
シリアの首都ダマスカスやその近郊の水源Springは、北西へ15キロの、紛争前は渓谷Barada Valleyを見に観光客も多く訪れたWadi Barada地域のAin el-Fijah(Ein Al-feejeh)にあるal-Fijah springを水源としている。過去2011年には、反政府的なデモをここの住民も行ない、それ以降このWadi Barada地域一帯には反政府側の拠点があるが、支配地の住民への影響を考慮してか、これまで反政府組織によって水源の破壊や汚染はなかった。しかし最近、反政府側が水源に軽油を入れ汚染されたことで、人口約500万人のダマスカスで飲料水の供給が12月23日からストップした。反政府側はこれを否定し、政府側の空爆で軽油が川へ流れ込んだとしている。水源地域の10箇所の村が2012年から反政府側の支配下にあり、地域住民も反政府的だと言われ、この数日前12月23日に、アサド側はこのWadi Barada地域の、水源springsのあるEin Al Fijehに樽爆弾をヘリから投下している事から、報復攻撃の可能性もある。
2016年12月23日朝か
ら、SAA地上軍によるこの地域の反政府側への攻撃、排除が開始され、数日後に給水は復旧するとされている。現在アサド政権は、反政府側との協議と平行して、ロシア軍の空爆、イラン軍の支援を得る中、着実に首都周辺の反政府側制圧を行っている。参照記事 参照記事 参照記事イラクではISが戦術的にサボタージュ(Sabotage:破壊工作)を行い、首都バグダッドへ送電する送電塔80箇所を破壊する事態が起きている。過去ブログ:2016年12月問題噴出の孤立住民の移動 シリア 12月モースル攻撃で政府軍死傷者激増とインフラ破壊での生活苦 反政府側の直接的攻撃能力や兵員が不足する中、今後このような戦術が多用される可能性が高い。広大な地域で、これを完全に防ぐのは不可能に見える。2016年4月には、シリアの首都ダマスカスの北東約50キロに位置するティシュリーン火力発電所Tishreen Power PlantをISが襲撃し、発電所警備隊の兵舎が破壊されている。参照記事 過去ブログ:2015年6月ISが「水戦争」を仕掛ける イラク

2017年1月6日:水源を奪取されてから2週間が経つが、地形の険しさが反政府側に有利に作用し、空爆を繰り返すもシリア軍は水源を奪還できていない。ダマスカスでは、外部からタンクで水を運び込んだり井戸を掘ってしのいでいる。反政府組織は、イドリブへの攻撃を止めない限り水源地の開放にも停戦にも応じないとしている。 水源地域からの水がダマスカスを流れるバラダ川Barada river:右 を形成している。参照記事 参照記事
2017年1月8日:12月23日のシリア軍の水源地域付近への映像を見れば、シリア軍が水源施設を自ら破壊したか、誤爆した可能性がある。映像記録施設の破壊された写真や付近への空爆の様子から、メディアは、シリア軍が水源施設を破壊したのは間違いないとしている。この地域はレバノンに近く、アサド支持のヒズボラが反政府派攻撃に出ている地域で、ヒズボラ支援でシリア空軍が居住地にいる反政府側を無差別空爆、または誤爆した可能性が高い。また、ダマスカスからレバノン山岳地域への補給路もこの付近を通過することから、シリア軍はダマスカス西部の反政府組織や反政府的住民を何としても排除したいと思っているだろう。
シリア軍はWadi Barada地域への樽爆弾の投下に際し、塩素ガス弾やナパーム弾も使用し、住民の電気や通信手段も遮断しているともいわれている。 記事では、爆弾が落下された様子の写真も掲載されている。町並みの写真の、黄色と青が空爆された建物で、緑色のラインの場所が破壊された水源施設で、アレッポと同じく、居住地域へ空爆しているのが分かる。いろんな記事を見ると、個人的にだが、アレッポ陥落の波に乗るシリア軍は、この地域から強引に反政府側、住民を排除する作戦に出たのではないか?その過程で水源施設が破壊され、水不足で怒るダマスカス市民の声を逆手にとって、より強引にWadi Barada地域の制圧、住民の排除を行なっている様子が想像できる。通信手段が遮断された為か、地域でどれほどの被害が出ているかも伝わってこない。空爆映像 参照記事 参照記事 過去ブログ:2016年12月イスラエルがシリア領内で武器庫空爆 ヒズボラを警戒
