2014年6月28日:イラクでは2014年6月27日も各地で戦闘が続き、北部のティクリットTikritでは、イラク軍が過激派が立てこもっていた大学を奪い返し、ティクリットの東では過激派組織が油田の1つを戦闘の末、制圧した。現地28日には、イラク軍はティクリットの全域奪還の作戦に入る。これには、米軍が指揮で参加している。
イラク軍は数日前にバイジBaijiで激しい戦闘の末石油施設を奪還し、バグダッドの北東50キロ(NHKの記事で100キロは誤記と思われる)ほどにあるディヤラ県Diyala provinceマンスーリーヤガス田
Mansuriyah gas fieldsは、過激派とイラク軍の激しい戦闘の末、イラク軍が地域を奪取したと言われる。首都西部の首都の水源地であり、バグダッドに電力を供給する水力ダムのあるハディーサ
Haditha(Al- Haditha)では、27日、イラク軍がシリアから国境を越えてきた過激派組織に攻撃を加え、過激派のメンバーおよそ30人を殺害したとしている。
参照記事 英文記事 参照記事 英文記事地図などは過去ブログ:2014年6月
追記:日増しに複雑になるイラクの状況
ケリー米国務長官John Kerry, US secretary of state
は2014年6月23日イラクの首都バグダッドを電撃訪問し、イラクのマリキ首相らと会談。6月24日には北部のクルド人自治区のエルビルErbilを訪れ、自治政府のバルザニ議長Massoud Barzani, president of the Kurdistan Regional Government:下左 と会談した。27日には
紅海に面したサウジアラビアの ジッダRed Sea city of Jeddah, 
Saudi Arabiaで、サウジのアブドラ国王 King Abdullah:左 と協議を行い、スンニ派を支援する国王にイラクの紛争鎮静化の仲介を頼んだと言われる。長官はジッダに滞在中、シリアでスンニ派と反アサドで共闘するシリア反体制派の統一組織「シリア国民連合(
Syrian National Coalition)」のアハマド・ジャルバ(
Ahmad Jarba)議長:下右 とも会談している。米国の言うシリアの「穏健派反政府組織:Moderate Rebels」の代表が彼で、米国はシリアで支援している彼らがイラクでも行動することを期待し、その為の追加経済支援も検討に入っている。
英文記事 英文記事 過去ブログ:2013年7月
反政府側に新代表 ラマダン停戦は実現か?シリア
2014年6月29日:6月27日米国ペンタゴンは、すでにイラクに当初の300人より多い、支援要員500人を送り込んだと表明している。28日には、イラクがロシアから購入した5機のロシア製中古攻撃ジェットSukhoi jets:写真左 がバグダッドに到着した。米軍の無人機攻撃、偵察と合わせ、これで広範囲な攻撃が可能になる。
参照記事ISISには、ISISの呼びかけに応じて、アフリカやインドネシアからスンニ派支援の兵士がイラクに集結しているとの報道もある。一方のイラク側にも、シーア派義勇兵が多数戦線に参加しつつある。総指揮が米国国務省(ペンタゴン)の、ロシアも容認する、対イスラム過激派との新たな戦争が始まった。

米国要員がイラクに駐留することで米国無人機による攻撃が活発になるのは当然だが、ニュースでは流れてこないが、支援要員は地上任務だけではなく、攻撃ヘリの操縦に慣れた米国兵パイロットも参加しているのではないか?イラク各地のヘリによる攻撃が急に活発化している。米軍はすでに作戦司令部をバグダッドに設け、イラク北部にも設営の予定だ。ケリー国務長官が訪問したことからみて、これは恐らくクルド人地域、エルビルErbil当たりではないだろうか?
英文記事過去ブログ:2010年5月
イラク 全国で記録的な連続爆破 4月
2010年4月のイラクのシーア、スンニ勢力図