トルコのエルドアン大統領Turkish President Recep Tayyip Erdoganは今回の国民投票にあたり「大統領の権限が強まれば、危機に素早く対処でき、国が安定する」と主張し、しゃにむに勝利を目指し、2017年4月16日、大統領権限拡大の是非を問う国民投票に僅差で勝ったばかり。不正投票疑惑が当然湧き上がったが、ほとんど独裁体制下では究明は不可能だろうし、それも彼の計算の内だろう。反政府、反エルドアン政権に対する弾圧と人権無視、死刑復活(トルコは2002年、EU加盟交渉を始める条件として死刑制度の廃止を決定)を唱えるトルコのEU加盟はさらに遠のき、トルコはロシアとの経済関係を拡大するだろうと言われている。

今回の大統領権限強化は基本的には「議員内閣制から大統領制への移行」を目指すもの。首相職を廃止し、大統領が副大統領・閣僚らの任免権、大統領令の発令、国会解散、非常事態の発令、政府予算案提出などの権限を保有するというのが主な内容だ。とりわけ憲法裁判所などの判事の任命権を大統領に付与したことで、司法への影響力が格段に強まり、3権分立が危うくなったと言われている。イスラム教国でも世俗的といわれ、政教分離が国是だったトルコだが、大学や公務員のヒジャブ着用を認めるなど、これまで以上にイスラム化が進んでいる。
東部のPKK攻撃はいっそう過激になり、空からの攻撃が激化している。トルコ軍は4月25日の声明で、PKKの「テロリスト」をイラク北部で40人、シリア北東部で30人を空爆で殺害したと発表し、クルド人と共闘する米国は懸念を表明している。左は、死亡したPKK兵士。PKKは、イラク北東部Sinjar、シリア北部を東西に横断するRojava(西クルディスタン)地域を自治地域と主張している。参照記事

トルコでは同日、ギュレン師支持者の一斉摘発が行われ、関与が疑われる1000人以上が拘束された。トルコでは数カ月にわたり、こうした一斉摘発が相次いでいる。大規模な「ギュレン派」摘発に欧州各国は警戒を強めており、欧州連合(EU)加盟交渉の停滞につながっている。参照記事 参照記事 過去ブログ:2017年4月トルコ、シリア北部の作戦終了を宣言 3月トルコ大統領、オランダを「ナチの残党!」と罵倒 2016年7月トルコで吹き荒れるギュレンパージ(ギュレン粛清)