もう1年も前に書いたブログ記事:255人殺害、米国戦史最高の狙撃手「クリス・カイル」 へのアクセスが急に増えていた。「何かあったな、、」と調べると、この伝説の米軍退役狙撃手が2013年2月2日5時ころ、テキサス州の射撃場gun rangeで殺害されているのが発見されていた。写真は2012年4月のクリス・カイルChris Kyle氏38歳 2児の父親だった。昔のインタビューYOUTUBE映像:投稿2012年2月彼は兵士Chad Littlefield35歳と犯人の男3人で銃の練習場に2日午後3時15分頃集合し、3時半頃にその男に至近距離から一緒にいた兵士と共に撃たれ、二人とも5時ころ遺体で発見されたと報じられている。犯人の男はエディー・ルース Eddie Routh, 25歳:写真 で、2名を射殺後カイル氏のトラックを運転し、2日夜テキサス州のダラスの南、ランカスター Lancaster, south of Dallasの自宅に戻っているのを発見され、警察はカイル氏のトラックで逃走を図った犯人を追跡、2日午後8時34分に、反抗する犯人にレーザー銃を使って逮捕している。犯人も海兵隊
帰還兵で、心的外傷後ストレス障害Post Traumatic Stress Disorder (PTSD)を患っていたと、非公式に報じられている。クリス・カイルChris Kyle氏は1999年から2009の間、米海軍特殊部隊Navy SEALで狙撃手として活躍し、幾多の栄誉賞を得、米国戦史では英雄と称えられ、彼の自伝"American Sniper"を基にした映画化の話も進んでいた。彼は、退役後、狙撃の技術と経験を教える仕事の傍ら、自らFITCO Cares Foundationという、戦場での後遺症に悩む帰還兵をサポートする非営利団体を運営し、 2012年に出版した自伝"American Sniper"はベストセラーになっている。米国では、銃による悲惨な事件が相次ぎ、議会でも銃規制法案が正に審議中の事件だった。4つの戦場を生き延びた男が射殺される米国とは、、。 参照記事
犯人はイラクに派遣されていた元海兵隊員で事件当時は無職、現在は、2名の殺人容疑で300万ドル(約2億7千万円)の保釈金付きで留置されている。彼ら3人は当時、銃の練習で集まったとみられているが、犯人の殺害動機などは不明。殺害されたカイル氏の友人は以前彼が「兵士が一般市民に戻るのは非常に難しい、、兵士への教育は勇士になることで、ビジネスマンになることではないからだ」と語っていたとコメントしている。参照記事
「ニューヨーク・タイムズ」の資料によれば、2012年戦場で戦死した米軍兵士1人に対し、退役軍人25人が自殺している。 毎年米国では、6500人を超す退役軍人が自殺しているが、この数は、アフガニスタンとイラクで軍事作戦開始以来戦死した米軍兵士の数を上回っている。自殺及び退役軍人による犯罪の主な原因としては、ストレス性障害、鬱そのほかの精神疾患が挙げられている。別な記事では、米国の21の州の退役軍人の1999年~2010年の自殺データとして、平均65分に1人自殺していると報告され、その69%が50歳以上となっている。参照記事 参照記事
米ワシントン・ポスト紙などの報道によると2012年に自殺した米軍兵士の数が国防総省の統計開始(01年)以降最悪の349人にのぼる(これまでの最悪 は2009年の310人)。昨年アフガンの戦闘で死亡した兵士(ワシントン・ポスト集計)は229人だから、自殺者が戦死者上回ることになる。内訳は陸軍 182人、海軍60人、空軍59人、海兵隊48人。海兵隊は前年が32人だったから50%増、空軍は前年より16%増で海軍は15%増となっている。このように急増した原因は特定されていないが、イラク、アフガンでの戦闘体験からくるPTSDや薬物濫用などが指摘されている。参照記事
