16056288-largeロンドン西部の公営高層住宅「グレンフェル・タワーGrenfell Tower」の火災(The Grenfell Tower fire)について、ロンドン警視庁The Metropolitan Policeは2017年6月23日、出火元は4階(日本の5階)の住宅とみられ、米家電大手ワールプールWhirlpoolが販売した「ホットポイント」ブランドの冷凍冷蔵庫:モデルFF175BP、2006~2009年に製造 Hotpoint fridge-freezer (model number FF175BP、 manufactured between 2006 and 2009)が発火元だと発表した。
41B1BEB800000578-0-image-m-11_1498265267365英国向けの FF175BPモデルは、冷蔵庫裏がプラスチック製になっており、メディアの耐火試験では55秒で燃え上がった。裏が金属パネルの物は、発火しても炎上しなかった。同タイプの冷凍冷蔵庫には、性能に問題があるとしてリコールされたものもあるが、FF175BPタイプは対象外だった。参照記事

tp-graphic-killer-claddingまた、建物の外装材と断熱材が警察の安全性試験に合格しなかったという。警察が外装材と断熱材の安全性試験を行ったところ、いずれも基準値に満たず、試験では外装タイルよりも断熱材の方が先に燃えはじめ、燃え方も速かったという。右は6月22日付けの英国紙The Sunの記事からで、外装材Claddingなどが説明されている。
前回の記事では、外装パネルの表材が亜鉛メッキ鋼板とする説明図を使ったが、The Sunの説明図では3mmのアルミ板でポリエチレン製芯材をサンドウィッチにしたパネルが使用されていたと説明されている。ポリエチレンは可燃性flammableだが、軽いのでパネルの補強芯材として使われているようだ。パネル芯材としては、アルミのハニカムHoneycombを挟み込んだ耐火不燃パネル:左 もあるhoneycombが、安いポリエチレンが採用されたとの記事もある。 使用図に、筆者の判断も含む日本語説明を加筆した。図では、内部火災の高熱が通気スペースに流入し、その結果、外装パネルのポリエチレンが燃え上がり、結露防止の通気用の隙間50mmが煙突となり全体に燃え上がったと説明されている。参照記事
鑑識作業の終了には年末までかかる可能性もあり、「残念ながら、すさまじい熱のせいで、死亡した全員を発見できなければ、身元特定もできないかもしれない。ひどい話だが、これが現実だ」と警視は説明した。火災では少なくとも79人が死亡した恐れがあり、タワー棟の近くの集合住宅も含め、151戸が焼失した。現在専門捜査官250人の態勢で捜査に当たっており、警察は、業務上過失致死や防火基準違反などGrenfellの疑いで立件を目指す方針を示した。グレンフェル・タワーの建設と修繕に関わったすべての企業も、捜査対象になるという。また、政府のコミュニティー・地方自治省は、安全性が懸念される外装材を使った公営高層住宅は9行政区に14棟あると発表した。参照記事 英文記事 過去ブログ:2017年6月ロンドンで高層マンションが炎上 行方不明多数
2017年6月27日:燃え上がった外装パネルcladdingを供給したアルコニック社Arconic Incが、被害家族らから起訴される可能性があり、もし同社が可燃性だと知っていた場合、過失致死罪も在りうるとされる。同社はすでに、高層建築物への出荷を自主的に中止している。 参照記事
2017年7月13日:6月14日未明にロンドン西部で発生した高層公営住宅「グレンフェル・タワー」の火事で、被害者のうち少なくとも1人が、シアン(青酸)中毒と診断されていたことがBBC番組「ニュースナイト」の取材で分かった。グレンフェル火災で何が青酸ガスの発生源になったかは、まだ不明だ。ただし、建物の外壁に使われたフォーム断熱材が燃えると、青酸ガスが発生することは分かっている。タワーでは2015~2016年にかけて、1000万ポンド(約15億円)規模の大規模修繕工事が行われた。この際に外壁に使用された素材の上層部は、アルミの間にプラスチックを挟んだ、耐火性の低いものだと判明し、炎の延焼との関係が注目されている。
セントラル・ランカシャー大学のリチャード・ハル教授(化学・火災科学)は、「プラスチック製のフォーム断熱材は窒素を大量に含むため、燃えると一酸化炭素とシアン化水素が発生する」。シアン化水素の気体は青酸ガスだと説明する。
断熱パネルに使われたポリイソシアヌレートフォームとは硬質ウレタンフォームの中でも、イソシアネートの三量体(イソシアヌレート)とイソシアネートとポリオールが反応してできた、難燃性の高い素材といわれ、一定の割合以上にイソシアヌレート環を含むフォームに「ポリイソシアヌレートフォーム」という呼称を用いている。ウレタン断熱材製造業者の業界団体は、「ポリイソシアヌレート(PIR)がとりわけ危険だと示唆する証拠はない。英国建築研究所・火災研究ステーションがPIRパネルを使った建物を試験したところ、使っていない建物に比べて特に危険な煙や有毒ガスが増えるという結果は得られなかった」と語っている。参照記事

nappi11 at 11:28│Comments(9) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメント

