obama-suu-kyi-75912016年9月19日、ニューヨークでオバマ大統領とモースルMosul解放とIS排除について会談を終えたイラクのアバディ首相Haider Abadiは20日、モースルMosul南部のシルカトShirqat(Sharqat)解放に着手し、南部アンバル県のラマディRamadi,ヒートHeetからのIS完全排除、さらにモースル解放へ向けた作戦をイラク軍(イラク治安部隊Iraqi security forces:ISF)が開始したと公表した。発言内容から、各地でISが孤立包囲されている状況で、被害を抑えるためか、時間をかけて殲滅していくようだ。先に米国が発表した、イラク北部への560人規模の兵員派遣もほぼ完了したか、施設の準備中とみていいだろう。
9a7f8994Cm7gTAXXgAAbGBwすでに米、イラク軍(ISFイラク治安軍)はカイヤラ Qayyarah を解放し、西側にあるモスルの南約64キロのカイヤラ空軍基地 Qayyarah Airbaseに前線基地を構築中で、事実上2016年9月20日からモースル解放作戦が開始されたと見ていいだろう。モースル解放の目処(めど)は非公式に10月まで、もしくは、遅くても年内と言われている。
7becee43Iraq Shia Sunni map2016年9月17日、米国または有志国軍がISと誤認してシリア政府軍の陣地を空爆した件では、有志国軍に参加しているデンマークが空爆を行ったことを認めている。今になって米国側から、米露双方が情報交換を行なえる組織設置の必要性が言われている。
先のモースル解放作戦では、モースル北部、東部、チグリス川Tigris東岸でクルド・ペシュメルガPeshmerga軍がすでに攻撃に参加している。モースル西部シンジャルsinjar付近にいるトルコ軍の動向は伝わってこないが、イラク政府は、イラクの主権侵害として、トルコ兵のイラクからの撤兵を求めている。イラク政府の紛争終結後の懸念は、武装化したクルド体制の躍進だけでなく、全国に流れた武器を手にしたスンニ派民兵の存在にあると思われる。今もバグダッドでシーア派を狙った爆弾テロが頻発しているが、全部がISの犯行ではないだろうと思うのだが、、。そもそもISは、イラク侵攻当初からイラク全土の支配は目論んでいない。バグダッドでのシーア派に向けたテロは、シーア派主流の前マリキ Nouri al-Maliki政権時代から頻繁に起きていて、ほとんどはそれまでフセイン時代から弾圧されてきたスンニ派によるものだった。 参照記事 過去ブログ:2016年9月着々と進むモースル包囲とシリアでは米軍がシリア軍を誤爆か? 2016年5月IS攻撃の戦線にスンニ派民兵部隊投入 イラク 2015年3月ティクリートの戦況とスンニ派部族の過酷な歴史 イラク 2014年7月イラク軍の報復処刑も表面化 マリキ首相は政権維持に固執 2014年6月追記:日増しに複雑になるイラクの状況
Cs9oRzDW8AAGoHF2016年9月21日:米兵数百人が駐留するカイヤラ空軍基地 Qayyarah Airbaseに、ISからと思われるマスタードガス (Mustard gas)が装てんされた砲弾が撃ち込まれたと報告された。粗末なつくりの砲弾で、実害は無かった。ISはこれまでにもペシュメルガPeshmerga軍に20回ほど毒ガス弾を使用したとされ、それらも同じマスタードガス弾だったとされる。参照記事
21日投稿の映像は、イ
ラク治安部隊とシーア派民兵の統合組織「人民武装軍団(PMU)」がシルカトShirqat(Sharqat)に到達し、80家族を解放したと報じられている。現地22日には街は完全解放されたようだ。 映像と記事 映像:喜ぶ住民
mass killing2016年9月24日:Shirqatから南に100 kmのTikritティクリートの街へ入るチェックポイントが複数の武装集団に24日朝5時ころ襲撃され、自動車による3度の自爆テロもあり8~12人が死亡、23人が負傷した。街は2015年4月に政府軍がISから解放していた。攻撃は警察部隊の車列を狙ったとの報道がある。ティクリートTikritでは2014年6月に、スペイサー(Speicher)軍事基地がISの襲撃を受け、シーア派士官候補生1700人が虐殺され、約1年後に埋葬場所が発見された。この件では、任務を放棄したとして、24人のイラク軍兵士が処刑され、2016年8月には、虐殺に関与したとして拘束したIS兵士36名を処刑するとイラク政府が発言している。小規模だが、イラク各地でISのテロや攻撃が頻発している。 参照記事 過去ブログ:2015年4月IS側が毒ガス兵器使用か?大量処刑の確認と報復 イラク IS側が毒ガス兵器使用か?大量処刑の確認と報復 イラク 参照記事 参照記事
イラクはほぼ内陸国だが、国内を流れるチグリス、ユーフラテス両河川では船舶の航行が可能でISはこれまで戦闘員搬送や即製爆弾攻撃の実施などで船舶を用いてきた。これら船舶ははしけ船、小型船やエンジン付き船舶などが含まれる。ISの船舶に対する攻撃は過去数カ月間続いてきたが、その回数はここ数週間目立って増えている。9月14、16両日には50回以上に達した。米軍主導の有志連合は9月21日までに、ISが保持する船舶100隻以上を沈めたことを明らかにした。9月だけで65隻を破壊したという。参照記事
9月23日のIS系メディアAmaqは、イラク側が制圧したとするカイヤラ Qayyarahで、ISが依然として勢力を維持していると報じている。26日にイラク軍は、アンバル県 Anbar provinceのユーフラテス川沿いのBaghdadi, Heat and Hadithaなどで、IS70名あまりを殺害、40台の車輌を破壊したと発表している。参照記事 参照記事

nappi11 at 06:18│Comments(2)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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コメント

1. Posted by 甲東   2016年09月22日 12:31
デンマークも(が?)シリア軍を誤爆したと。悪気はなかった・・・しかし、悪く言えば、シリア停戦の流れを変える要因になった。一般の日本人から見ると、シリアと関係ない国が。デンマーク国内ではこれからどんな議論になるのだろう。デンマークなら、どこかの国と違って議論なしでは終わらないと感じるが・・・

輸送トラックを爆撃(爆撃と言うより火災?)したのはロシア機という噂が多い。プーチンは何故、罰しないか・・・うーん、とうなっている最中か。

イラク政府の紛争終結後の懸念は・・・スンニ派民兵の存在にあると思われる、と。そう言う記事が増えてきているのでしょうか。本当なら、IS紛争以上になりますね。2003年に後戻り。フセインは喜ぶでしょう。世俗スンニとクルドがくっつくことも。イラク駐留のトルコが橋渡しか。
2. Posted by 甲東   2016年09月22日 21:11
同じようなことを何度も恐縮です。
昨年の記事ですが、モスルをISに取られる前までニナワ県の知事だったアシール・ヌジャイフィ(兄は元国会議長)というスンニの人がクルドと協同しているとか。ヌジャイフィ家はオスマン時代からモスル周辺で力を持っていたとか。ハシドワタニという民兵を持っており、トルコが訓練しているとか。怪しいですね。でも、最近は記事がありません。トルコ次第では傀儡政権になり得るか。やめてくれー

ふと思いました。この地域は数百年間の怨念が渦巻いている。だから、やるとなればとことんやる。今やっておかないと、孫、ひい孫がやられる・・・アサドしかり。

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