クルド系の記事に、イラクのモースルMosul南部に住むスンニ派部族のインタビュー記事が載っている。彼らの過酷な状況は、断片的には知っていたが、直接語られた記事を読むのは初めてで、ここに抄訳して紹介する。
ISが2014年夏、イラク北部にやって来たとき、彼らISがシーア派バグダッド政府と革命的な戦いをするとして、スンニ派部族民は彼らを歓迎した。しかし1年もしないで、部族は、彼らの残虐さを嫌うものと、ISに組みするものとで分裂した。同じようなことは、イラク北部の多くのスンニ派部族で起きた。そんな部族のリーダーであるNazhan Sakhar が語る。
「彼らISが来たとき、ISがバグダッドに新政府を作ると思い、大いに喜んだ。しかし彼らは、我々を殺し始め、彼らもまたアルカイダと同じだった。」
彼は現在、しぶしぶながら、イラク軍、クルド軍と共に、300名の部族民を率いてISと戦い、一部の同じ部族民はIS兵士となって戦闘に参加している。
イラクのスンニ派部族は、横暴なサダム・フセインのスンニ派独裁政権が崩壊し、米軍が撤退してイラクはシーア派政権になり、その後のスンニ派に対する差別的なシーア派支配に不満を持っていた。このことが、2014年6月からのイラク北部、西部でのIS侵攻とその後の支配を一気に勢いづかせた。イラク合同軍、クルド軍がIS掃討に全力を傾けている現在、イラク政府は反ISスンニ派部族を支援しているが、これは、ISとの戦闘に勝つためには、スンニ派部族民兵の力がどうしても必要だからだ。しかし、部族民はこれまで、幾度も政府に裏切られた過去を持っているため、イラク政府には懐疑的になっている。
このリーダーは過去、米軍、イラク軍が2006年から始めたスンニ派アルカイダ攻撃にも参加し、多くの部族民兵が犠牲になったが、シーア派イラク政権はスンニ派部族を冷遇し、米軍撤退後は支援もされなくなったいきさつがある。
現在ISと戦う部族民兵はイラク中央政府から月600ドルのクーポンの支給を受け、武器はクルド自治政府から受け取っている。しかし武器は十分ではなく、自前で機関銃やロケット砲、車両を購入する状況になっている。リーダーは、武器が十分なら1000人の兵士も集めれるが、武器が不十分な今は、兵士には、獰猛なISとの戦闘にためらいがあると語っている。
スンニ派部族がイラク軍と共にISと戦うことは、さらに不幸を招く結果になっている。ISがスンニ派部族に牙をむく結果を招き、多くのスンニ派部族民がISの残虐さの犠牲になっている事だ。リーダー自身もISの標的になり、すでに幾度も暗殺の危機にあっている。そして彼は、ISに参加している同じ部族民と銃火を交えることを何よりも悲しんでいる。彼は「ISに参加している部族民の多くは同じ部族で、彼らが間違った選択をしたこの状況が悲しい」と語った。
*筆者:イラク政府がスンニ派に十分な武器を与えないのは、シーア派イラク政府に反乱をおこしたり、ISに売ったりすることを危惧してのことと言われている。

「彼らISが来たとき、ISがバグダッドに新政府を作ると思い、大いに喜んだ。しかし彼らは、我々を殺し始め、彼らもまたアルカイダと同じだった。」
彼は現在、しぶしぶながら、イラク軍、クルド軍と共に、300名の部族民を率いてISと戦い、一部の同じ部族民はIS兵士となって戦闘に参加している。
イラクのスンニ派部族は、横暴なサダム・フセインのスンニ派独裁政権が崩壊し、米軍が撤退してイラクはシーア派政権になり、その後のスンニ派に対する差別的なシーア派支配に不満を持っていた。このことが、2014年6月からのイラク北部、西部でのIS侵攻とその後の支配を一気に勢いづかせた。イラク合同軍、クルド軍がIS掃討に全力を傾けている現在、イラク政府は反ISスンニ派部族を支援しているが、これは、ISとの戦闘に勝つためには、スンニ派部族民兵の力がどうしても必要だからだ。しかし、部族民はこれまで、幾度も政府に裏切られた過去を持っているため、イラク政府には懐疑的になっている。
このリーダーは過去、米軍、イラク軍が2006年から始めたスンニ派アルカイダ攻撃にも参加し、多くの部族民兵が犠牲になったが、シーア派イラク政権はスンニ派部族を冷遇し、米軍撤退後は支援もされなくなったいきさつがある。
現在ISと戦う部族民兵はイラク中央政府から月600ドルのクーポンの支給を受け、武器はクルド自治政府から受け取っている。しかし武器は十分ではなく、自前で機関銃やロケット砲、車両を購入する状況になっている。リーダーは、武器が十分なら1000人の兵士も集めれるが、武器が不十分な今は、兵士には、獰猛なISとの戦闘にためらいがあると語っている。
スンニ派部族がイラク軍と共にISと戦うことは、さらに不幸を招く結果になっている。ISがスンニ派部族に牙をむく結果を招き、多くのスンニ派部族民がISの残虐さの犠牲になっている事だ。リーダー自身もISの標的になり、すでに幾度も暗殺の危機にあっている。そして彼は、ISに参加している同じ部族民と銃火を交えることを何よりも悲しんでいる。彼は「ISに参加している部族民の多くは同じ部族で、彼らが間違った選択をしたこの状況が悲しい」と語った。
*筆者:イラク政府がスンニ派に十分な武器を与えないのは、シーア派イラク政府に反乱をおこしたり、ISに売ったりすることを危惧してのことと言われている。