1. Posted by 甲東   2017年06月25日 14:21
基準はちゃんとしていた、その基準を満たす外装材が使われていなかった、ということならば、殺人に近いことですね。規制緩和で、野放しか・・・野放しにした役人も幇助罪で罰しないと・・・アホな業者にひどい目に遭うのは国民、はやめて。
今治市、愛媛県の10年後はどうだろうか・・・
2. Posted by 甲東   2017年06月25日 18:23
セロテックスという150t断熱材は植物繊維から出来たものと。セルローズから来ているのか。悪く言えば、ビルの外側をわらで覆ったような。あちゃー
セロテックスそのものはアメリカの会社のもののようです。
3. Posted by 北の国から猫と二人で想う事   2017年06月25日 19:59
国産品では見かけないが、北欧や多分カナダでは木材をパルプ化したものから断熱材を生産している。フィンランドでは相当前から多く使われている。
4. Posted by くすのきのこ   2017年06月25日 20:07
こんにちは。噂ではワールプールとは言え、欧州市場の製造はHaierの子会社
だそうな。めーど・いん・ちゃいなprc だという・・。そしでビルそのもの
には・・不法滞在とか・・異国人とか・・も結構多かったと。
もちろん・・英国とは、散々シェークスピアが書き散らしたように裏切りの国。
彼の作品は裏切りなくして成立しない・・そんなお国柄なのは現代も変わらない。英国で生じる諸事は単純ではない。世界有数の民間軍事企業を保持する。
王室関係者が主催するものもある。加えて警察国家。半年ほど前に火災危機が
警告されてた・・。

5. Posted by 甲東   2017年06月25日 21:24
イギリスのセロテックス社が、とりあえずの緊急対応として、18m以上の高さのものに対して、RS5000という製品の出荷を止めると言っています。
日本の建築基準法すら知りませんので怪しい話しですが、イギリスでは高さ18m未満の集合住宅で、1時間の耐火性能があれば木質系構造の建物はOKのようです。カナダもほぼ同じような。ただ、外装材は強度メンバーでは無いはずですね・・・
これからいろんな話しが出てくるのでしょう。セロテックスが全面敗北ではないかも・・・消火設備との兼ね合いとか・・・法には外装材の規定が無かったとか・・・
6. Posted by 甲東   2017年06月30日 08:19
外装材はアルコニック社のReynobond PEと。アルミの融点は660℃位ですから、すぐ溶けてポリエチが燃えるようです。火災が起こると、700、800℃には直ぐなる。ポリエチの代わりに難燃材を芯に使ったReynobond FRという商品もあるようですが、1m2当たり(たった?)2ポンドほど高いとか。
芯材が可燃物の外装材は、ドイツでは1980年代から22m以上の建物で禁止、アメリカでは15m以上で禁止、イギリスでは規制無しという噂もあります。本当なら、政府もただでは済まない。

アルコニック社は、昨年、アルミ業界の巨人アルコア社が2つに分かれて出来た会社だそうです。まともな会社で未だ良かった、と思うしか無いか・・・断熱材の会社もまともそう・・・2社は素材を供給しただけで、別の設計、施工会社に責任が生じるのかも。
7. Posted by 北の国から猫と二人で想う事   2017年06月30日 10:20
参考になりました ありがとう。
8. Posted by 甲東   2017年07月02日 06:40
神戸市消防局が面白い記事を載せています。冷蔵庫は燃えやすい?
city.kobe.lg.jp/safety/fire/information/anzen/reizoko1.html
ロンドンでも週に数件のぼや騒ぎがあるような。今回の冷蔵庫には異常な特殊事情があったかも知れませんが、もともと結構危ない物という認識は持った方が良さそう。
最近は冷媒としてイソブタンR600がよく使われるような。量が少ないため大きな爆発はしないと。でも、燃料としてもよく使われるブタンガスですね・・・
9. Posted by 甲東   2017年07月20日 17:34
本日久しぶりに朝日が火災の記事を載せていました。
朝日がインタビューした防災コンサルタントが言うには、イギリスの法は、今回のような外壁材の使用を明確には排除していない、と。“ちゃんとせーよ”、だけなんでしょうね。日本の規制緩和と同じで、実質、野放しか・・・
どこかおかしいですよね。素人に“燃えやすさ”を判断させるのと同じじゃん。これを自己責任と言うのだろうか。竹中のような金しか興味が無い人間に決定させていないか・・・素人でも安全に暮らせる国でないと・・・

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