シリア政府軍は現地2016年11月26日、反体制派(Jabhat Fateh al-Sham :旧名al-Nusra Front系)が支配するアレッポ(Aleppo)東部で最大のマサケン・ハナノ(Masaken Hanano)地区を奪還した。筆者作成の地図の、赤い矢印に政府軍が東から侵攻し、最近の記事では、西側政府軍地域と1.5Kmほどまで近づいたとされる。アレッポ北東部のマサケン・ハナノ地区は2012年夏に反体制派が最初に掌握した場所で、シリア側が最近まで樽爆弾などを投下していた。2012年からアレッポは反体制派が掌握する東部地域と政府軍が掌握する西部地域に分断されている。今回の地上攻撃に先立ち、一段と激しい空爆や砲撃がハナノ地区に行われ、少なくても子供27人を含む住民201人が死亡し、反政府側兵士も134人が死亡したとされる。国連は、アレッポ地域にまだ25万人の住民が居ると報じている。
マサケン・ハナノ地区の奪還は、12日目を迎えた政府軍の大規模作戦の一環で、政府軍の精鋭タイガー部隊Tiger Forcesによって行なわれ、これにより同地区はその南側の反体制派支配地域から分断される可能性があり、さらにこの精鋭部隊は東部のSakhour , Jabal Badro、 Ard al-Hamra地区の完全制圧に注力し、アレッポ制圧後はシリアのほかの地域の攻撃に移ると報じられている。この部隊は2015年春ころから、Homs、Idlibでも戦果を挙げている。

国営放送と国営シリア・アラブ通信(SANA)は26日、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権の軍が同盟者らの支援を受けてマサケン・ハナノ地区を「完全に掌握した」と報じた。反政府側は、アレッポ北部のクルドYPGが支配するSheikh Maqsoud地区に向け、砲爆を行なっているとの記事があることから、同時期にクルドYPGも東部の反政府側攻撃に出ている可能性がある。また、11月26日時点で、約6000人の住民がSheikh Maqsoud地区へ東から避難したとされ、多くが戦渦を避け政府支配地域へも避難し始めている。 参照記事 参照記事 参照記事 参照記事 参照記事 記録映像 記録映像(いずれも政府側映像) 過去ブログ:2016年11月アレッポ東部空爆再開の中、猫を保護するシリア人 10月ISの反撃相次ぐシリア北部 10月アレッポ東部全域が悲劇的状況 シリア
2016年11月30日:匿名のアサド政権側の人物は今後の流れとして、トランプ政権での米国のシリアへの政策変更を見据え、米国主導の有志国軍は、トランプ政権が始動する前まで を目標にアレッポでの決着を急ぐだろうと語っている。また、今後は密集地での戦闘が多く困難を極めるが、イランとロシアの支援で、早い時期にアサド政権は アレッポでの勝利を手にするだろうと語っている。 参照記事 参照記事
反政府側が追い詰められる中、すでに水や食料が不足している住民約25万人は、反政府側支配地域からの脱出を迫られている。多くが北部クルド支配地域へ逃れていると言われ、住民の安全を確保することから、一部では、シリア軍とクルドPYD/YPGの両方の旗が揚げられている。両方の旗があれば、ロシアやシリア軍、さらには有志国軍の空爆を回避できるためだろうが、いつまでこの関係が持続できるのか?いずれシリア軍はクルドに銃を向けるだろうとも言われている。当然、アサド政権と協調するYPGは、主にイスラム系反政府組織から敵対視されている。以前コバーネKobane奪還の頃には、FSAとYPGは協力関係にあり、IS攻撃で共闘した。 参照記事
2016年12月4日:現在東部に残る反政府側(旧ヌスラ戦線や同盟イスラム組織)は、住民が回廊を通って避難するのは構わないが、自分たちは全く降伏するつもりは無く、一部は家族を避難させ、最後まで戦うと主張していると、12月3日イラン側が報じている。参照記事
2016年12月1日付けで公表されている資料では、アレッポ東部、Hanano地域一帯はシリア政府軍、及びシリア民主軍SDF(クルド主導のアラブ系反政府組織だったが、IS攻撃のためシリア軍とは互いに不干渉の立場を取り、現在はシリア軍と対ISで共闘している)側に制圧され、地図の薄い緑色の部分に反政府側が孤立している。参照記事 米露は、人道的配慮から孤立地域の住民への食糧支援や残存する反政府側へ無条件での撤退(西部反政府支配側への移動)を促すための協議に入ったとされる。

