a6b4782891c6740ce71c53b6b-b312-42cf-9418-67434173e1a8-large16x9_AP19024580507065019年1月25日:ロシア支援の中で、紛争開始から8年目にして着実にシリア政府軍が国土の3分の2に軍事制圧を進める中、イスラエルは公然と首都ダマスカス近郊のイラン部隊を空爆攻撃し、約1年ぶりに首都圏で爆弾テロが相次いでいる。2019年1月24日には、市のAdawi area地区にあるロシア大使館から数百メーター離れた付近で、自爆テロとも言われ車に仕掛けられた爆弾が破裂した。死者は出なかった。最近1週間で、市内の2~3箇所で爆弾テロが相次ぎ、24日にはトルコ支援の民兵軍FSAが2017年2月にISを排除した北部の Al-Babでバイクに仕掛けられた爆弾で1名が死亡、11人が負傷した。首都での事件の2日前には、北西部のロシア空軍が駐留するラタキアLatakiaでも爆弾テロで1名が死亡14人が負傷する事態が起きている。いずれも犯行組織は不明だが、最近もISはシリア各地で散発的に米軍、SDFをターゲットに自爆テロを行っている。参照記事
2011年からのシリア紛争では、すでに36万人が犠牲になり、数百万人が避難する結果を招いたと報告されている。すでに紛争は内戦の粋を超え、西側、ロシア、周辺国を巻き込んだ国際紛争になり、アサド政権の意向だけでは決着は不可能な状態に見える。
ユーフラテス川沿いのISはシリア、デリゾール県 province of Deir Ezzor東部に追い詰められ、ほぼ壊滅と言われるが、一方でイラク内ではISが勢力を再構築しているとも言われ、また、シリア東部の砂漠地帯Badia desertに兵力を温存しているとも説明がある。
1434676-1623773382Screenshot(1)1月18日のSDFとISのシリア東部、Abu Kamal東部のBaghouz村の戦闘では空爆で20人のISが死亡し、約1000人の住民がSDF支配地域(地図の黄色)に逃げ込み、その中には約300人のISが紛れ込んだと言われる。一部ISはSDFに投降しているが、しかし依然として24日時点では、Baghouz村郊外で徹底抗戦のISとSDFとの戦闘が続いている。写真はクルドSDF軍。

Screenshot(3)D7B20B84-C2FF-4D34-A836-627FF999975C_w1023_r1_s上記の首都圏での爆弾テロについてはISも他の反政府組織も犯行声明を出していない。現在ロシア軍、シリア軍が、イドリブIdlib圏の反政府組織に向け空爆、砲爆を頻繁に繰り返している。これに対する反政府側の首都攻撃とも思える。イドリブ圏では現在HTS:Hayat Tahrir al-Shamが支配力を強めており、一部専門家筋は、HTSがレバノンの中で独立したシーア派武装集団として活動するヒズボラHezbollah(Hizballah)のような軍事組織に成り上がるのではと言う懸念を表している。HTSは多数のイスラム組織を統合したスンニ派アルカイダ系勢力とされるが、内部組織はほとんど分かっていない。旧ヌスラ兵士も含まれると言われ、スンニ派原理主義武装組織と見られている。参照記事
1b1ba0d575554c02acb4c638bdc872f9_181月23日、トルコのエルドアン大統領はモスクワでプーチン大統領と会談し、イドリブ圏の安定のために「テロリスト」への攻撃を行うことで合意したと報道されている。同地域は、反政府組織HTSにより悪化しているとの認識で、これはトルコ側が送り込んだ国民解放戦線NLFが撤退せざるを得なく成った状況を指していると思われる。また、トルコがトルコとのシリア国境沿いに長さ30キロの安全地帯safe zoneを設ける提案を行い、ロシア側が了解したと取れる記事内容になっている。執拗にクルド人をPKKと同一視するエルドアンの恐怖症は、クルドとトルコの新たな対立を生みかねない。
d186e875-s1cc2c5ef米国もまた安全地帯の設置を提言しているが、これはマンビジュ地域をトルコ軍から守るための提言で、場所は右下の図の、マンビジュManbij西部側を指している。現在この地域では、撤収を控える米軍に代わってロシア軍、シリア軍がパトロール部隊を配備し、マンビジュ地域民兵がトルコの進入に備えている。一方でシリアクルドYPG首脳は、アサド政権との将来的な協議を開始するとしている。アサド政権は、2018年初めから、アフリンAfrin地域、シリア北部がトルコ支配下にある事に不満を持っていて、それはクルド人も同じだ。 参照記事 英文記事 英文記事 英文記事 英文記事 英文記事 英文記事 英文記事 過去ブログ:2019年1月米軍撤収に向けトルコへの恫喝繰り返すトランプ シリア 1月イドリブ圏全域を反政府HTSが掌握か シリア 2018年12月紛争相次ぐデリゾール東岸油田地帯 シリア東部ISの抵抗

nappi11 at 05:46│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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