120919083929-afghan-mining-01-horizontal-gallery2012年9月25日: アフガニスタン Afghanistan中部Logar provinceにある2600年前の仏像や寺院などの貴重な遺跡が、中国企業による鉱山開発で破壊されようとしているとして、米国の米ノースウェスタン大学Northwestern University.教授のブレント・ハフマンBrent Huffman教授が遺跡の保護を訴えている。ハフマン氏によると、首都カブールの南部、ロガールLogar県アイナクにあるメス・アイナクMes Aynakは巨大な壁に囲まれた仏教都市で、略奪や旧支配勢力タリバーンによる破壊を免れ、幾つもの巨大な寺院や数千体もの仏像が残っている。日常生活について記した未発掘の写本も大量に存在するほか、仏教建築の下には青銅器時代の遺跡が眠っているとみられることも、ここ数年の考古学調査で判明した。

kortしかし同地は2007年に行われた入札で、中国国有の資源大手、中国冶金科工集団(MCC: China Metallurgical Group Corporation)が30億ドル(約2300億円; 29億ドル 約 2,700億円の記述もある)で30年間のリース権を獲得。2012年12月末から開始される露天掘りの銅山開発(遺跡の地下に長さ4キロ、幅1.5キロ以上もある銅の鉱床が眠っているとされ推定埋蔵量は世界最大級の1100万トン=880億ドル相当)により、メス・アイナク遺跡の寺院や仏像なども含めて、6つの村や山脈が破壊されるという。MCCは1000億ドル相当の銅をアイナク鉱山(Aynak mine)で産出する計画で、契約を締結するまで遺跡の存在は知らなかったと説明。国際社会からの圧力を受けて2009年に、発掘のため3年間の猶予期間を設けると表明したが、専門家によれば、すべてを発掘しようとすれば30年はかかる見通しだ。ハフマン氏は、「バーミヤンの仏教遺跡が破壊されたのと同様に、間もなくこの遺跡も破壊されると考えると、ひどく心が痛む。これは文化にも宗教にも一切の 敬意を払わない冒とくだ」と批判。MCCも世界銀行もアフガニスタン政府も、できるだけ早く鉱山開発に着手することばかり望んでいると嘆き、腐敗が蔓延(まんえん)しているアフガニスタンで鉱山開発によって利益を手にするのはほんの一握りの特権階級のみであり、国民が得るものは何もないと指摘している。参照記事 英文参照記事

Bagrami, Kabul, Afghanistan2012年9月の記事によれば、発掘作業が続けられているガブールKabulより35km南の「ささやかな銅の源」を意味するメスアイナクではこれまでに、3つの仏教の僧院、当時採掘されていた銅山跡、彫像、コイン、レリーフ、壁画が発掘されている。今回の発掘では更に、金のネックレス、宝玉、金の器、銅のスプーン、その他の宝石や原石が、考古学発掘チームによって発見され、2009年に初めて発掘を始めて以来の最大の成果が得られた。 少なくとも、あと3つの僧院が発見される見込みであるという。遺跡は、1~7世紀のクシャン王朝Khushan dynasty時代ものと思われる。「金製品、壁画、彫像などから、居住者はかなり裕福であったと思われる」と、この発掘作業のリーダーであるハンスカーバーHans Curvers氏は言っている。英文参照記事 写真は発掘キャンプのあるメスアイナク一帯

2338999_300現在ブレント・ハフマン教授:写真ヘドオフォン は、メス・アイナク遺跡のことを世界に知ってもらいたいとの思いから、2011年から同遺跡についてのドキュメンタリー映画制作に着手している。汚職体質のアフガンと中国が相手では、遺跡の破壊、盗掘、遺産の闇売買、密輸出は避けられないのではないだろうか?
過去ブログ:鉱物資源の宝庫アフガニスタン YOUTUBE:Campaign to Save Mes Aynak 参照ブログ:2013年4月中国、アフガンの原油採掘に目途 アフガン北部

20100104201237「中国冶金科工集団(中冶集団)MCC」と中国最大手の銅生産企業「ジアンシー・コッパー(江西銅業)」は2007年11月共同でアフガンのアイナク銅山の開発権を国際入札で 29億ドル (約 2,700億円、アメリカ 企業は 9億ドル 約 840億円だったといわれる)で落札しているが、しかし米国の政府関係筋の情報では落札に際して中冶集団からイブラヒム・アデルMinister of Mines Ibrahim Adel 鉱山相に3000万ドル(約27億円)が渡っていたという情報をワシントンポストが報じている。

運送には(1) アイナクから、バーミヤンを とおり マザリシャリフ~ ウズベキスタン 国境~ 中国 新疆ウイグル自治区ウルムチまで (2) アイナクから、パキスタン 国境に ちかい ジャララバードまで の鉄路が利用される予定で、アジア 開発 銀行 (ADB)が 整備 計画を すすめていると言われ、一部はすでに完成している。参照記事 過去ブログ:2013年4月中国、アフガンの原油採掘に目途 アフガン北部 2011年12月アフガンで鉄道輸送一部完成

arsala_jamal2013年10月15日;アイナク銅鉱山の中国との共同開発を主導していたカルザイ大統領の側近で、ロガール州のアルサラ・ジャマル知事 Arsala Jamal Logar governor;右 は、15日朝、モスク(イスラム教礼拝所)で演説中に、マイクに仕掛けられた爆弾で暗殺された。実行組織は不明  アフガンでは10月12日、来年末以降の駐留米兵の地位に関する「安全保障協定」について、米国とアフガンが裁判権を除く大筋で合意し、イスラム原理主義勢力タリバンの指導者、オマル師がテロ攻撃を強めると警告していた。 映像記録 参照記事 参照記事

10917290_893183357437340_4552273935863384574_n2015年9月:2013年、MCCはアフガニスタン政府が提示していた契約条件に不服を唱えるようになったが、両者の交渉はまだ再開していない。少なくとも2018年までは、銅の採掘が始まることはなさそうだ。鉱山開発で失われる前に調査を進めようと、ここでは7年前から、考古学者たちが地元の作業員を率いて発掘作業を 進めてきた。現在「メス・アイナク」の周囲には100カ所以上の検問所が設けられ、約1700人の警察官が24時間体制で警備に当たっている。参照記事 参照記事


nappi11 at 01:15│Comments(2)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

トラックバックURL

コメント

1. Posted by 九洲の案山子   2012年09月25日 05:24
価値観の違いてす
後日気が付いて悔やむかも でも  お金欲しいから仕方無いかも
価値 評価 外からしますから

早く保護団体 動くといいですね
2. Posted by よりばば   2012年09月26日 09:32
「文化にも宗教にも一切の敬意を払わない」国が落札した悲劇・・・。
地球のいたるところで行われる、中国のやりたい放題。
止めようが無い・・・。
唯一止める事が出来るのは、中国国民一人ひとりの自覚だと思います。
 世界に通じる知識人の小さな声が集まって、大きな声になる日が早く来ますように!

コメントする

名前
メール
URL
絵文字