1440563143-6602sign016年10月9日、日本経済新聞は、ホンダと埼玉県産業技術総合センター(埼玉県川口市)は世界で初めてマグネシウムを使い、繰り返し充電できる2次電池の実用化にメドを付けた。スマート フォン(スマホ)などに使うリチウムイオン電池より材料コストが大幅に安く、大きさも半分程度になる。リチウムイオンに代わる次世代電池となる可能性もある。まずスマホなど小型電子機器用に2018年の製品化を目指すと報じた。これまでの経過は、同センターがマグネシウムイオン電池の研究を主導し、同県和光市に本拠を置く本田技術研究所が技術性能を評価。寿命や安全性でリチウムイオン と遜色(そんしょく)のない水準を維持できる基本データを得たことで、今後複数の電池メーカーと連携し、量産技術の確立を急ぐとなった。詳細は11月に千葉市で開く学会で発表する。参照記事 参照記事
mg今回の発表より前の2016年1月、県産業技術総合センター(略称 SAITEC)から、マグネシウム蓄電池の研究開発を続けてきて、世界初の実用化に目途をつける画期的な研究成果が得られたとの報道がされていた。マグネシウム蓄電池について当時、現在主流のリチウムイオン電池と比べ、原料のマグネシウムが「安価」で豊富であるとともに「安全」「大容量」夢の“次世代蓄電池”だと、書かれていた。詳しくは「報道発表資料」で。
マグネシウムは地表のほか、海水からも精製できることから資源が豊富で、原料価格はリチウムの25分の1と製品コストを抑えることができ、電池の容量も大きく小型化しやすい為、大容量化や耐熱性向上が進めばハイブリッド車や電気自動車への搭載も可能になる。
1月の段階で、開発したマグネシウム電池はリチウム電池より持ちが良く、スマホなら1回の充電で連続使用時間が2倍になると説明されていた。10月9日の記事を受け、市場ではマグネシウム関連銘柄が買われ、連結子会社であるオリコン・エナジー社がマグネシウム燃料に関する研究を行っている、音楽ヒットチャートなどで知られるオリコン社も入っている。その他、すでに非常用マグネシウム空気電池を発売する藤倉ゴム工業、世界初のマグネシウム空気電池「マグボックス」を商品化した古河電池も注目された。 参照記事 参照記事 過去ブログ:2015年12月ポルシェが電気自動車を本格開発 2013年6月『マグネシウム燃料電池』は未来を変えるか 
14765838650001ホンダはこれより先の2016年7月12日、大同特殊鋼株式会社とともに「重希土類完全フリー熱間加工ネオジム磁石」を世界で初めて実用化し、ハイブリッド車(HV)用駆動モー ターとして新型「FREED」に採用すると発表したが、これは重希土類(レアアース)を使用しない磁石の開発成功と共に、モーターの価格も1割ほど下がるという非常に画期的な出来事だ。
従来のハイブリッド車のモーターの磁石にはジスプロシウムやテルビウムなどの重希土類が添加剤として使用されているが、ジスプロシウムの生産量は中国がシェアの多くを占める(レアアース生産量の約97%が中国産)重希土類であり、過去には価格が高騰するなど調達面での問題も生じていた。中国メディアの今日頭条は2016年10月13日、ホンダが発表した重希土類完全フリーのHV用モーターについて、「中国に往復ビンタを食らわす」、画期的な発明であると伝えている。過去ブログ:2016年7月ホンダが世界初、重希土類完全フリーのHV用モーター搭載  車載に限らず、バッテリーと磁石にレアアースフリーでの実用化は、多くの製品や機械に日本製の優位をもたらすだろう。過去ブログ:2013年9月日本は脱レアアースで、安価で耐熱、高磁力磁石を開発

63067077-s筆者が注目する他の日本が開発した新素材:過去ブログ:2014年7月次世代の繊維「ナノセルロース」実用化へ・・その後の「セルロースナノファイバー(CNF)」経過 参照記事 参照記事 参照記事 CNFは植物繊維を化学的、機械的に解きほぐしたものだ。繊維1本の直径は数ナノ~数十ナノ(1ナノは10億分の1)メートルしかないが、鉄の5分の1の 軽さで強度が5倍と、炭素繊維に迫る性能を備える。しかも透明で、熱を加えても膨張しにくいほか、化粧品などに加えると粘りを出すこともできる。この新素材、すでに一部は実用化され始めたが、用途は無限で、樹脂と混ぜて自動車部品に使うことが可能になれば、1台あたり20キロの軽量化につながるといわれる。過去ブログ:2011年11月カニの甲羅から高強度・低熱膨張プラスチック
honda2016年10月25日:本田財団はこのほど、新素材セルロース・ナノファイバー(Cellulose Nanofiber:CNF)の高効率製造法の開発や製品への応用、将来の応用可能性拡大に貢献したとして、東京大学 大学院農学生命科学研究科の磯貝明(いそがい あきら)教授(61)と京都大学生存圏研究所生存圏開発創成研究系の矢野浩之(やの ひろゆき)教授(57)の2氏に2016年の本田賞を授与することを決めたと10月3日報道された。

本田財団などによると、CNFは植物細胞壁の基本骨格物質である「セルロースミクロフィブリル束」の総称。鋼鉄と比べて5分の1 の 軽さでありながら強度は5倍以上ある00_01ナノ繊維新素材として注目されている。自然界に豊富に存在する植物由来の「持続型資源」で、石油系プラスチックの代替 や構造材の補強用繊維などで広く利用されている。

磯貝教授は「TEMPO触媒酸化法」と呼ばれる手法を開発。木材からCNFを簡単に取り出す手法でCNF生産の効率とCNF構造 onkyo-sindouban_thumbの均質性を大幅に改善した。矢野教授は「パルプ直接混練法(京都プロセス)」と呼ばれる手法を開発し、CNFを作ってから樹脂などの複合材と混ぜていた従 来の生産プロセスを改善し、生産時間とコストを大幅に削減することに成功した。本田財団は「CNFの生産方法の改革や活用領域拡大への貢献は授賞にふさわ しい成果」としている。参照記事 参考記事:王子グループのセルロースナノファイバー 映像で用途の無限性を説明 オンキヨー、先進素材「セルロースナノファイバー」採用のスピーカー振動板を開発



nappi11 at 07:41│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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