レバノン東部にはシリアSyria に近いベカー渓谷(Bekaa Valley)があり、その辺一帯はシリアからの多数のスンニ派難民が居住している。ここのArsal村付近はレバノンLebanonのヒズボラHezbollahがシリアに抜ける要衝で、村の付近にはレバノン兵やヒズボラ兵士が点在し、シリアからの反政府側の侵入を警戒してチェックポイントもある。
この村に2013年5月27、28日とロケット砲が撃ち込まれ、28日の砲撃後、チェックポイントがArsal村方向からやってきた集団に攻撃されレバノン兵士3人が殺害された。村付近への砲撃は、村にいる反政府兵士を狙ったとも、付近のヒズボラ兵士を狙ったとも言われ定かではない。現在、近くのクサイルで激戦が続いており、ヒズボラ兵のシリアへの通過を黙認しているレバノン側への反政府側の襲撃とも言われている。
シリアのスンニ派反政府組織はレバノンに対し、ヒズボラのシリアへの侵攻を許すなと言い、同時にレバノン内のスンニ派兵士のシリアへの移動を認めろと要求している。実際、レバノンには、500名規模のスンニ派兵士が反政府側支援の準備に入っているようだ。国境付近の緊張は相当高まっていると同時に、レバノン各地、トリポリなどでもスンニ、シーアの宗派対立で市民が銃撃戦を繰り返している。
過去ブログ:シリアの難民急増 2013年5月24日時点、3月との比較 で、シリアの周辺国へ相当な難民が移動していると記述したが、難問の生活の一部を記録しておく。
写真は、先に砲爆を受けたレバノンのArsal村だが、彼女が手にしているのは 国連世界食糧計画WFP: United Nations World Food Programmeから配布された食糧交換のクーポン Vouchers(バウチャー)で、近くの配給所で野菜を含む食糧と交換できる。参照記事
一部のArsal村のシリア難民はテント村に住んでいる。冬は雪の降る地域でもある。アサドが反政府側との交渉につくとの報道も28日流れたが、反政府側も、シリアにイスラム国の建国を狙うアルカイダ系イスラム組織と自由シリア軍が意を異にしており、先行きはそう簡単には見えない。一見平和に見えるこの村にも、今は砲弾が降ってくる。参照記事
5月28日、欧州連合(EU)が27日にシリア反体制派に対する武器禁輸の解除を決めたことでロシアが反発しているが、ロシアがシリアへのS-300ミサイルシステム:写真 の売却を止めたのは、ロシア内のイスラエル系国民の反発に配慮した、お家の事情であり、EUの国連決定無視とも取れるこの判断は、ヒズボラの参戦で戦況が変化した事で、早期に、レバノンなどを巻き込まない、シリア内戦の状態で決着をつけたいという真意のようだ。カナダのように、EUの反政府側への武器輸出は、シリア人の被害を大きくするという人道の面からの意見もある。
このEUの方向転換で、またロシアが、シリアにミサイルを売ると騒ぎ出した。またもロシアは大失策をしようとしているように見えるのだが、歴史は後日どうみるだろう。ロシアの騒ぎぶりに、イスラエル、フランスは、単に脅しているだけだと相手にしていないようだが、、。もしロシアがミサイルシステムをシリアに渡しても、シリアは訓練などに1年はかかり、海上輸送中のミサイルをイスラエルが攻撃する可能性が言われている。シリアがロシア製ミサイルを入手して使用することは、現実にはあり得ないシナリオのようだ。
このロシアの牽制?に対し、VOAなどはすぐに、今後のシリアでの飛行禁止ゾーンの設定議論が覚めてしまうという専門家の意見を載せているが、そのようなロシアの高性能ミサイル譲渡の動向にはイスラエルが敏感に反応し、あらゆる手段で破壊工作に走るだろう。そして、もし、強引にEUを無視した行動をロシアが取れば、ロシアの構築した経済圏はすべて砂塵に帰してしまう。今のロシアはすでに、EUの眼の色を見ながらしか行動できないと個人的に思っている。かといってEUがロシアに強く出ないのは、現実にロシアにエネルギーを依存しているからだろう。日本も、過度なロシアへのエネルギー依存が、日本を束縛す可能性のあることをシリアの流れから学ぶべきだ。2011年11月:日本はこれを操れるか? ロシア産天然ガス欧州に届く ロシア、ドイツ
和平協議に一歩踏み出したとも昨日報じられたアサドだが、どうやら死ぬまで戦いを止めれないようだ。彼の脳裏には、仲の良かったカダフィ大佐の顔がちらついているだろう。それにしても、状況の変化がめまぐるしい。参照記事 参照記事 参照記事
