nature-china-teeth-map中国南部で2007年に発見されたヒトの歯により、現生人類がアフリカ大陸を離れた時期が、通説より最大で7万年早かったことの証拠が得られたとする研究結果が2015年10月14日、発表された。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された研究論文によると、現生人類ホモ・サピエンス(Homo sapiens)が現代の中国に到達したのは、8万年~12万年前だという。これを受けて今後、人類大移動の地図が書き換えられる可能性がある。

 論文共同執筆者で、英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London、UCL)の研究者のマリア・マルティノン・トレス(Maria Martinon-Torres)氏はネイチャー誌に「一般に受け入れられているモデルでは、現生人類がアフリカを出たのは、ほんの5万年前とされている」とコメント。「今回の研究でわれわれは、ホモ・サピエンスがこれよりはるかに早い時期にアフリカを離れたと考えている」と語っている。現生人類がたどった移動経路についてはまだ不明だが、東アフリカから東アジアに至る経路として最も可能性が高いのは、アラビア半島(Arabian Peninsula)と中東を横断するルートであることが、これまでの研究で示唆されている。この発掘、研究は2010年に中間報告が発表されており、その後の発掘資料をもとに今回の研究成果になったようだ。過去ブログ:2011年7月悲しきネアンデルタール

 2010年10月約10万年前のアフリカ以外で発見された最古の現生人類 中国

img_1bbf3558caf25f02a7189e1663e78803156896134721201_14449930542641nまた今回の結果は、約20万年前に東アフリカで出現したと考えられている最初の現生人類は、欧州に向かうよりかなり前に中国に足を踏み入れていたことも意味している。ホモ・サピエンスが欧州大陸に入った時期について、彼らが現在の中国に現れてから少なくとも4万年後の、今から4万5000年前より早かったことを示唆する証拠は存在しない。論文によると、中国・道県(Daoxian)近郊にある洞窟内の、膝ほどの深さの灰色砂質粘土層から発掘された歯47個は、「現代人」の歯に酷似した特性を備えているという。歯の持ち主について論文の執筆者らは、アフリカから移動してきた人類集団だった可能性しかなく、絶滅したホモ・エレクトス(Homo erectus:原人)などの他種の初期人類から進化した人類集団ではないと指摘している。参照記事 過去ブログ:2012年3月「赤鹿人」は新たな人類の祖先か?デニソワ人との関係は?中国

現代人につながる現生人類ホモ・サピエンス(Homo sapiens)の研究は、欧hobbitskull州ではかなり進んでいるが、アジア圏ではまだ未解明だ。考古学の分類では、現代人の祖先、現生人類:ホモサピエンス の前に旧人(時代は旧石器時代 ネアンデルタール人が代表的なので ホモネアンデルターレンシス、Homo neanderthalensisと総称)と呼ばれる人類の祖先がいる。有名なのは20万年から2万数千年~3万年ほど前まで欧州、中央アジアに存在したネアンデルタール人 Neanderthalsで、彼らのDNAは現生人類にまで残ったと2010年に論文が出ていて、アフリカを出る前に混じりあった時期があったようだが、彼らの直接の系統は3万年ほど前に歴史から消えている。右下の写真は、右のこれまで見つかっていた現生人類ホモ・サピエンスと比較した中国で発見された、かなり現生人類に近い顎をもつ化石:左 参照記事 過去ブログ:2011年7月悲しきネアンデルタール

611931ad今回の研究で、年代的には旧人ネアンデルタール人が中国まで早い時期に進出したのかと思ったが、歯の化石ははっきりと現生人類ホモ・サピエンス(Homo sapiens)の特徴を示しているという。もし推測のように絶滅した原人ホモ・エレクトス(Homo erectus)から独自に進化した現生人類だとすれば、東南アジア圏だけは欧州とは別な現代人の祖先をもつ可能性もあり、考古学上の大発見だろう。今後のDNA鑑定で、現代人との関係や、ラオスで見つかっている、4万6000~6万3000年前の東南アジア最古とみられる現生人類との関係やネアンデルタールとの関係が解明されるだろう。これまでは、やはりアフリカから出た現生人類の祖先が、中東付近で東西に分かれたといわれていた。アジアに、初期現生人類ともいえる人類がいたという事実の今後の研究と新発見が待ち遠しい。下の図では、旧人のネアンデルタールは現生人類の直接的祖先とは言えないとされるが、混血していた事実から、図的に原人と現生人類の間に入れています。 過去ブログ:2011年2月人類の320万年前の完全な二足歩行確認される。 2010年4月Missing Link(ミッシング・リンク)の発見

