ph_thumb2015年4月21日:4月11日、動画がソーシャルメディアに投稿されると、ニュースは瞬く間に世界中へ配信され、国際社会から非難が集まった。約7分間の動画には、ISの戦闘員がハンマーやブルドーザー、爆発物での古代遺跡を破壊する様子が映っている。専門家らはこの遺跡を、アッシリア王が紀元前9世紀に古代都市ニムルドに建てた北西宮殿と特定した。YOUTUBE動画 予備動画
動画に映っている破壊行為があったのは、おそらく2015年3月中旬から4月初旬の間と考えられる。動画では、戦闘員が破壊行為を行う前に「われわれが支配下に収めた土地では、多神教のシンボルは必ず根絶し、一神教を広める」と述べている。

タウヒードTawheed, Tauheed (一化の原理)と呼ばれる概念からくる、現在、スンニ派系ワッハーブ派(アラビア語: وهابية‎, Wahhābiyyah)に代表される一神教の理念は古代からのものではなく、18世紀のイスラム教の復古主義・純化主義的改革運動から浮上した理念であり、それが「慣行・規範・先例」を意味するスンニ派Ahl as-Sunnah (wa’l-Jam?‘ah)に原理主義として広まり、特にその積極的な実践を唱え、他教徒を異教徒として敵対視し排除する行動を取るのを教義とするのがIS(イスラム国)といえる。当然この集団の世界観と存在論からくる、すべてに対する価値観はイスラム教の中でも異質なものになる。いくら学術的に貴重なものでも、アラー以外の権力者、宗教者や物などを神格化した偶像崇拝は、戒律に厳格でシーア派を否定するサラフィー主義Salafismcb5591f3のISにとっては無意味なだけでなく、破壊することが教義の実践であり、信者の証なのだろう。行動は破壊にとどまらず、イスラム教スンニ派サラフィー主義者以外の宗派の人間すべてを、斬首などシャーリア法に沿って排除すべき標的としている。彼らの最終目的は、カリフ(Caliph;預言者ムハンマド亡き後のイスラーム共同体、イスラーム国家の指導者、最高権威者)の下での、武力によるイスラム世界の統一である。写真は、自らをカリフと称する、ISのアブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)最高指導者

01米コロンビア大学の専門家クリストファー・ジョーンズ氏によると、ISはイスラム教で「シルク(shirk、多元性)」と呼ばれる偶像崇拝を断罪することで、預言者アブラハム やムハンマドなどを含む偶像破壊者の正当な継承者としての地位を築こうとしているという。ハトラHatra遺跡の破壊を報じる英文記事

ISがシルクとみなす対象は、ニムルドのようなイスラム教誕生前の史跡だけではない。その範囲は、みずからが従うスンニ派の厳格な教義解釈にそぐわないイスラム教の宗教遺跡や、ヤジディー教徒、クルド人、キリスト教徒など、地域の宗教的少数派の遺跡や墓地、施設にも及ぶ。最近ISにより破壊されたそれらの大部分はシーア派やイスラム神秘主義スーフィー教で、これまでにイラク北部におけるおよそ80カ所の「意図的な破壊」を確認しているとされている。
ISは、こうした破壊をすることで「信仰の強さ」を誇示し、地域住民の分裂を煽ると同時に、考古学研究を外から持ち込まれた害悪と考え、それはイス ラム世界をカリフ(預言者ムハンマドの後継者、最高権威者)国家として統合するというISの目的を妨げる存在とみなしている。また、ISの考えでは、イスラム教誕生以前の遺跡は偶像崇拝者の国家を象徴するものであり、当然「嫌悪と憎しみ」の対象とみなされる。遺跡の破壊は国際社会の怒りを集めるが、ISは「それ(その行為)自体がアラーに祝福される」と述べている。 しかし、彼らがいくら宗教を装っても、彼ら「イスラム国」が現実にしていることは、彼らがカルト集団でしかないことを証明している。 参照記事を編集、加筆 過去ブログ:2015年4月イラク最大の精油施設をISが攻撃 貯蔵タンク炎上  2015年3月IS脱走兵の証言 イラク 2月貴重な文化財を破壊し尽くすIS モースル イラク

isis-ethiopian-christian-5ethi-LMAP-md過激派組織「イスラム国」は2015年4月19日、エチオピア人キリスト教徒Ethiopian Christiansら約30人をリビアLibyaで殺害したとする映像をインターネット上に公開した。公開された映像のなかでは、「イスラム国」の戦闘員と見られる人物が海岸で、15人ほどの人々を首を切るなどして殺害。さらに残りの15人を灌木地で、頭部を銃撃して殺害する様子が映し出されている。貧困なエチオピアからは、各国への出稼ぎが多く、エチオピア国民の60%以上がキリスト教とされる。 2月には21人のエジプト人キリスト教徒がリビアで斬首されている。 ニュース映像  参照記事 過去ブログ:2015年4月アフガンでIS系が初の自爆テロ 36人死亡、負傷者多数 2月リビアでエジプト・キリスト教徒21人斬首される アフリカ 2014年10月イスラム国を導くアラーの予言と終末論

nappi11 at 06:35│Comments(3)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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コメント

1. Posted by 樺太の隣の島の島民   2015年04月21日 14:22
ロシア国営の日本語ニュースサイト、スプートニクニュースにアメリカの輸送機がisに物資を補給という記事がのっていました。
真偽は知りません
2. Posted by 北の国から猫と二人で想う事   2015年04月21日 14:58
日本語訳前の元が見つからないのでなんと明確に分かりませんが、ISとISIL、またはISISと区別されるシリアの穏健派イスラム組織を翻訳で混同している節がありますね。シリア穏健派へは米軍は支援を継続していますが、シリアでは、たとえば、穏健派と分類されるヌスラ戦線とISが共闘している可能性もあり、そんな記事が出ても不思議ではないでしょう。
3. Posted by By日本人   2015年04月22日 19:38
こいつら、自分達を何様だと思っているんだ? 神にでもなったつもりか? そのうち本当に、神の怒りに触れて神罰が当たるだろうさ!!

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