*EUがシリアに課している武器禁輸は5月31日に期限が切れる。EUのキャサリン・アシュトン外交安全保障担当上級代表は28日、EU各国がこの問題について一致することが出来なかった(延長できなかった)と明らかにしており、各国が独自の判断をすることができると指摘しているが、すぐに各国が反政府側に武器支援とはならないようだ。参照記事
この村に2013年5月27、28日とロケット砲が撃ち込まれ、28日の砲撃後、チェックポイントがArsal村方向からやってきた集団に攻撃されレバノン兵士3人が殺害された。村付近への砲撃は、村にいる反政府兵士を狙ったとも、付近のヒズボラ兵士を狙ったとも言われ定かではない。現在、近くのクサイルで激戦が続いており、ヒズボラ兵のシリアへの通過を黙認しているレバノン側への反政府側の襲撃とも言われている。
シリアのスンニ派反政府組織はレバノンに対し、ヒズボラのシリアへの侵攻を許すなと言い、同時にレバノン内のスンニ派兵士のシリアへの移動を認めろと要求している。実際、レバノンには、500名規模のスンニ派兵士が反政府側支援の準備に入っているようだ。国境付近の緊張は相当高まっていると同時に、レバノン各地、トリポリなどでもスンニ、シーアの宗派対立で市民が銃撃戦を繰り返している。
過去ブログ:シリアの難民急増 2013年5月24日時点、3月との比較 で、シリアの周辺国へ相当な難民が移動していると記述したが、難問の生活の一部を記録しておく。
写真は、先に砲爆を受けたレバノンのArsal村だが、彼女が手にしているのは 国連世界食糧計画WFP: United Nations World Food Programmeから配布された食糧交換のクーポン Vouchers(バウチャー)で、近くの配給所で野菜を含む食糧と交換できる。参照記事
一部のArsal村のシリア難民はテント村に住んでいる。冬は雪の降る地域でもある。アサドが反政府側との交渉につくとの報道も28日流れたが、反政府側も、シリアにイスラム国の建国を狙うアルカイダ系イスラム組織と自由シリア軍が意を異にしており、先行きはそう簡単には見えない。一見平和に見えるこの村にも、今は砲弾が降ってくる。参照記事
5月28日、欧州連合(EU)が27日にシリア反体制派に対する武器禁輸の解除を決めたことでロシアが反発しているが、ロシアがシリアへのS-300ミサイルシステム:写真 の売却を止めたのは、ロシア内のイスラエル系国民の反発に配慮した、お家の事情であり、EUの国連決定無視とも取れるこの判断は、ヒズボラの参戦で戦況が変化した事で、早期に、レバノンなどを巻き込まない、シリア内戦の状態で決着をつけたいという真意のようだ。カナダのように、EUの反政府側への武器輸出は、シリア人の被害を大きくするという人道の面からの意見もある。
このEUの方向転換で、またロシアが、シリアにミサイルを売ると騒ぎ出した。またもロシアは大失策をしようとしているように見えるのだが、歴史は後日どうみるだろう。ロシアの騒ぎぶりに、イスラエル、フランスは、単に脅しているだけだと相手にしていないようだが、、。もしロシアがミサイルシステムをシリアに渡しても、シリアは訓練などに1年はかかり、海上輸送中のミサイルをイスラエルが攻撃する可能性が言われている。シリアがロシア製ミサイルを入手して使用することは、現実にはあり得ないシナリオのようだ。
このロシアの牽制?に対し、VOAなどはすぐに、今後のシリアでの飛行禁止ゾーンの設定議論が覚めてしまうという専門家の意見を載せているが、そのようなロシアの高性能ミサイル譲渡の動向にはイスラエルが敏感に反応し、あらゆる手段で破壊工作に走るだろう。そして、もし、強引にEUを無視した行動をロシアが取れば、ロシアの構築した経済圏はすべて砂塵に帰してしまう。今のロシアはすでに、EUの眼の色を見ながらしか行動できないと個人的に思っている。かといってEUがロシアに強く出ないのは、現実にロシアにエネルギーを依存しているからだろう。日本も、過度なロシアへのエネルギー依存が、日本を束縛す可能性のあることをシリアの流れから学ぶべきだ。2011年11月:日本はこれを操れるか? ロシア産天然ガス欧州に届く ロシア、ドイツ
和平協議に一歩踏み出したとも昨日報じられたアサドだが、どうやら死ぬまで戦いを止めれないようだ。彼の脳裏には、仲の良かったカダフィ大佐の顔がちらついているだろう。それにしても、状況の変化がめまぐるしい。参照記事 参照記事 参照記事
*EUがシリアに課している武器禁輸は5月31日に期限が切れる。EUのキャサリン・アシュトン外交安全保障担当上級代表は28日、EU各国がこの問題について一致することが出来なかった(延長できなかった)と明らかにしており、各国が独自の判断をすることができると指摘しているが、すぐに各国が反政府側に武器支援とはならないようだ。参照記事