」のフォトスライドショー:イザ!2012年8月1日:王子製紙の中国江蘇省・南通工場は2003年に計画がスタートし、東京ドーム 44個分の広大な敷地で、年産40万トンから2013年には原料パルプの製造設備を稼働させ、将来的には120万トン体制にし、主に高級印刷情報用紙を生産する計画だった。当初計画の投資総額は約20億ドル(1600億円:2000億ドルの記事 (16兆円)もありますが、日経の20億ドルに訂正しました。合わせて計算ミスをお詫びします)同社最大の苫小牧工場(北海道苫小牧市)に次ぐ規模で、同社の命運を担う巨大プロジェクト。参照記事

国内需要の頭打ちから海外進出を迫られていた王子は、他社に先駆け単独で中国に工場を建設し、翌年にも稼働を始める予定だった。
ところが政府の方針変更により建設許可が下りなかったことから、歯車が狂い始める。数年間の模索が続いた後、2007年に南通市から10%の出資を受 け入れることで再スタートを切るも、2009年、リーマンショックの到来で、同社は計画をいったん凍結。赤字の解消後、ようやく建設を再開した。同社の有利子負債は、自己資本の2倍弱に当たる約8000億円。度重なる計画の遅延と財務状況の悪化で、投資家から批判を受けることもしばしばだった。そのたびに歴代トップは「南通工場の勝算はある。計画は必ず遂行する」とかたくなな姿勢を崩さなかった。、、確かに、パルプ生産には大規模な設備と高い操業技術が必要で、中国において他社はほとんど手がけていない。しかし、計画が遅れている間に取り巻く状況はいささか変化し、中国では製紙各社の設備投資が過熱し、南通工場の周りだけでも複数の巨大工場がある。すでに供給が需要を上回る状態で、中国メーカーは低価格を武器に日本への輸出を拡大しているほどだ。参照記事
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2012年7月28日
:2006年にはすでに計画頓挫が言われていたが、王子製紙南通工場の排水計画を巡り、排出口が設置される予定の南通市啓東地区で7月28日早朝にデモが起こり、一部が暴徒化した。デモ隊は日本の沖縄県尖閣諸島についてまで言及し、日本への反感を口にする参加者もおり、計画を推進する地元政府トップを「売国奴」と批判し、地元政府庁舎前の広場を占拠し、公安車両や公用車など10数台をひっくり返し、約百人が庁舎入り口の扉のガラスを割って侵入し窓から書類を投げるなどした。当初静観していた警察側は、暴徒化してからは武装警官を投入し参加者らを暴行しながら鎮圧を図り、取材していた朝日新聞社の記者は警官に暴行をうけ、カメラと記者証を没収された。

問題となっているのは長江(揚子江)下流に位置する南通市中心部の王子製紙の工場から100キロ離れた、黄海沿海に近い啓東地区に排水するためのパイプ施設の建設計画を南通市が打ち出したことで、計画を聞きつけた一部市民の間で、工場排水および排水管建設のアセスメント資料の閲覧請求などが市に行ったが、市は「排水はきれいだ」の一点張りで誠意ある対応をしてこなかった事で住民らが反発し、数千人が参加するデモに発展した。2人の警察官が群集の中に引きずりこまれ、出血するまで殴られた。参照記事

1Z20120728GZ0JPG00091700100南通市の張国華市長は7月28日テレビ放送を通じて「(排水管建設)計画を永久に取り消す」と表明しデモは収束したが、環境基準を満たすよう廃水が処理されるにもかかわらず、啓東地区の住民の「海産物に害が出る」とうわさが広がり、デマによりデモおよび暴徒化したともいわれている。中国では昨今、工場建設などがデモで中止に追い込まれる例が相次いでおり、今後外国企業による投資に影響が出る可能性がある。ネット上では「日本の会社が中国人を毒殺しようとしている」、「汚染事業を中国に押しつけようとしている」といった、反日的な過激な書き込みも出ていて、学生が呼びかけやデモの主導的な立場をとっている。一方で今回のデモは、南通市の汚職・腐敗問題、あるいはGDPや政治成績ばかりを重視し民生や環境を軽視する市政府、官僚の姿勢に向いていて、矛先は最初から王子製紙では無いという見方もある。学生、市民が自発的に行ったデモで、官主導の反日デモとは異なるという。であれば。革命にも近いものだったということになる。 参照記事 参照記事 参照記事

