やはりというか「韓国企業が設計施工のダム決壊は人災が濃厚」と言う記事が2018年7月26日に出たので、過去ブログ:2018年7月ラオスでダム決壊 数百人?が行方不明 への追記として以下に編集する。
ラオスで23日にセピエン・セナムノイダムXe Pian Xe Namnoy damの補助ダムが決壊して少なくとも26人が死亡し、131人が行方不明になった事故は、施工管理の韓国企業による人災が濃厚だ。補助ダムは、コンクリートを使用しないロックフィルダムRock-fill damだった。米国のstartribune.comは事故の3日前からダムの弱体化が観察されたと伝え、「ラオスで進行している70以上の水力発電プロジェクトは、ほとんど民間企業が所有、運営しており、当局が即時にダムの計画、設計、管理を検討しなければならない」と警鐘を鳴らした(Questions raised as villages dig out from Laos dam collapse)。
dam-ph-02dam_il_02通常のメインのダム(発電などを行なう)は、山間部で水を堰き止めるために巨大なコンクリート壁で構築する。アーチ式コンクリートダム、重力式コンクリートダムなどが、その典型的なダムで、右図の群馬県 道平川ダムの様な重力式コンクリートダムは、水圧を堤体の自重で支える構造で、三角形の断面をもっている。構造が単純で、基礎地盤はある程度の強度があれば大丈夫と説明されている。
n84w7sW今回決壊したのはメインのダムXe Namnoy dam(高さ73.7メートル、堰堤(えんてい)幅1.6キロ、容量10.43億トン、アースフィルダムEarth-fill dam)の周りにある補助ダムSaddle Damのひとつで、補助ダムを運営している「Xe-Pian Xe-Namnoy Power Company's」(PNPC)のプロジェクト計画によれば、このダムプロジェクト「Xe Pian Xe Namnoy dam」は、Xe Pian(0.3億トン)と Xe Namnoy(10.4億トン)の二つのメインダムで構成され、ダムは建設中と伝えられたが、ダム本体は建設が終わり、あとは発電機と送電設備を残すだけだった。ラオスで韓国企業が始めて受注したBOT(建設、運営、移転)プロジェクトで、5カ月も工期を短縮してダム本体工事を終えたとの報道もあり、またこの工期短縮で、SK建設は発注側から22億円の不可解なボーナスを受けていたと指摘されている。参照記事
dam_il_06今回の災害は、巨大な堤防ともみえる補助ダムの決壊が原因で、左図の様な「表面遮水型ロックフィルダム」仕様では、アスファルトやコンクリートで、堤体の表面で遮水する。遮水部分が表面にあるので、施工やメンテナンスがしやすい利点があるとされる。参照記事
1ajVyvW右の決壊した補助ダムの写真では、土砂を砕石で覆い、表面をアスファルトで固めてあるようで、一見巨大な河川敷の様に見える。YOUTUBE映像
モンスーンという雨季の在るこの地域で、7月20日に、この補助ダム上部で11cmの沈下が確認された際、まず成すべき対応は水位を下げる放流と警告だが、23日に決壊が確認されるまで、それがされたとの記述は無い。
決壊1532607535_bした補助ダム(左図の赤い部分 :Saddle Dam D)はXe Namnoy damの貯水を補助するダムで、これには放水機能は無く、決壊が起きるまでの1週間の間は雨と強風が続き、悪天候で沈下に対する修復工事は困難で、水位が3~5m上昇している事が確認されたが、上昇する水位に手の打ち様がないまま上部から決壊し、下流の小さな川に一機に流れ出たようだ。また、決壊が確認されるまで避難警報は出されなかったとの報告から「人為的原因説」が浮上している。ラオスにはすでに70以上のダムがあり、非常警報の在り方などに緊急な見直しが行われている。
PYH2018072522030007600_P4Screenshot(2)結局、写真左のメインのダム(Xe Namnoy dam と思われる。その右図はメインダムの位置関係と仕様)が立派でも、巨大な貯水池の周りで、他の支流への流れを堰き止めている補助ダムが沈下を起こすような弱い物だったか、或いは、補助ダムの設計が現状に見合った物ではなく、さらに悪天候の中、SKの初めての同国でのダム建設で、現場の状況把握が甘かった結果の災害では無いだろうか? 天候や地盤など自然に問題があったにしても、少なくても、監督責任は追及される事になるだろう。 参照記事 参照記事
7月20日の11cm沈下発見以降の経過は、7月22日、日曜日現地時間 21:00  (14:00 GMT) :この時建設チームは暴雨によって該当の補助ダムが部分的に破損されたことを見つけ、ラオス政府に住民の退避を要請し, 修理のために人員を派遣したが劣悪なラオスの 道路 状況と暴雨に遮(さえぎ)られ到着が不可能だった.
23日月曜日 03:00:水位を下げるためにメインダムで水を排出し始める.

23日月曜日 12:00ラオス政府が一歩遅れて退避指示を始める

24日火曜日 01:00洪水が始まる.