その後判明した経緯など:逮捕後のルースは反抗的で、郡のシェリフに「あんな奴は見たこともない」と言わしめている。収監後の食事のトレイをルースが返却しないため取り上げた際に、看守が攻撃を受け、彼は独房で椅子に拘束され、自殺の危険から厳重に監視された状態だと報告されている。殺害されたカイル氏とリトルフィールド氏は近所同士で、共にFITCOで活動していた。事件の朝、カイル氏がルースの自宅から彼を車で拾い、同日3時15分ころ3人が射撃場に集合した。その後、5時になって地元のハンティングガイドが二人の遺体を発見し911に通報。それぞれ、至近距離から複数の弾丸を受けたようだと言われているが、公式な報告はされていない。犯行後ルースは、奪ったカイル氏の車で姉と義兄弟の家を訪れ自らの犯行を伝えている。ルースが去った後、二人は警察に通報し、警察はルースの自宅に8時ころ到着し、自首を説得したがルースは車で逃走した。追跡の果てに警察は、同日夜9時ころルースを逮捕した。2013年2月2日、カーチェイスの末に逮捕されるルースの映像。
ルースの自宅からは、彼が犯行に使ったと思われる半自動拳銃semi-automatic handgunが発見されたが、彼の所有かは不明。彼には、覚醒状態で運転したとして、1月に有罪になった裁判記録が残っている。(彼の左の写真はその時のものと個人的に推測している)
犠牲になったカイル氏は以前地元紙に、退役後になかなか市民生活に復帰できなかった自分の過去の経験から、何としてでも自分には帰還兵を助ける義務があると述べている。カイル氏はダラスで警備会社を興し、殺害現場となった銃の練習場で発射訓練や銃の扱い方などの指導を催し、その一方で、非営利団体FITCOを通じ、戦争の後遺症で苦しむ退役軍人の社会復帰の面倒やPTSDに対するケアを行っていた。
過去にカイル氏と海兵隊仲間だった一人は、彼ら3人がなぜ射撃場にいたか理解できるとし「銃を撃つことで彼らはリラックスできるし、すっきりするからだ」と述べていることから、退役軍人の抱える問題の複雑さが理解できる。殺害された二人は共に、家族と妻の助けで立ち直っていたが、皮肉にも、そんな彼らが手を差し伸べた相手に、時には彼らを癒してくれた銃によって殺される結果になった。
殺されたカイル氏は幾多のインタビューの質問で、何度も「殺された相手を気の毒に思ったことはないか」と問われ、毎回明確に「全くない。戦場ですべきことをしただけだ」と答えている。その信念は戦争が戦士に与えた免罪符で、彼が戦場でタフに生きていくには不可欠だったろう。もしかしたら、「戦争で敵を殺すのは悪いことではない」と、カール氏はルースに説いたかもしれない。もしルースの心の中で「奴は敵だ、奴を殺せ」と、そんな呟きがあったとしたら、言ったのは誰なのか?心に宿った悪魔なのか?もし、ルースの心の中でまだ戦争が続いていて、そんな彼に「戦争では敵を殺すのが戦士だ お前は優秀な戦士だ」とカール氏が説いたとしたら、、。また、ルースが嫌悪したかもしれない、「銃を撃て」というカール氏の言葉は、ルースには「敵を殺せ」という戦場の上官の言葉とダブったのかもしれない。筆者の、精神を病んだ人間、というより、狂った人間も見てきた経験から、彼らには時間の経過、過去と現実がはっきりしなくなる傾向がある。普通に話していて、急に別な世界に入ってしまう。精神を病むとはそういうことで、麻薬使用でも同じようなことが起き、かなり重い鬱になる場合がある。復員兵の自殺に関係してはいないだろうか?現在でも、現実の戦場と麻薬は切っても切れない関係にあり、このことは、戦場に行った米国人兵士なら誰も否定しないだろう。 以上は、参照記事からの抄訳と個人的な感想です。その後の経過:2015年1月映画「アメリカン・ スナイパー」のヒットと反イスラム感情

