人類は、２００万年ほど前、アフリカで猿人から原人（ホモ・エレクトスHomo erectus）に進化し、その後の現代人の祖先、現生人類（ホモ・サピエンス Homo sapiens sapiens）へ進化したといわれている。まだ、猿人（アウストロアロピテクス、Australopithecine）から原人への過程での化石も少なく、その期間は従来から考古学上の空白期間と言われてきた。過去ブログ：２０１０年４月Missing Link（ミッシング・リンク）の発見

この解明中の期間「Missing Link（ミッシング・リンク）」の猿人（アウストラロピテクスAustralopithecine）以降の化石が、アフリカではなく、中央アジアから見つかり、大発見となっている。
黒海に面したグルジア のドマニシ遺跡,The Dmanisi archeological site  Georgiaで、約１８０万年前の地層から原人の完全な頭骨化石が見つかったと、同国の国立博物館などの国際研究チームが2013年10月１８日付 の米科学誌サイエンスに発表した。現代の人類と同じホモ（ヒト）属の初期の成人男性とみられ、完全な頭骨化石は非常に珍しい。人類の進化過程を解明する有 力な手掛かりだという。参照記事　参照記事　参照記事　記録映像

研究チームはまた、グルジアのドマニシ遺跡で見つかった５体の初期ホモの頭骨などを分析。５体と、約２００万年前のアフリカにいた「ホモ・ハビリス」や「ホ モ・ルドルフェンシス」は、同じホモ・エレクトスと結論した。５体の頭部や顔、歯などの個体差からみると、アフリカの２種との違いは別種と呼べるほど大き くなく、現在までにアフリカ以外で見つかった人類の化石で最も古いと指摘している。写真の右端が、今回確認された化石

ドマニシ遺跡は、人類が初めてアフリカを出て、コーカサス地方に向かって移動したルート上にある。同遺跡で発掘されたこの化石は、同様な原人4体の化石の 断片や、粗末な石器が散乱しているのが数年前に発見された場所と同じところで見つかった。これらの化石は全て、周囲が湿った森林で、剣歯虎（けんしこ＝ サーベルタイガー）や巨大なチーターがうろついていた180万年前のものだ。

研究チームは、コンピューターを使った分析で、5体の原人の個体差は、チンパンジーや現生人類も含めた霊長類の間にみられる差異以上のものではなく、世界 各地で見つかった他の原人もすべて石器などの道具を使っていたホモ・エレクトスという種に属している公算が極めて大きいと結論付けた。ホモ・エレクトスは およそ200万年前から14万3000年前まで生存していた。ホモ・エレクトスの化石はアフリカ、スペイン、インドネシア、インド、中国、それにインドネ シアのジャワ島で見つかっている。
つまり、同一地域から5つの、大きな個体差のある化石が初めて見つかったことで、以前には種が区別されていた原人も、すべて同じ種と解釈できるという説が有力になった。人類の進化を研究する上で、大きな進展の可能性が見えた大発見となったが、異論もある。この発見で今後、猿人と原人の境界線がより明確になってくるだろうと、個人的に解釈している。上はこの説を図にしたもので、個人的に原人の解釈が広くなり、約200万年前には一部猿人も含め、地球上では多くの原人の種が混在していたと想定できる。
参照記事　「初期人類はすべて同一種」とする新説　 

現在の研究では、加工した石器が作られたのは約200万年前（アフリカ・ケニア　Kenya's Lake Turkana）までさかのぼっており、ホモ・エレクトスHomo erectusの出現とほぼ合っている。時代的には南アフリカのセディバ猿人の頃で、この猿人の分類も、ヒト属の祖先か猿人かと明確な結論が出ていないが、直立歩行が可能で、器用な手をもっていたと骨格から判断され、今は600万年 - 700万年前出現した猿人アウストラロピテクス属Australopithecineの後期190万年前の猿人に分類されている。　参照記事　参照記事　過去ブログ：２０１０年４月Missing Link（ミッシング・リンク）の発見