kunimas2かつて秋田県の田沢湖だけに生息し、1940年(昭和15年)以降に絶滅したとされてきた日本固有の 淡水魚、クニマスについて、環境省はレッドリストの「絶滅」指定を見直し、本来の 息地以外に移されて生きている種と位置付けて「野生絶滅」に指定する方針を2012年9月22日、関係者が明らかにした。絶滅指定の見直しは魚類では初めて。山梨県の西湖で2010年(平成22年)、京都大の中坊徹次教授(魚類学)や、東京海洋大客員准教授で タレimg1b1d7ea5zik9zjントの「さかなクン」らの調査で生息が確認された。 西湖では、田沢湖から移されたクニマスの卵が元になって繁殖したと考えられている。参照記事

クニマスは体長約30センチ。1940年(昭和15年)以降に絶滅したとされるが、1935年(昭和10年)以降に漁業関係者らが秋田県田沢湖から10万粒の発眼卵を山梨県富士五湖の西湖や本栖湖などに卵を放流したとの記録がある。70年以上を経て、称賛されるべきは当時の漁業関係者の努力だろう。長年捕獲例がなく、環境省は、1991年(平成3年)に絶滅種に指定していた。

kunimas3絶滅の原因は、1940年前後、国策発電、灌漑事業のため、鉱毒を含んだ川水を、それまで有数の透明度を誇った田沢湖に流し込んだことによるものだった。(厳密には、玉川毒水に対する田沢湖の水を利用した中和事業の失敗により田沢湖が酸性化した:参照記事)その鉱毒水は今でも湖底を占めているそうだ。今回、クニマス発見のニュースの前に投稿されていたサイトに、1995年に田沢湖町の観光協会が作った「クニマスを探しています」というポスター;写真上 が残っていた。当時の賞金が100万円で、その後500万円に増額されたとの記事と、絶滅までの経緯が説明されている。参照記事

Ci120923185401この記事によれば、クニマスは、秋田県奥部のカルデラ湖、標高249m、最大深度は423.4m(日本第一位)の田沢湖だけにいた非常に貴重220px-Dsjordanな日本固有の種のようで、学名は、標本や分析で中心となった、京都大学の川村教授(1883年5月4日 - 1964年12月16日:写真下)の名をとって、1922年に来日した米国スタンフォード大学のデイヴィッド・スタア・ジョルダンDavid Starr Jordan, 1851年1月19日 - 1931年9月19日:魚類学者:写真左下)が「オンリンカス・ネルカ・カワムライ:Oncorhynchus nerka kawamurae」と命名したとなっている。参照記事 参照記事:川村多実二先生をしのんで

20121205230524kunimasu2012年12月5日
:京都大総合博物館の中坊徹次教授や農学研究科大学院生の武藤望生さんらのグループは、約70年ぶりに山梨県の西湖で再発見されたクニマスと近縁種ヒメマスがほとんど交雑していないことを遺伝子レベルで確認:Distinct genetic isolation between Kunimasu” (Oncorhynchus kawamurae) and “Himemasu” (O. nerka) in Lake Saiko、日本魚類学会英文誌で5日発表した。 グループは、西湖で通年にわたって採集した144個体の遺伝子DNAを調べた。うちクニマスと判定できるのが71個体、ヒメマスは73個体だったが、交雑個体の可能性もあるクニマスは2個体のみで、交雑はほとんどないと結論づけた。グループのフィールド科学教育研究センターの中山耕至助教は、産卵の時期と場所が違うためクニマスは遺伝的な独立を保っていると指摘し、「クニマスを守るためには、産卵場とみられる湧き水のある深い水域を守ることが重要だ」と話している。参照記事 英文記事

nappi11 at 00:40│Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

トラックバックURL

コメントする

名前
メール
URL
絵文字