2015年2月17日:この事件の初公判が2月から始まり、事件時の状況が一部判明している。想像通り、ルース被告(27:右は現在のルース被告とイラクのFallujahにいた2007 ~2008年 当時の被告)は当時麻薬を使用していたようだ。以下は記事からの抜粋。アラン・ナッシュ州検察官は冒頭陳述で、カイルは背中と脇腹に5発、頭部に1発の銃弾を浴びていたと説明した。その場にいたカイルの友人で、支援活動を手伝っていたチャド・リトルフィールドもルースに射殺されたが、彼は背中と手と頭を撃たれていたという。犯行時にルースがドラッグとアルコールの影響を受けていた可能性があることも明かになった。「(刺激を強めるために死体防腐剤に浸けた)いわゆる濡れたマリファナ煙草を吸い、ウィスキーを飲んでいた」と、ナッシュ検察官は陪審団に語った。
弁護側は、ルースはPTSD患者で、自分のしたことが分からない状態だったと主張。これに対して、ナッシュは「被告は(犯行後、姉に)2人を殺害したこ と、その朝ドラッグを使用し、アルコールを飲んだことを打ち明け、悪いと知りながら犯行に及んだことを認めていた」と反論した。弁護側は、犯行時にルースは一時的な心神喪失意に陥っており、責任能力がなかったという主張を曲げづ、「、、悪いことをしているという意識がなかったばかりか、身の危険を感じて2人を殺さなければならないと思い込んでいた」と、ティム・ムーア弁護士は陪審団に訴えた。
ムーア弁護士が被告の心神喪失の証拠として挙げたのは、カイルがリトルフィールドに送ったテキストメッセージだ。3人で射撃場に向かう途中、カイルはルースの言動がおかしいことに気づき、「こいつ
は完全に狂ってる」とリトルフィールドに警告していた。カイルの妻ターヤTaya Kyle:左 も証言台に立ち、ターヤはその日、カイルがルースとリトルフィールドと一緒にいるときに送ってきた複数のテキストメッセージから、夫がイライラしていると感じたという。陪審団が評決を下すまで今後何週間か、法廷で被告の刑事責任能力の有無が問われることになる。有罪になれば、ルースは終身刑を科される可能性がある。参照記事弁護側は、被告の心神喪失、あるいは精神分裂症schizophreniaの立証で、彼に当時殺人に対し間違っているという意識はなかったと陪審へ訴える作戦だが、2月16日に公判で公開された過去の自白テープでは、被告が殺人が悪いことと認識していたとも報じられている。それが事件時なのか、事件後の心境なのかなどが争点になりそうだ。参照記事 参照記事
2014年2月24日:エディ・ルースEddie Routh被告(27)に対し、米テキサス州の裁判所は2月24日、仮釈放なしの終身刑を言い渡した。被告は兵役から帰還後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患ったとして精神疾患による無罪を主張したが、陪審員は退けた。2010年年6月、ルースは軍を除隊した。テキサス州に戻ったルースは頻繁にパニックに襲われ、薬物と酒に頼る生活を始め、父親は変わり行く息子を癒す為に最善を尽くしたが、ルースは自殺未遂を 繰り返した。飲酒運転で逮捕もされた。夜中にわずかな物音で飛び起き、母親の部屋まで走って安否を確認した事もあった。一人になるのが怖くて泣きながら母 親の手を握り、ベッドに入った夜もあった。ガールフレンドができたが変われなかった。何度も病院で診察を受けた。この頃ルースは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断を受けたとされる。しかし陪審員は、軍隊が彼の人間性を破壊したことを認めなかった。軍隊とは、兵士の人間性を破壊する機能集団で、戦場は人間が殺人マシーンに変貌せざるを得ない修羅場なのだが、、。 参照記事
コメント
2. Posted by 九州の案山子 2013年02月04日 10:44
名射撃士前の玉防げても後ろ玉避けきれんでしたか
自分以外は敵てすよねー
自分以外は敵てすよねー


を読んで、改めて、戦争は勝っても悲惨であると実感しました。
日頃、獣は銃で殺していても、初めて人間・敵を狙撃する時の(クリス・カイル言)「ためらい」・・・それを、失わせる戦争・・・恐ろしい・・・。