2019年04月27日  商業 経済 欧州 EU
china-silk-road-one-road-one-belt-policyee74c9e2-s2019年4月26日:中国が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路:One Belt, One Road:Belt and Road Initiative (BRI)」に関する二回目となる国際会議が2019年4月25日、37カ国の首脳級が参加して北京で始まった。プーチン大統領も参加するが、摩擦が続く米国は高官の派遣を見送った。参照図(上右の拡大図)
Screenshot(4)中国側は、発展途上国を借金漬けにし「債務のわな(債務トラップ外交:The ‘debt trap’ diplomacy)」に陥(おとしい)れている、との批判への反論に追われた。中国人民銀行(中央銀行)の易綱(いこう)総裁は会合で「一帯一路に関連して中国の金融機関は4400億ドル(約49兆2千億円)を提供した」などと成果を訴えた。「債務のわな」批判に対してはリスクの存在を認めた一方で、「債務が増加しても、インフラ整備や貧困率の低下などに貢献しているならば、経済が成長し長期的には財政の持続性をもたらす」と反論した。劉昆(りゅうこん)財政相も「(途上国の)財政の持続性を評価する仕組みを作り、債務リスクを防止する」と表明した。財政省は同日、途上国の財政持続性の評価に関する報告書を公表。透明性の確保に前向きな姿勢をアピールした。、、、筆者:途上国への資金提供にあわせて、裏取引や、それによる汚職の発生が指摘されていることへのアピールだが、この事は長年言われていることで、しかし、一向に改善されていない状況だ。必ずといっていい程、中国が資金提供した受け側国では汚職問題が浮上している。参照記事
Screenshot(5)a1c0911a一帯一路を巡っては途上国のインフラ整備への資金提供を歓迎する見方があると同時に、途上国を過剰債務に陥らせ、支配を強めているとの批判が根強い。これを警戒したためか、中国の投資を歓迎しながらインドは一回目の北京での一帯一路国際会議に出席しなかった。中国とパキスタンの関係が密なことや、債務トラップや中国企業優先の開発を警戒したと言われている。またミャンマーでは、2009年に中国とのミッソン・ダムMyitsone Dam開発に契約しながら、環境保護や中国有利の内容に反発が起き、いまだに着工できない案件もある。
874393d3スリランカSri Lankaは、一帯一路構想に基づくインフラ整備を受け入れ、巨額融資を受けて同国第3の国際港コロンボ港を建設した。しかし、国の経済規模にふさわしくない巨大港の未熟な運営計画により、返済目途が立てられない。このため政府は2017年7月、同国主要の国際港であるハンバントタ港Hambantota portを、中国側に99年契約で運営権を貸し出した。 参照記事 参照記事 過去ブログ:2018年7月不人気な一帯一路の言い訳に、日本を引き合いに出す中国 2017年8月2017年8月中国の経済支援でスリランカは財政破綻の危機? 2011年10月「中国の勝手は許さない!」とミャンマー国民が中国に反発

中国の「一帯一路」構想は東欧や南欧でも存在感を高めている。
PK2019042602100074_size0イタリアが先進7カ国(G7)で初めて覚書に署名したのに続き、ギリシャは中国と中東欧諸国の協力枠組み「16+1」(1は中国を指す)に参加:右図斜線部。中国の経済力に期待して対中傾斜を強める各国の動きに、欧州連合(EU)の一部では、中国がEUの政策に影響を及ぼすための手段、あるいはEU分断策ではないかと不安と警戒感が高まっている。

AS20190124003688_comm 「ともに経済成長を促進する」と、クロアチアのドブロブニクで4月12日に開催された「16+1」の首脳会議で、ギリシャのチプラス首相は連携強化に期待を示した。ギリシャは今回の会議で旧共産圏以外では初めて正式な参加国として認められたため、来年からは一カ国増えて「17+1」となる。

ギリシャは2018年、「一帯一路」に関する覚書にも署名、対中関係の強化を進める。背景には2009年に発覚した財政赤字隠しに端を発する経済危機がある。EUは融資と引き換えに厳しい財政再建を要求。国民の不満が高まり、反緊縮を訴えるチプラス政権が誕生した。2016年には国内最大のピレウス港が中国企業に買収されたが、国民の根強い反EU感情も中国への接近を後押しする。

 EU加盟交渉中のモンテネグロでも、中国の融資で高速道路建設が進む。だが同国の債務は国内総生産(GDP)の八割に上るとされ、国際通貨基金(IMF)は事業継続は不可能と警告。米シンクタンク、世界開発センターは、パキスタンやモルディブなど、一帯一路に伴う債務負担で脆弱(ぜいじゃく)な財政状況に陥った八カ国の一つにあげる。

0a039774member_countries_img01欧州メディアによると、一帯一路の覚書に署名したEU加盟国は計15カ国。EU主要国には中国の影響力が拡大し、欧州の分断につながるとの懸念がある。それでなくてもEUは、ロシアへの警戒や難民問題から右傾化しEUに反発するポーランド、ハンガリー、チェコなどとの問題をかかえる。EUは2019年3月、中国を「競争相手」と位置付け、対中戦略の見直しに着手。だが2019年3月23日、イタリアがG7では初めて「一帯一路」推進に協力する覚書を締結しフランスが反発する等、 加盟国が足並みをそろえるのは容易ではなさそうだ。EU加盟国情報

「16+1」> 中国が旧共産圏の中東欧諸国と経済関係の強化を図る狙いで、2012年に創設した枠組み。EU加盟11カ国とEU加盟を目指す西バルカン地域の5カ国が参加する。中東欧地域は5億人を超えるEU市場への玄関口にあたり、中国は100億ドル(約1兆1000億円)規模の融資枠を設け、積極的なインフラ投資を進めてきた。参照記事 参照記事PDF:「一帯一路」戦略による中国の東ヨーロッパ進出-「16+1」をどう見るか- 過去ブログ:2019年4月日本からアフリカへ専門家を派遣し一帯一路「借金漬け」を把握 2018年11月ボスニアに集中する中東難民と劣悪な環境での越冬 11月右傾化するポーランド、なぜ欧州に背を向けたか 9月国粋主義台頭に懸念の欧州議会、ハンガリー制裁提案を採択 2016年11月ブルガリアの難民キャンプで暴動 6月英国のEU離脱と日本の政治家が見るべき点



nappi11 at 00:36│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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