2014年11月19日(ブルームバーグ):「日本のようにはならない」という思い込みに裏付けられて、米国のエコノミストらが日本政府に景気低迷脱却の方法を自信たっぷりに説いたこともあった。
しかし私が2011年に指摘したように、彼らはバブル後の経済立て直しの難しさを過小評価していた。欧米が2008年の金融危機後の低迷からいまだに完全脱却できていない今日、そこで聞こえる日本批判は以前ほど自信満々ではない。
むしろ日本は、世界がそこから学ぶべき先生であり続けている。今週は安倍晋三首相が消費税率引き上げの延期を決め、また一つの教訓を示してくれた。7-9 月(第3四半期)が予想外のマイナス成長となり、日本経済がリセッション(景気後退 Recession)に逆戻りしたことが引き金だ。
増税先送り決定は本質的に、景気の弱さが長引く国が、政府債務増大の抑制を含めた複数の目標を追求するときに起こる混乱を反映している。日本はまた、経済に深く根付いた成長阻害要因を取り除くのがいかに難しいかも示した。
この警鐘は特に欧州に対して重要な意味を持つ。低成長とデフレリスクDeflation riskに直面するユーロ圏は日本と同じような道を歩んでいるからだ。もし欧米が日本の教訓から十分に学べなければ、幾つかの国は日本以上の大問題に直面することになるだろう。日本のような社会的まとまりと集団意識、富のクッションのない国は、もっとひどい苦境に立つ可能性が高い。写真は執筆者のMohamed A. El-Erian 英文記事 *デフレーション( Deflation) 過去ブログ:2014年11月最新OECDの世界経済成長率予測 (実質成長率、%)

