2018年12月16日  犯罪 アメリカ、カナダ
RS17112804img_7071d61858d6bd1477f2fb71003b3d03112519すでに過去ブログ:2018年12月中国製の鎮痛薬による第二の「アヘン戦争」カナダへ侵攻 で、フェンタニルの蔓延を書いたが、 米保健当局は2018年12月12日、オピオイド系(opioid:ケシを材料にする麻薬性鎮痛薬やその関連合成鎮痛薬など化合物)の合成鎮痛剤フェンタニルFentanylの過剰摂取による国内の死者数が、直近の統計となる2016年に1万8000人を超え、ヘロインの死者数を上回ったと発表した。米疾病対策センター(CDC)の下部組織、米国立衛生統計センター(NCHS)は、完全なデータが確認できる直近年に当たる2016年に、Screenshot(1)「薬物の過剰摂取による死亡件数の29%でフェンタニルの関与が言及されていた」と述べている。左の図は、米国NCHSによるオピオイド系の過剰摂取による人口10万人当たりの死亡者の増加を表したもので、ほかの、コカインなどによる死亡者は表示していない。米国での、コカイン、メタンフェタミン(合成麻薬)の10万人あたりの死亡者増加は右下。

 フェンタニルは強力な合成鎮痛剤で、脳に働きかけて鎮痛効果をもたらす点でモルヒネやヘロインと似ているが、効果は50~100倍とされ過剰摂取につながりやすい。ロック歌手のプリンス(Prince)さんやトム・ペティ(Tom Petty)さんも、フェンタニルの過剰摂取で死亡してScreenshot(2)いる。米国ではオピオイド系鎮痛薬のまん延が問題となっており、過剰摂取による死者数は1999~2016年に3倍に増加。フェンタニルが絡んだ過剰摂取死は、「2013年には10万人当たり0.6%だったのが翌14年には1.3%、15年には2.6%、16年には5.9%」となり、毎年倍増しているとNCHSは報告している。 アメリカでは過去20年間で、オピオイド系麻薬性鎮痛薬)による死者が20万人を超えているといわれる。参照記事 

4UPGACX4PVDN3D3TN444NFEU24一方、ヘロインや興奮剤メタンフェタミンによる死者数は2011~16年に3倍以上増加した。2012~15年はヘロインが過剰摂取死の原因トップだった。参照記事 参照記事 、、注目すべきは、他のヘロインなどによる死者数が減ったのではなく、他の麻薬による死者も激増している事だ。合成麻薬の中国、北朝鮮、ヘロイン、大麻のアフガン、コカインのメキシコ、南米など、原産国、供給国への対応を早急に強化しなければならない状況だ。参照記事:Fentanyl smuggled from China is killing thousands of Americans 過去ブログ:2018年6月中国人6人、メキシコでマネーロンダリング容疑で逮捕 2017年8月中国発の麻薬フェンタニル過剰摂取で年に数万人が死亡 米国 2015年4月遅すぎる豪州の麻薬対策 2013年3月中国からの過去最大量の合成麻薬押収 オーストラリア 2012年11月中国経由で大量麻薬密輸 オ-ストラリア

2019年3月27日:カナダは、米国に次いで、強力な(合法的)医療用麻薬であるオピオイド系薬物の乱用によって、2017年1年間で4,000人近くが死亡していることが政府から発表された。これは毎日11人がオピオイドで死んでいることになる。2時間ちょっとで1人死ぬということになる。(「グローブ・アンド・メール」2018年6月20日 参照記事)2016年1月から2018年3月までにオピオイド関連死は8000件以上といわれる。参照記事

indexカナダにオピオイド系薬物が広がったきっかけは、1996年に米国のパーデュー・ファーマPurdue Pharma社のオキシコンチン(OxyContin、オキシコドンoxycodoneの製品名、半合成麻薬)が、フェンタニル等より薬物依存性が少ない、痛みを緩和する処方薬として認められ、それまで、主に末期がんの患者に使われていたオピオイド系鎮痛剤が、より広く処方されるようになってから、今日の「危機的」なまん延状態にまでなった。パーデューは、オキシコンチンは、他のオピオイド系より安全で、依存性が少ないとして、医者に、痛みの軽い症状にも広くオキシコンチンを処方するように働きかけ、多くの医者が、これをより一般的な腰痛から原因不明の全身に激しい痛みがあらわれる線維筋痛症(ファイブロマイジア)という中高年の女性が多くかかる難病にも広く使えると言われて、今日まで、オピオイドの過剰処方につながっているという。

アルジャジーラテレビによると、現在アメリカが薬物中毒問題に苦慮する中、同国の製薬会社パーデュー・ファーマ社が、自社の違法薬品を販売するために詐欺的な方法を採ったとして訴えられ、同社は、アメリカでの麻薬中毒を拡大させているとして、賠償金2億7000万ドルの支払い命令を受けた。同社は米国での販売はやbb1d0673め、カナダでのマーケティング活動も、カナダ保健省の呼びかけに応えて、一切の宣伝や医者への売り込みを止めることにしたばかりだが、つい最近まで続いていた。カナダ政府はまた違法フェンタニルの一大供給国・中国などからの密輸の取り締まりを強化する措置をとる一方、違法オピオイド系薬物の売人や犯罪組織の取り締まりも強化している。しかし、需要がなくならない上に、オピオイド系薬物の供給過剰という状態が一向に変わらない限りは、「オピオイド危機」の解決は遠い。ここでもまた、中国からの密輸が大きな問題となっている。 参照記事




nappi11 at 03:16│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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