img_5463940995dcb554bb8c0c348452ab9a171510現地2016年5月9日投開票のフィリピン大統領選で、実績はあるが暴言が絶えない“フィリピン版トランプ“と言われるロドリゴ・ドゥテルテRodrigo Duterte・ダバオDavao市長が、蔓延する犯罪や薬物問題を一掃した強いリーダーシップや現政権への不満を背景に、世論調査の支持率で他候補を大きくリードして当選した。

当時市長は、白昼でも犯罪者を射殺する『ダバオ・デス・スクワッド (Davao Death Squad:DDS)』という自警団を操っていたといわれ、彼自身も愛用のオートバイで市内を回り、凶悪犯には自ら拳銃で応戦し、あだ名が「処刑人(The Punisher)」「ダバオのダーティーハリー(Dirty Harry of Davao)」だった。右が当時の写真Rodrigo-Duterte-the-punisher
今回の選挙戦では、犯罪対策に焦点を当て、「麻薬密売人はすべて殺せ」などと警察官による犯罪者の射殺容認を強調する上、大統領になった暁にはアロヨ政権下ですでに廃止となった死刑制度も復活させ、10万人を処刑するとも公言している。
過去にここのブログで、この元ダバオ市長の事を2009年11月に書いていたことを思い出した。当時「ミンダナオ島 は、自分でギャングを撃ち殺して回る現職のドテルテ市長が居る地域で、とてもまともな法治が行われているとは言いがたい。」と書いていたが、よく調べると、 彼の違う側面が見えてきた。過去ブログ:2009年11月知事選がらみ?で57人殺害 フィリピン ミンダナオ島

philippinen-m-cebu_manila彼はレイテ島マーシンで1945年3月28日March 28, 1945 in Maasin, Leyteに生まれ、父親はセブ島のダナオ市Danao City in Cebu市長で、母親は教師だった。ダナオ市は当時、拳銃の密造で有名な、犯罪組織の多い場所だった。一家は1950年代にセブ島からミンダナオ島MindanaoダバオDavao市に近いタグン市(タグム Tagum) に移っているが、ドゥテルテ氏は今もセブ島人Cebuanoを自認している。
Soledad Duterte若いときには痩せていたが、ケンカでは絶対ひるまなかった。いじめを避けるために、ダバオでは危ない連中とも付き合い、2度の退学を経てダバオの高校を卒業し、その後、法律関係の大学San Beda Collegeに入り1972年に司法試験に合格し法律家lawyerになる。市の公務を経験したあと、1988年にダバオ市長に選出され、3期務め、1998年にダバオ市出身初となる国会の下院議員となり、2001年まで務める。2001年に再びダバオ市長に立候補して当選し、2004年と2007年に改選され3期、合計で市長職を6期務める。2010年の改選では自身は立候補せず、娘のサラ・ドゥテルテが立候補し当選、ロドリゴは副市長となった。2013年の市長選挙で再び出馬し当選、7期目の市長を務めることとなった。彼の執政下では、記録的な好況を実現し、ダバオ市は相対的な平和と安定を迎え、犯罪発生率を劇的に軽減させることに成功した。
硬派かと思えば、選挙では、ゲイやイスラム教徒や障害者の立候補も認める寛容さもあり、人種差別的な行政や法令に対し批難する立場を取り、「人は誰でも幸せになる権利がある」と発言している。アロヨArroyo政権時代に市長だった彼は、アロヨ大統領の犯罪対策顧問だった。
彼はまた、軽視されていた少数原住民や部族民に対しても目をむけ、地位向上に貢献した。
歴史関係の読書を好み、離婚歴が一回あり、4人の子供の父親。大事なことを決める際には両親の墓参りを欠かさない人物と紹介されている。

Duterte Taxi Driver市長時代、彼は夜もバイクで市内を巡視し、警官の勤務をチェックし、賄賂の要求を防ぐため、警官に食料を与えることもあったが、規律には厳しく、職務中に酔った警官には、自ら鉄拳制裁を行ったと言われる。時には写真の様に、タクシー運転手にesquire-philippines-rodrigo-duterte扮して情報を収集した。麻薬撲滅にも熱心で、厳しくするばかりでなく、犯罪から手を引く売人に金品を与え、更正施設に入れる事も行った。そのほか、市長時代には、多くの公共工事、施設の立案、運営を行い、観光産業を復活させ、その結果多くの信頼を得て、今回の大統領就任につながったようだ。
参照記事 英文記事 英文記事
969eefb62016年5月10日:フィリピン南部に位置する地元のダバオで勝利宣言したドゥテルテ氏は「私は独裁者になる。そこに疑いの余地はない。ただしそれは犯罪や薬物、政府内の汚職 といった悪徳に対峙(たいじ)する独裁者だ」と語った。その上で「警察、軍隊、閣僚を含むすべての公務員に告ぐ。(汚職を)直ちに止めよ」と呼びかけた。南シナ海を巡る問題については「しばらくは多国間での問題解決に向けた取り組みに参加するが、事態が前に進まなければ中国と直接話し合う」と述べ、中国がインフラ整備などで経済支援をするならば、領有権争いについては棚上げする考え示している。過去ブログ:2015年10月追記:中国の灯台建設で南シナ海で米中に緊張>27日12海里に 参照記事

nappi11 at 00:53│Comments(3)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

トラックバックURL

コメント

1. Posted by POPPO   2016年05月10日 16:28
 メリケンのトランプは唯の暴言家だが、フィリピンのロドリゴ新大統領は政治的実績もあるようだ。
 日本でも政治的実績無くて国のトップになった御仁に碌なのがいない。左巻き政権下では見事な実例がある。民主党の鳩ポッポに空缶。いにしえの社会党では片山と眉毛のお爺様。いずれも国を混乱に陥れた無能揃いと、私は思う。w
2. Posted by ん   2016年05月10日 23:34
ダバオ市長としての実績は有名だよな。

どうでもいいけど、誰だろうか、最初に「フィリピン版トランプ」と言い出したマスゴミは。
先日もテレビでそう言ってたけど、本当に語彙力が無いというか頭が悪いというか・・・。
3. Posted by くすのきのこ   2016年05月20日 23:24
当地には劇薬が必要なのであろう。そんな国がた~くさんある。
マヤクと武器とカネ・・そして内乱誘導・・。
こういうのが得意な欧米中の影響に、キッチリと対抗するためには・・。
自警団というサポート軍団がついていたとしてもね。
これまでのままではフィリピンはカキョーに食われ、アメに食われ、
中京に食われ・・
必要なのは、強烈なネイティブのキャラクターだろうから。
例え倒れようとも、骨抜きにならないのを祈る。


コメントする

名前
メール
URL
絵文字