事件経緯を見れば実は十分に避難できる時間もあったし, 事故自体がなかったかも知れなかった。被害はラオスで40人死亡100名以上不明、6600人が避難、ラオス南部のカンボジアでも5000人が避難との記事があり、ベトナムメディアは26日、70人以上が死亡し、200人以上が行方不明になったと報じた。 参照記事

韓国政府はセピアン・セナムノイダム決壊事故が発生したラオスに緊急救援隊を派遣し、100万ドル(約1億円)規模の救援物資・救援金を支援することに決め、このうち毛布や衛生キットなど生活必需品中心の現物支援分は29日に軍輸送機で民間支援救援物資とともに送られる予定。救援隊は医療スタッフ15人と支援スタッフ5人。軍輸送機で現地に向かい、被災地の感染症予防などの活動を行う。先発隊は26日に出発した。参照記事

minister-khammany-dam-failure-800x6002018年7月28日:ラオス南東部のアッタプー県で発生したダムの決壊事故を受け、ラオスのカンマニー・インティラートエネルギー・鉱業相The Laotian _102674359_laos_dam_map2_640-ncMinister of Energy and Mines, Khammany Inthirath:右 が26日の記者会見で補助ダムに亀裂が生じた事を指摘し「基準に満たない低水準の建設が事故の原因」との見方を示した。27日、ラオス国営通信、その他が報じた。また、「降り続いた大雨が原因」とする企業側の主張をはねつけ、「開発会社は全てを補償する責任がある」と発言した。

power-company-to-accept-responsibility-for-dam-collapse-800x600補助ダム決壊による濁流はセピアン川に合流し下流域の7つの村を襲い、特に2つの村は被害が大きく、そこにある200家屋のうち残っているのは10棟だけだといわれる。住民はダム決壊の3~4時間前に避難警告を受けたと語り、そのときは、水かさがそれほど増すとは思っていなかったと語っている。参照記事 参照記事 参照記事 参照記事



nappi11 at 18:08│Comments(4) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメント

1. Posted by 甲東   2018年07月28日 07:51
動画を見ていると、ロックと言うよりアース(土)という感じですね。日本の豪雨で川の堤防が決壊したような印象。オーバーフローするとあっという間に壊れるような話があった。ロックにしろアースにしろ、人間の低技量、手抜きが一層致命傷につながりやすそう。作業員はほとんど現地人か。かと言って、低開発国で多量の配筋を組み、コンクリート造にするのは多大の時間がかかる・・・ダムでは非常識なんでしょうが、鉄を溶接して構造物を作る方が圧倒的に速い。
素人発言ですが、補助ダムと言うより、脇ダム、副ダムの方がより日本の専門用語に近いような。役目は補助ですが。
2. Posted by POPPO   2018年07月28日 10:39
ラオスのエネルギー相がカンカン、トボケた事をヌカす韓国企業の工事レベルを糾弾・・・もめますよこれは。w

【バンコク=岸本まりみ】ラオス南東部のアッタプー県で発生したダムの決壊事故を受け、ラオスのカンマニー・インティラートエネルギー・鉱業相が26日の記者会見で「基準に満たない低水準の建設が事故の原因」との見方を示した。27日、ラオス国営通信が報じた。「降り続いた大雨が原因」とする企業側の主張をはねつけた。

 決壊したセピアンセナムノイダムは韓国大手財閥SKグループのSK建設と韓国西部発電、タイ政府系の発電大手ラチャブリ電力、ラオスの国営企業が合弁で建設していた。筆頭株主は26%を出資するSK建設。2013年に着工し、19年の稼働を目指して建設を進めていた。

 被害の全容はなお不明だが、ダムの決壊で周辺の村落が水没。少なくとも27人が死亡、3千人以上が家を失ったことが確認されている。
日経新聞 7月27日

韓国SKグループの株が急降下中、連中の心配事はこのダム崩壊で韓国の建設会社の信用が無くなる事。んなものは最初から無いのだから被災者の心配をしろと、私は言いたい。w
3. Posted by POPPO   2018年07月28日 11:26
アジアだけではなく中東・ヨーロッパを股にかけ悪名を轟かせるかも。w

【ソウル聯合ニュース】トルコ西部、ダーダネルス海峡を横断する世界最長のつり橋建設・運営計画で、韓国の大林産業とSK建設がトルコの大手ゼネコン2社と組んだ企業連合(コンソーシアム)が日本勢などとの激しい争いの末、27日に優先交渉権を獲得した。この受注合戦は韓日間の「代理戦」の様相を呈し、注目を集めた。
 韓国建設業界が31日に伝えたところによると、このプロジェクトはダーダネルス海峡に架かる全長3.7キロのつり橋と前後の道路を建設し、運営するもの。民間が資金を調達して建設し、建設費を通行料収入で回収する建設・運営・譲渡(BOT)方式で、橋などをトルコ側に譲渡するまでの運営期間が最も短いグループが落札する。以下略
朝鮮日報オンライン 2017・1・31

大丈夫ですかぁー、いろいろ無理して工事を受注しているそうだから、また手抜きが・・・ありそうな悪寒。w
4. Posted by 名無し   2018年07月29日 00:55
中身が砂利だからアースダムなんだろうけど、この形で中身が砂だけで大丈夫なの?って位に裾野が狭く切り立っているように見える
これ単に満水時の水圧に耐えられなくて決壊しただけなんじゃ…

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