ロシア側の延期要請を無視した形で、ウクライナ東部ドネツク Donetsk及びルガンスク(ルハンスク)Lugansk(Luhansk)州では、2014年5月11日に住民投票実施を予定している。親ロ派が「ドネツク人民共和国"Donetsk People's Republic" 」を目指すドネツク州のマリウポリMariupolでは5月9日戦闘が始まり、一般市民に向けて発砲が行われているとロシア記事が報じている。
さらにロシア紙は、5月6日マリウポリで、独立派の拠点である市議会の建物がウクライナキエフ政権から送り込まれたと見られる武装集団による攻撃を受け、その際に、不明な化学兵器(毒ガス)が使われたと主張している。被害状況は不明だが、多数が
呼吸困難に陥ったとされる。これに対し、ウクライナ政府側はこれについて反応を示していない。ロシアのプーチン大統領Russian President Vladimir Putinは5月7日.ウクライナの分離独立派の住民投票延期を望む声明を出し、同時に、国境周辺からロシア軍を撤収させたと主張していた。NATOはこれを否定している。写真下は、5月4日、マリウポリの市庁舎付近を警備する親ロ派民兵 日 参照記事 参照記事 過去ブログ:2014年5月日本や世界の経済に大きな影響 ウクライナの不安定 ウクライナ東部の紛争拡大 ウクライナのオデッサで40人以上死亡
2014年5月23日:22日、ドネツク州の州都ドネツクから南方50キロにあるボルナバハVolnovakha付近の検問所で親ロシア派武装集団とウクライナ軍の戦闘があり、16人の兵士が死
亡し32人が負傷したと親露派の「ドネツク人民共和国」Donetsk regional state administrationが発表した。一方、イタル・タス通信によると、親露派側は戦闘で20人が死亡したと述べたとされる。 行政庁舎からの親露派強制排除を目指して軍が作戦に着手して以来、1度の戦闘では最悪の犠牲者数とみられる。双方合わせて50人以上の負傷者が出ているも
ようだ。25日に迫ったウクライナ大統領選の実施を認めない親露派が妨害を活発化させ、東部の緊張が高まることが懸念される。現場はこれまで大きな戦闘はなかった地域で、暫定政権側によると22日早朝、軍が陣取る検問所を武装集団が襲撃してきたという。映像記録 参照記事 参照記事 参照記事
2014年5月26日:ウクライナ大統領選挙は25日午後8時(日本時間26日午前2時)、投票が締め切られ開票が始まった。中央選挙管理委員会の開票などでは、親欧州派の元外相ピョートル・ポロシェンコ氏Petro Poroshenko(48歳:資産家でチョコレート製造会社「Roshen」経営)が当選に必要な過半数を獲得する見通しとなった。同氏は25日夜、「1回目の投票で選挙は終わり、(決選投票とならずに)大統領が決まった」と勝利宣言した。これに対し、東部ドネツク、ルガンスク両州で大統領選の投票を妨害した親ロシア派は、新大統領の権限が両州に及ばないとの立場を強めている。インターファクス通信によると、開票率20%の時点でポロシェ
ンコ氏の得票率は54・39%、元首相ユリヤ・チモシェンコ氏former prime minister Yulia Tymoshenko(53)は13・2%。地元テレビが伝えた複数の出口調査では、ポロシェンコ氏に投票したと
答えた有権者の割合は55~57%。チモシェンコ氏が2位で12%だった。参照記事 英文記事 過去ブログ:2014年3月ロシアがチョコレート工場接収 ウクライナは不安定状態
彼は早急な紛争解決と国民のEU加盟実現を表明している。また、一貫してロシアの「クリミア占領:occupation of Crimea」を認めない立場を取っている。これを書いている時点で最終集計は出ていないが、過半数を得たのは間違いなく、彼のウクライナ大統領は確定したが、親露派の東部各州は「西ウクライナの大統領が決まったにすぎない」との態度を取っている。プーチン大統領は態度を軟化してきたが、制裁の影響が自国通貨に悪影響を及ぼすことや、すでに穀物相場が高騰していることを無視できなくなったと想像でき、現在もロシアが、コーカサス地方で分離独立を叫ぶ民族主義者に手を焼いていることを考えれば、無期限にロシアが東部の分離主義者を支援するとは考えにくいのではないだろうか?
現地26日、ウクライナ軍が、親露派が多いとされるドネツクDonetsk の国際飛行場を占拠する反ウクライナ民兵の施設をジェット機やヘリコプターを交えて攻撃したと報じられた。ウクライナ新大統領は、反政府側をテロリスト "terrorists"と断定し、交渉を拒否している。ウクライナ地上軍も作戦を展開し、付近では黒煙の上がるのが確認されている。反政府側は、新大統領が決まった数時間後に飛行場を占拠した。映像記録 映像 参照記事以上は2014年5月11日のブログに追記
27日の報道では、ウクライナ軍が空港付近の反政府側を排除したと報じられ、27日時点で、親ロシア派勢力50人以上が死亡したとされる。しかし、ロシア側報道は全く逆で、ドネツクでは依然として28日も親露派が優勢だと報じている。ドネツク市長は、26日から27日の交戦で民間人2人を含む40人が死亡したと明らかにしている。ロシア紙は29日、ドネツク共和国側が、ウクライナとの戦闘で死亡した約100名の死亡者のうち、33人のロシア国籍を確認したと公表した。そのほかは、地元出身の義勇兵や市民だという。現在、ドネツクとルハンスクDonetsk and Luhanskの親露派分離主義者Pro-Russian separatistsが一方的にウクライナからの独立を宣言しているが、どこからも承認されていない。 参照記事 参照記事
2014年6月7日;7日、ポロシェンコ氏Petro Poroshenkoが新大統領に就任した。就任式の演説でポロシェンコ氏は、まず、ウクライナ東部の安定化について言及し、親ロシア派に対して「殺害に関与していない者には恩赦を適用する」とし
て停戦を訴え、近い将来、現地を訪れる意向を示した。また、連邦化については否定したほか、ウクライナ語が唯一の公用語で、EU=ヨーロッパ連合とは連合協定に早期に署名すべきだと述べ、ヨーロッパとの関係を軸に政権運営をすると表明した。これより先、ベルギーの首都ブリュッセルで開かれていた、ロシア抜きの主要7カ国(G7)首脳会議は6月5日午後、ウクライナ次期大統領で親欧米派のポロシェンコ氏への支持を表明するとともに、ウクライナへの介入を続けるロシアを非難する首脳宣言を採択し閉幕した。今回、クリミアを編入したロシアに抗議するため、16年ぶりにロシア抜きで開催されていた。彼は6日にはフランスでプーチン大統領と会い、ウクライナ情勢について意見交換をしたと言われる。

