2016年12月28日:12月20日に行なわれたモスクワでのロシア・イラン・トルコ外相会談でロシア、イランのシリア支援の強化が確認され、その後の「モスクワ宣言Moscow Declaration」に従い、本来アサド政権復活を望んでいないトルコは、ロシアとイランの支援を受けたアサド政権軍によるアレッポ制圧を渋々ながら受け入れた。トルコを押さえ込んだロシアのシリア覇権は確実になり、同時に、トルコのエルドアン独裁体制もロシアに補完されたことになる。アンドレイ・カルロフ駐トルコ大使が12月19日トルコで暗殺されたことで、エルドアン政権が暗殺やクーデターの黒幕とする、米国に事実上亡命しているトルコのイスラム指導者ギュレン師(75)支持派、トルコ国内の分離独立主義PKK、さらにアサド政権を脅かすシリアの反体制派、IS全てがトルコ、ロシアの共通の敵となっても不思議は無い状況と成った。
クルド支援で米国、有志国軍はシリアで空爆を続行しているが、これについてロシアは今後も、照準がクルドの敵ISである以上は黙認する方向だろう。シリアのクルド民族を代表する西クルディスタン(Western Kurdistan)移行期民政局は先の外相会談の結果に対し、西クルディスタンとしてシリア領内で他民族を含む連邦制を維持したい意向を表明しているが、もしロシアがこれを容認する方向なら、ロシアに従属するしかないトルコ、シリアがこれを渋々容認する可能性もある。クーデター未遂事件後経済低迷のトルコは、ロシア産天然ガスのパイプライン「トルコ・ストリームTurkish Stream」をすでに承認、批准しており、ロシア向け農産物の輸出、ロシア向け労働者の派遣にも取り組んでいる。
シリアはすで

に、ロシア、イランの軍事的、経済的支援がなければ立ち行かない状況なのは明確で、ロシアを核にした新たな経済圏の出現に、すでにイランまでNew Silk Roadで貨物路線を伸ばした中国も近い将来進出してくるだろう。トルコがロシアに取り込まれた結果、トルコのEU加盟が完全に頓挫したとして、ロシア制裁継続を表明する欧米が今後どのように出てくるのかは不明だが、現時点ではロシアの先手に屈したように見える。すでにロシアは、Brazil, Russia, India, China, にSouth Africaを含む、BRICs経済圏を形成

している。確実にユーラシア経済圏が拡大傾向にある中、日本には好機なのか、不安材料なのか、世界地図を見ながら考える時代に入ってきた。 過去ブログ:2016年12月トルコ議会が露産天然ガス「トルコ・ストリーム」を承認 2011年11月日本はこれを操れるか?日本を取り巻く経済関係
