
シリア空軍は、シリアの軍司令部がテロリストらに投降を呼びかける最終警告のビラを、ISが主張する「イスラム国」の首都ラッカRaqqa(Al-Raqqa)に散布した。ビラには「戦闘員よ!真実の時が訪れた。世界は急速に変化している。軍がやって来る。自分で考えろ… 待っている時間はない。躊躇するな、自分の命と未来を守るために速やかに投降しろ。」と書かれていた。左はそのビラとされるもの。参照記事
地図は古い支配区分図をベースにしているが、ISの当時の支配状況が分かるので利用した。2015年9月当時、ISは①と②を補給路としてアレッポAleppo方面、ハマHama、パルミラPalmyra(Tadmur)方面へ物資や人員の補給をしていたが、 2016年3月には、シリア政府軍がこのルートを制圧し、特にIthriyaから北へと、ラッカ方面への補給路確保はISの拠点Raqqa攻撃には不可欠だった。今回の市民への避難勧告を含めたラッカへのビラ散布は、市内中心部への総攻撃を意味するのだろう。現在、IS支配領域では、マンビジュManbij(トルコへ抜けるISの補給路の要衝、ここの開放作戦には、クルド軍YPG、シリア民主軍、米軍特殊部隊に加えて、ドイツとフランスの軍特殊部隊が参加し、これにシリア政府は主権侵害と批難しているとされる。参照記事)、デリゾールDeir al-Zourで、空爆を含む激しい攻撃が続行している。そのほか、ハサカAl-Hsakah(Hassakeh)方面でISの攻撃が確認されている。参照記事 参照記事 過去ブログ:2016年6月自爆テロに13歳の少年兵を送り込むIS シリア 3月イラクのモースル攻撃間近 シリア・パルミラ開放
2016年6月17日:イラク軍のラッカ方面への攻撃よりも前から クルド軍主導のシリア民主軍Syrian Democratic Forces (SDF)が、ISのトルコとの補給基地といわれるマンビジュManbijへの攻撃を2016年6月1日から本格的に始めており、すでに周辺地域やマンビジュへ至る道路は制圧し、ISの一部は、家族を連れてトルコ国境に近いジャブルスJarablusへ逃げ出し、その後トルコへ越境していると、一部記事が書いている。現在、シリア政府軍SAAとクルド主導のシリア民主軍SDFが、マジュビジュ攻撃を続行している。 紛争前マンビジュは、アラブ系やクルド系合わせて12万人の人口を有した。その後多くは避難したが、今でもIS支配の市内に2万人の市民がいるといわれている。米軍は空爆支援で参加し、イラクのファルージャ攻撃とあわせ、この2箇所への作戦を最優先としているようだ。 参照記事