野田佳彦首相は2012年9月26日、ニューヨークで開かれている国連総会で「領土問題は国際法にのっとって解決すべき」とする演説を行った。 中国網は27日、演説に対して中国政府・外交部の報道官が、「ある一部の国は歴史的事実や国際法を顧みずに公然と他国の領土主権を犯しているにもかかわらず、国際法を持ち出して隠れ蓑にしようとしている。こんなやり方は、本人も驚くほどのペテンである」と暗に 日本政府の態度を批判した。

newsle54日本から見ればとんでもない反応なのだが、30年にわたりアジア・太平洋問題とアメリカの外交政策の専門家として米政府 で勤務するロバート・G・サッター(Robert G. Sutter) ジョージタウン大学客員教授ハーバード大学より博士号取得(歴史学、東アジア言語)教授がこれを説明している、(日本訳原文が長いので2012年09月26日付けニューズウィーク「中国ナルシスト愛国心の暴走:China's Self-Absorbed Nationalism」より抜粋 参照記事

「東シナ海に浮かぶ5つの島と3つの岩礁から成る尖閣諸島。その領有権をめぐる日中間の対立が再び先鋭化したのは8月半ばのこと。中国各地では反日デモが 起き、メディアやネット上には政府が領土防衛にもっと力を入れ、日本の「不法占拠」に対抗するべきだという声が高まった。
、、外交評論家らが指摘するように、中国の民衆やエリート層が領土問題で政府に厳しい対応を求めるようになったのは、冷戦終結と世界各地における共産主義の崩壊以降、政府が愛国主義を強力にあおってきた結果だ。その愛国主義とは、「中国は19世紀以降ずっと不当に扱われ、列強によって領土や主権を踏みにじられてきた。今の中国は、自らの支配権を守り、領有権問題の起きている領土や主権を取り戻す力を付ける途上にある」という被害者意識をベースにしている。、、とはいえ、被害者意識は中国当局が育ててきたいびつな愛国主義の一面にすぎない。それと同じくらい重要なのは、中国政府が自国民に刷り込んできた「身勝手に国益を追求する他の大国と違って、中国は国際社会で正義を実践する国だ」というイメージだ。、、こうした認識と現実の間には大きなギャップがある。確かに被害者意識に関して言えば、中国は19〜20世紀にかけて、列強から抑圧的な扱いを受けた。だが中華人民共和国の過去60年間の歴史を見れば、道義的で原則に基づく善良な外交が行われたのは例外にすぎないことが分かる。その政策はむしろ一貫性を欠き、暴力的なことが多かった。、、問題の一部は、中国のエリート層も民衆も、自国の暴力と過干渉の歴史をほとんど知らないことにある。だから彼らは、近隣諸国と遠くの大国(つまりアメリカ)がなぜ中国に対して疑念や懸念を抱くのか理解できない。、、要するに、中国当局がエリート層と民衆に植え付けてきた愛国主義には2つの特徴がある。中国が大国の犠牲になってきたという意識と、中国は外交において道義と正義を守ってきたという独特の強烈な意識だ。このため彼らは、近隣諸国やアメリカとの間で主権や安全保障をめぐる問題が起きると、中国ではなく相手側に原因があると考えるようになった。、、他国が領有権を主張したり、中国に譲歩を求めたりすることに我慢できない。、、 中国のエリート層と民衆が、南シナ海と東シナ海の問題に関して、政府にもっと厳しい態度を要求するのにはこうした背景がある。中国政府のイメージ戦略は見事に成功した。それだけに中国近海における緊張を緩和するのは一層難しくなったといえるだろう。これらの問題が近い将来解決される可能性は乏しい。」

magworld100912何とも悲観的な結論に至っているが、日本が中国のゆがんだナショナリズムの犠牲になる必要もないはずだ。教授の指摘はそのまま韓国にも当てはまる。韓国の歴史教育も公正なものではなく、すべてが被害者意識に立った政府のプロパガンダが底辺にあり、最近は神話教育までも教育に織り込もうとしている。全く戦前の日本の皇国史観教育に戻ったような状況で、日本は、そのような教育を受けた当時の将校に無理やり軍国化への道に引きずり込まれ、国民もそれを疑いもなく支援し、疑った者は弾圧された。日本はその後、民主化への道へ大きく舵を切ったが、中韓は今もそのままで、相互のずれは益々大きくなっている。過去ブログ:「一番公正な歴史教科書は日本」米スタンフォード大学



nappi11 at 00:12│Comments(2)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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コメント

1. Posted by よりばば   2012年09月30日 00:46
 共産主義に自由経済を取り入れた矛盾が噴出したと昨夜の報道番組で知りました。
一部の商才やコネのある人や党幹部だけが大金を得て優雅に暮らす。
普通の人々は身を粉にして働いても暮らしは苦しく、若者は職さえない。
かといって平等な配給も無い。
 だからデモで農村重視の平等主義の故毛沢東を持ち出し、現政権を暗に批判したのだそうだ。直接党を批判すると命が・・・。
そこで、大人しい日本の企業を標的にしたのだと思います。
他の国の企業なら、直ぐに自国民保護で軍がやってきかねない。
 真面目に共産主義を実践しているある田舎の党幹部は、工場を村に造り、村人を雇い、利益を配分して感謝されていると紹介されました。
赤字で倒産しそうな時があったが、党に直談判して借金棒引きを取り付け、工場の存続を守り感謝されているそうです。
 共産主義でも、正しく行えばそれなりに人々は幸せに暮らせるんだと思いました。
 あの酷いデモというか略奪があった地区の橋を渡った隣地区は平穏
2. Posted by よりばば   2012年09月30日 00:53
※途中で勝手に投稿になりました・・・
  続き
だそうで、その理由は、橋の通行料が暴動のあった地区の月給と同じ位の高額なので、橋を渡ってゆけないからだそうです。
格差もここまで酷いとは!

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