fig石炭から直接、天然ガスの主な成分であるメタンを単独で作り出すメタン生成菌(メタン菌)Methanogens(古細菌または始原菌archeaと呼ばれ、細菌bacteriaとは区別される)を発見したと、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の研究チームが2016年10月13日付の米科学誌 サイエンス電子版に発表した。これまで、酢酸やメタノールを原料にメタンCH4を作る菌は知られていたが、石炭から生成できる菌は初めてという。産総研は「将来的には天然ガスの増産技術の開発にもつながる可能性がある」とし、新たな資源として注目されている地下の石炭層に含まれる天然ガス「コールベッドメタン:CBM(Coalbed Methane)、炭層メタン 石油より安価で、石炭より二酸化炭素の排出量が少ない天然ガス。」の生成にも同じような働きを持つ菌が重要な役割を担っている可能性がある。つまり、炭層メタンの発生原理はいまでも正確には未解明ということのようだ。一般にメタン生成菌は嫌気性菌なので、今後の研究によっては、石炭採掘が不可能な深度に注入してメタンだけを採取することが可能になるかもしれない。

CBMは石炭の小さな穴(微細孔隙)に溜まったメタンガスのことで、「炭層メタン」とも呼ばれる。かつては炭鉱採掘時に爆発事故の原因となる厄介ものだった。CBMは石炭層に含まれるため、石炭が採れる場所であればCBMを採掘できると考えられ、ロシア、アメリカ、中国、オーストラリア、カナダ、インドネシア、南アフリカの地下にはCBMが眠っていると有望視され ており、採掘が始まっている。わずかながら、日本でもCBMの採掘が期待されている。石油に圧されて国内の炭鉱はほぼすべてが閉山となっているが、ガスを多く含むとされる北海道 の石狩炭田において、有望視される3カ所の資源量が調べられたところ、240億立方メートルと推定された。
ECBM_siteこれは日本の天然ガスの可採埋蔵量に匹敵する量 であり、1つの炭田からこれほどの天然ガスが採掘できるなら利用しない手はない。そのうち約77億立方メートルのCBMがあるとされる夕張では、2002年から6年間かけて試験採掘が実施され、商業的な採掘に向けて準備が進んでいる。夕張の試験採掘で用いられたのは増進回収法(ECBM)と呼ばれる採掘方法で、石炭層にまで掘った井戸(圧入井)から不活性ガスを注入すると、石炭に不活性ガスが吸着する代わりにメタンガスが放出され、別に掘った井戸(回収井)から取り出されるという仕組みで、送り込まれる不活性ガスに二酸化炭素CO2を使用する(技術名:CCS、Carbon Capture and Storage)ことで、地中にCO2を閉じ込め温暖化対策にもなるとされる。この方面の研究では日本が先駆的な位置にいる。 参照記事 参照記事 参考記事:資源になる!?二酸化炭素を利用せよ 世界初!石炭層に分布するメタン生成微生物群の解明(2007 年)

nappi11 at 07:43│Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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