時間に正確という強みをいかして営業権を獲得し、2017年から鉄道事業者として運行を行っている。参照記事 参照記事 過去ブログ:2015年3月追記:日本の技術が世界をInspire(インスパイア:刺激する)する!! 英国では、2026年の一部開通をめどに時速400キロの新高速鉄道「HS2」の計画も進めている。参照記事
2020年1月11日:写真は1月11日掲載の East Coast Main Line線を走る「AZUMA」で、記事では、息子と搭乗した記者が快適な乗りごごちを記事にしている。入札経過では、日本で作る車両に労働力が奪われるなど、誤解や誹謗中傷をうけたが、時間が解決するだろう。映像 映像 映像 参照記事
2020年2月11日:イギリスのボリス・ジョンソン首相は11日、イングランドの南北を結ぶ高速鉄道「ハイスピードツー(HS2)」の敷設計画を進めると明らかにした。
HS2は第1フェーズでロンドンとバーミンガムを結んだ後、第2フェーズではマンチェスターおよびリーズと接続する予定で、都市間移動で大幅な時間短縮が見込まれる。一方で、プロジェクト費用をめぐってはすでに大きな批判を受けている。2015年の政府予算では560億ポンド(約8兆円)弱とされていたものの、ある独立調査では1060億ポンドにまで達するとの推計が出ている。ジョンソン首相は、「議論を呼んだ難しい決断だった」と述べた。また、HS2担当相を任命して計画を監督させることを明らかにした。一方で、HS2の開発・推進を担っているHS2リミテッド社を批判した。
HS2推進派は、同鉄道によって移動時間が短縮できるだけでなく、輸送量の増加、雇用創出、南部に偏っているイギリス経済の均衡化などが見込めるとしている。運輸省によると、ロンドンーバーミンガム間は現在1時間21分かかるが、これが52分に短縮される。また、敷設工事中には数千人単位の雇用が見込めるほか、経済成長を刺激するとしている。
第1フェーズであるロンドンーバーミンガム間は当初、2026年末に開業する予定だったが、グラント・シャップス運輸省は昨年9月、これが2028~2031年になるだろうと述べた。第2フェーズは2032~33年開通とされていたが、2035~40年になるとみられている。
ジョンソン首相はこうした中、すぐに計画に取り掛かれば「2020年代の終わりには開通しているだろう」と意欲を示した。またHS2リミテッドについては、「地域社会をうまく取り扱っているとは言えない」と批判。一方で、「推計費用は爆発的に増えているが、これまでのずさんな管理でも、計画の基本的な価値は損なわれていない」と述べた。今後は「計画に規律を復活させる」対策をとるとともに、「再設計をせずにフェーズ1でコストを節約できるよう、調査を進める」としている。
これに対し最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、HS2による経済効果や効率化を支持すると述べた一方で、「保守党政権がコストの処理でひどい失敗をおかし、計画の未来を不透明にした」と批判した。
野党・自由民主党は、「気候変動に立ち向かい炭素排出量を削減するには、国内の航空便を減らして鉄道での移動を促進することが重要だ」として、現在進められているロンドン・ヒースロー空港の新滑走路計画よりもHS2を歓迎すると話した。しかし緑の党のキャロライン・ルーカス下院議員は、HS2も「多くの重要な自然環境を破壊したり、ダメージを与えるだろう」と非難している。
「産業界は拍手喝采」HS2の労働者を代表している全国都市一般労働組合(GMB)は、「数千人の熟練労働者が、このプロジェクトの建設やサプライチェーンに依存している」として、政府に計画進行を促した。イギリス産業連盟(CBI)のマシュー・フェル氏は、HS2は「イギリス経済で景況感を上げるために必要な大胆で決定的な計画だ」と述べ、「この計画を通じて、イギリスはビジネスに門戸を開いていると世界に信号を送っている」と評価した。製造業の業界団体メイクUKのスティーヴン・フィプソン会長も、「産業界はこの大胆で、理にかなっていて、現実的な決定に拍手喝采だ」と歓迎している。参照記事 英文記事