アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンTalibanの創始者、最高指導者 ムラー・モハマド・オマールMullah Mohammed Omar(1996年一時的にソビエトからアフガンを奪取した時の国家元首でもあった 写真右の右)の側近とされるタリバンの最高軍司令官アブドル・ガニ・バラダルMullah Abdul Ghani Baradar:右の左 がパキスタンでパキスタン情報部に拘束されたことが2010年2月17日に明らかになっている。これは平和解決を模索するアフガン政府にとってもマイナスで、バラダルがいなくなってタリバンとの和平の話し合いを行うのが難しくなり、交渉中だったアフガンのカルザイ大統領がパキスタンに激怒したと言われている。
30年に及ぶ紛争でタリバンは高い危機管理能力を身に付けていたが、現在司令官を失い管理体制に大きな穴が開いた状態で、バラダルの「穴」は当面、少なくとも3人の幹部による集団指導で埋めることになるようだ。
1人はバラダルの副官で、忍耐強くて寛容な人物と評判のアクタル・モハマド・マンスールAkhtar Mohammad Mansoor。もう1人はバラダルの後継者とも目され、冷酷で短気と評される軍事委員会のアブドゥル・カユム・ザキールAbdul Qayum Zakir委員長。3人目はカンダハル州の元知事the former governor of Kandahar provinceモハマド・ハッサン・ラマニMullah Mohammad Hasan Rahmani
米軍の3万人規模の完全増員を前に、アフガン、パキスタン北西部ではタリバンが勢力を盛り返しているとの情報もある。夏にはアフガ
ン南部カンダハルで大攻勢を仕掛けるとのタリバンの声明もあり、米軍、国際軍と大決戦が行われる可能性が高い。現在国際軍の補給車両にめがけての爆弾テロが続発している。これもその前哨戦のように思われる。
2010年6月20日:不気味なのは国際組織アルカイダの米国生まれのスポークスマンが、近いうちに甚大な被害の出る米国攻撃を予告していることだ。(左写真の男) 最近のアフガン情勢
2010年6月23日:オバマ政権の「出口戦略」では、今年末までにアフガンの戦況を好転させ、2011年7月に米軍撤退を始めるという構想だが、アフガニスタン駐留米軍のスタンリー・マクリスタル司令官The commander of US and Nato military forces in Afghanistan General Stanley McChrystal(右) は
6月10日、現地で記者団と会見し、アフガン南部カンダハル州でのタリバン掃討計画について、「実施まで数か月かかる」と述べ、本格化が予定より遅れて今
秋以降になるとの見通しを示している。その後彼はオバマ政権のアフガン戦略を露骨に批判し、また彼の作戦が支持されないことで「本当の敵はホワイトハウスの弱虫どもだreal enemy’ are the ‘wimps in the White House」と発言し
他とも言われ、失言があったとして6月22日謝罪した。更迭は無いと思うがこの件で大統領に報告のため一時帰国を命じられた。彼は主に、来年の撤退が早す
ぎること、兵隊の補充の遅れ、アフガン政府の統治能力への疑問(アフガン内部の汚職は相当に深刻な問題)などを問題にしている。アフガン、パキスタン北部
でタリバンが支配地を奪還している状況では1年後の撤退には無理があるよ うに思える。相手はソビエト軍を敗退させ、その後のアフガン内戦を勝利したタリバン(パシュトゥーン人)で
ある、それもアフガン南部のカンダハルのソビエト軍の敗北(1979年12月侵攻1989年撤退)が原因だった。その時カンダハル市街地に深入りしすぎたソビエト軍は包囲され、甚大な人的被害を出した。その時のイスラム抵抗組織「ジャマート-エ・イスラミ」の野戦指揮官が上のオマールだった。(厳密にはタリバンの成立はソ連軍撤退後のアフガン内戦時1994年ころ)。現在の状況は、テロの頻発など当時と非常によく似ている。
6月23日、オバマ米大統領はスタンリー・マクリスタル司令官司令官の辞任を受け入れたと発表した。後任はアフガンやイラクなど中東全域を担当する米中央軍のペトレイアスGeneral David Petraeus司令官(左下)が兼務する。