ph_thumb2015年11月19日:5年前の2010年に報告されたばかりの謎多き“第3の人類”デニソワ人。その歯の化石を分析したところ、彼らは現生人類やネアンデルタール人と数万年も の間共存していたことが、11月16日付けの科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」の論文で明らかになった。我々ホモ・サピエンスの祖先が、かつて他のヒト科ヒト属(ホモ属)とユーラシア大陸を共有していたことを裏付ける研究結果である。約4万年前に姿を消した ネアンデルタール人は、現生人類と数十万年もの間すぐそばで暮らしていたが、ある期間そこにはデニソワ人の姿もあったことになる。 過去に行われた指の骨と歯の分析では、現生人類にデニソワ人の痕跡が残されていることが判明した。パプアニューギニアをはじめ太平洋の島々に住むメラネシア人のゲノムの5%に、デニソワ人が貢献しているという。
そ の後2本目のデニソワ人の歯が見つかり、ミトコンドリアDNAの分析から、先に見つかっていた指の骨の持ち主たちよりも約6万年も前に生きていたとされ、 デニソワ人は単一の種として、少なくとも現生人類と同じくらいの期間アルタイ地域に断続的に、またはネアンデルタール人より先に存在していた可能性すらあ り、後に交配があったとしても、デニソワ人は元々独立した種で、新たな歯の年代や分析から、これまで考えられていたほどネアンデルタール人とは近縁ではな いかもしれないことが示唆された。 参照記事
2016年2月22日: これまでの解析で、ネアンデルタール人と現生人類が交配していたことと、さらに同時代に第3の人類デニソワ人も存在していたことが判明している。この3種 は50万年前にアフリカの共通祖先から分かれたと考えられ、ネアンデルタール人はアフリカを出る前すでに現生人類と交配があり、現生人類(ヒト)に遺伝子 を残し、ヒトより数十万年前にアフリカを出て主にヨーロッパに広がった。
326dac9d新たなTLRの遺伝子の解析から、ヨーロッパ人と東アジア人、アフリカ人 など現代人の14集団のこの領域を調べると7つのタイプに分類された。このうち2つがネンデルタール人由来、ひとつがデニソワ人由来だと判明する。理論的 には現生人類(ヒト)より数十万年先にアフリカを出て、中東を経由してヨーロッパに広がったネアンデルタール人の遺伝子は、アフリカに残った祖先由来のア フリカ人には存在しない。調べると、確かにアフリカ人にはネンデルタール人由来のTLRを含む領域がほとんどみられなかった。このように、現代人のTLR を含む領域のゲノム配列を詳細に調べ比較してネンデルタール人とデニソワ人由来だと突き止めた。実はこのネアンデルタール人由来のTLR1とTLR6、 TLR10遺伝子を最も多く持つのが日本人。どの集団よりも高く、約51%が持っていた。このことは、世界の中で「最もネアンデルタールに近いのは日本 人? 」という推論を浮上させた。言い換えれば、他の民族もネアンデルタール人の遺伝子を持ってはいるが、日本人が一 番他の人種と交配せずに今に至った、ネアンデルタールに最も近い現生人類と言えるのでは、、。早い時期から島だったことも、他の人種から隔離される結果に なったのかもしれない。 参照記事



nappi11 at 07:12│Comments(1)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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コメント

1. Posted by くすのきのこ   2015年10月18日 11:58
大気圏内核実験の影響とかで?炭素を使った年代測定も疑問が出ている現在で
はあるらしい・・。宇宙人による遺伝子操作があったとする説も巷にはある。
確かに体に毛が少ないのが、他のケモノ(毛モノ)と比べるまでもなく違うし。
シュメール文明の・・云々とか・・楽しい超古代文明の学徒も多い。そうこう
しながら西洋中心史観を修正していくのだろうな。チャイナは信用できないが。
10月12日夜、天津北辰区で爆発。アルコール燃料が引火したらしい。前回
8月12日夜。あれ・・同じ12日かい。視覚効果を狙ったように夜と・・。
ふ~~~~~ん・・・

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