s_wo-aw155a_pakch_9u_20150416170335財政難にあるパキスタンは、中国との国境付近の開発地域・中パ経済回廊 CPEC:China Pakistan Economic Corridor で予定された600億ドル(約6兆円)規模の石炭発電プロジェクトの保留を決めた。供給電力が「すでに十分確保できる」ため、計画の見送りを中国側に伝えたという。現地英字メディア・ダウンが2019年1月14日に報じた。
pakistan-map_030913052259中国融資を主とする開発計画・中パ経済回廊は、中国北西部の新疆ウイグル自治区カシュガル喀什市Qeshqer,Kashugarと、アラビア海に面するパキスタン南西部のグワダル港Gwadarを結ぶ3000キロ地域:左 一帯を指す。幹線道路の整備ほかガスパイプライン、ダム、風力、石炭、太陽光の各種発電施設、港湾と空港、通信インフラなど数十の開発計画がある。中国共産党政権主導の大陸間経済圏構想、一帯一路の一環でもある。
保留となったのは、同国北部パンジャブ州で中国輸入の石炭により1320メガワットを生産するラヒム・ヤカーン(Rahim Yar Khan)石炭発電プロジェクト。2018年8月に2c1f9730発足したイムラン・カーンImran Khan現政権は、向こう数年間に供給できる発電容量は十分に確保できるため、この大型電力プロジェクトにはすでに関心がなく、保留することを中国側に伝達したという。石炭発電は輸入石炭ベースで、政府筋は「全く必要のないプロジェクトで、すでに悪化している電力部門の財政の負担になる」と語った。カーン政権は現在、中パ経済回廊の関連プロジェクトを含む公共事業9cf05b192f648d901c52c152a25d5847_XL計画を大幅に見直している。同政府筋によると、水不足対策と発電のためのディアマル・バシャ(Diamer Bhasha)ダム計画も、中パ経済回廊にリスト入りしているものの進展はないという。記事は政府関係者の話として、内閣は公共開発計画から「政治的な動機付けによる」400あまりのプロジェクトの削除を固く決意している、と報じた。
3131e8a7すでにパキスタン新政権は2018年10月、中国から中国が運営権を持つグダワル港までの高速鉄道化計画の予算縮小を発表していた。中国にとってグダワル港は、ここを中継地とする中国海軍への兵站路線として、また将来的な石油、天然ガスの中国向けパイプラインでの送り出し地として重要だと思われ、これが「経済回廊CPEC」計画の本格始動だった。過去ブログ:2015年4月中国がパキスタンへ歴史的大型投資と国境、民族、宗教問題 過去ブログ:2019年1月2018年11月のカラチの中国領事館襲撃にインド情報部関与? 2018年10月頓挫したか?パキスタンでの高速鉄道計画 一帯一路はアフリカへ 2018年7月IS、タリバンの自爆テロ相次ぐアフガン、パキスタン 米軍は縮小?と中国  2017年8月政界混迷のパキスタンで、ISが自爆テロ攻撃と中国の過剰投資 2017年6月中国人教師殺害のIS犯行声明の信憑性と背景 パキスタン 2016年2月「一帯一路」の中国貨物列車イランに到着と中央アジアへの意味 2015年4月中国のパキスタンへの大型投資を別な視点からみる 2015年4月中国がパキスタンへ歴史的大型投資と国境、民族、宗教問題 英文記事 参照記事  英文記事


nappi11 at 05:30│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメント

1. Posted by 甲東   2019年01月20日 07:22
今のところ特定の国にのめり込むことなく事を進めている感じです。でも、明るい兆しがある訳でもない。
2. Posted by 甲東   2019年02月13日 19:28
パキスタンが、イスラム教の学校であるマドラサの改革を行うことにしたそうです。サウジ等からの資金援助を受けているものが多く、過激派の温床になっていること間違いなしの存在です。まあー、どう改革するかは不明ですが、きっとまともな方向でしょう。効果が出るのは20年、30年先・・・相当な反発があるはずですから、エキセントリックな連中の退治にもなりそう。

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