
動画に映っている破壊行為があったのは、おそらく2015年3月中旬から4月初旬の間と考えられる。動画では、戦闘員が破壊行為を行う前に「われわれが支配下に収めた土地では、多神教のシンボルは必ず根絶し、一神教を広める」と述べている。
タウヒードTawheed, Tauheed (一化の原理)と呼ばれる概念からくる、現在、スンニ派系ワッハーブ派(アラビア語: وهابية, Wahhābiyyah)に代表される一神教の理念は古代からのものではなく、18世紀のイスラム教の復古主義・純化主義的改革運動から浮上した理念であり、それが「慣行・規範・先例」を意味するスンニ派Ahl as-Sunnah (wa’l-Jam?‘ah)に原理主義として広まり、特にその積極的な実践を唱え、他教徒を異教徒として敵対視し排除する行動を取るのを教義とするのがIS(イスラム国)といえる。当然この集団の世界観と存在論からくる、すべてに対する価値観はイスラム教の中でも異質なものになる。いくら学術的に貴重なものでも、アラー以外の権力者、宗教者や物などを神格化した偶像崇拝は、戒律に厳格でシーア派を否定するサラフィー主義Salafism

米コロンビア大学の専門家クリストファー・ジョーンズ氏によると、ISはイスラム教で「シルク(shirk、多元性)」と呼ばれる偶像崇拝を断罪することで、預言者アブラハム
やムハンマドなどを含む偶像破壊者の正当な継承者としての地位を築こうとしているという。ハトラHatra遺跡の破壊を報じる英文記事
ISは、こうした破壊をすることで「信仰の強さ」を誇示し、地域住民の分裂を煽ると同時に、考古学研究を外から持ち込まれた害悪と考え、それはイス ラム世界をカリフ(預言者ムハンマドの後継者、最高権威者)国家として統合するというISの目的を妨げる存在とみなしている。また、ISの考えでは、イスラム教誕生以前の遺跡は偶像崇拝者の国家を象徴するものであり、当然「嫌悪と憎しみ」の対象とみなされる。遺跡の破壊は国際社会の怒りを集めるが、ISは「それ(その行為)自体がアラーに祝福される」と述べている。 しかし、彼らがいくら宗教を装っても、彼ら「イスラム国」が現実にしていることは、彼らがカルト集団でしかないことを証明している。 参照記事を編集、加筆 過去ブログ:2015年4月イラク最大の精油施設をISが攻撃 貯蔵タンク炎上 2015年3月IS脱走兵の証言 イラク 2月貴重な文化財を破壊し尽くすIS モースル イラク


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コメント
2. Posted by 北の国から猫と二人で想う事 2015年04月21日 14:58
日本語訳前の元が見つからないのでなんと明確に分かりませんが、ISとISIL、またはISISと区別されるシリアの穏健派イスラム組織を翻訳で混同している節がありますね。シリア穏健派へは米軍は支援を継続していますが、シリアでは、たとえば、穏健派と分類されるヌスラ戦線とISが共闘している可能性もあり、そんな記事が出ても不思議ではないでしょう。
3. Posted by By日本人 2015年04月22日 19:38
こいつら、自分達を何様だと思っているんだ? 神にでもなったつもりか? そのうち本当に、神の怒りに触れて神罰が当たるだろうさ!!
真偽は知りません