そもそも、王子製紙にあてがわれた土地が上海中心部からバスで3時間半、南通からタクシーで1時間の湖沼と砂漠の原野、瓦礫の山で、とても工場誘致の場所ではなかったといわれ、開発費が莫大になる一方、地方政府からなぜか建設許可が長く下りなかった。さらに、中央政府と地方政府の調整や行政の複雑さに巻き込まれ、計画が長引くうちに経済環境は激変した。今回のデモで、組んだ南通市が「排水管建設計画撤回」を公表したことで、王子製紙の失敗は確実になったとも言われている。当初から「失敗するから中国には出るな」と言われた計画だったが、今回のデモの背景には、①環境問題への意識の高まり、②反日的抗議、③地元政府への不満があげられている。中国はこれまで、経済成長優先の立場から環境対策を後回しにしてきた。これに対し最近住民の環境問題への意識が年々高まり、日系企業以外も対象になっている。中国では7月初めにも、四川省什ホウ市で工場建設をめぐり同様のデモ活動が起き、市が建設計画の撤回に追い込まれている。

2012年7月30日、王子製紙は排水管建設工事をめぐる抗議デモの影響で休業していた南通工場の操業を、31日に再開すると発表した。28日に5000人規模の参加者があったデモが30日までに沈静化し、安全が確認されたためと言われるが、裏で警察が「将来の雇用に影響する」などの相当な圧力を学生、労働者にかけたとの情報もある。王子は「経営への影響はほとんどない」としているが、今後の中国での戦略見直しにつながる可能性が高いといわれている。

img_index03_06南通工場の打開策を探るため王子は市政府と代替手段の議論を始めた。南通工場の現在の工場廃水は浄化して長江に流している。日本ではパルプ廃水の浄化度合いを高めて川に流しており、南通でも同様の処理を提案するとみられる。では、それが可能ならなぜ最初からそうせずに、市は100キロも離れた黄海に垂れ流そうとしたのか?すでに王子と市との関係は何かすっきりしないものがある。強引な計画変更で発生する土木工事で、誰かが儲けようとしたと考えるのが自然で、また、この地域では2013年になって、過去の環境基準評価をめぐり、多数の官吏が汚職で摘発されている。すでに、予定以上の巨額な投資をした王子がすでに、引くに引けないほど中国伝統の腐敗政治に飲み込まれているのであれば、今後も問題は噴出するだろう。その時市民が、もっと本気で王子に対し牙をむかなければいいのだが、もしそうなれば、いち日本企業の問題では無くなるだろう。  参照記事 参照記事 参照記事 環境保護部門で汚職 中国・南通市

今後、もし撤退するにしても大変で、『第二次尖閣戦争』(共著、祥伝社新書)などで知られ、中国の労働問題に詳しいジャーナリストの青木直人氏は「労働集約型産業の日系企業の中国撤退が始まりつつあるが、問題はそれがスムーズに行くかということ。引き際を間違えると、大きなトラブルになる」と警告する。中国商務省のデータでは、今年1~9月の日本の対中直接投資は56億2000万ドル(約4440億円)に上る。欧州連合(EU)27カ国の48億3000万ドル、米国の23億7000万ドルをしのぎ、日系企業への依存度はかなり高い。そんな“お得意様”をみすみす手放すはずはなく、いざとなれば国家ぐるみで妨害工作に出るというのだ。「日系企業に撤退されると、税収のほか雇用の受け皿もなくなる。中国政府はすでに阻止する方策を打ち、企業内に『企業党委員会』という中国共産党の組織を 配置した。ここで企業内部を監視し、撤退の動きを察知すれば、労働者を動員して大規模な労働争議を起こす構えでいる」(青木氏)反日感情に染まる中国人労働者を巧みに誘導すると書いている。参照記事

2013年8月19日:王子の中国での経緯を「(25.7.15) 中国進出企業 王子製紙の苦悩 「なぜ排水溝の建設ができないのだ!!」に乗せているサイトは その末尾に「 当初は2006年には全面稼働していた計画が2013年になっても半分の生産施設しか稼働できず、投資資金2000億のうち1000億は無駄に打ち捨てられているままだ。中国が企業の進出先としての夢のような場所と思われていた時代は過ぎ、今はどうやって損失を最低限にしながら撤退できるかという時代に入ってきている。王子製紙の苦悩はその典型だ。」と書いている。表題には「進出失敗か?」と乗せているが、もう明らかに失敗と個人的には見ている。

Cambodia3この間に王子製紙は、日本のODAでカンボジア(首都プノンペン)で建設された唯一の深海港シアヌークビル港に隣接した経済特区にやっと入居し、2013年3月18日から操業を開始した。カンボジアについては「カンボジアはベトナムとタイの間に位置し、南部経済回廊の中心としての役割を果たすべく、日本のODAによりメコン川にネアックルン橋を建設中で、これが 完成すれば、ベトナム~カンボジア~タイ~ミャンマーが一本でつながり、物流は飛躍的に大きくなる。発電所も火力1基、水力5基が建設中で、間もなく送電 を開始する。その意味でも、親日で民主主義(筆者;実際には政府による人権弾圧が問題化しているが)の国カンボジアは、日本企業が今、ビジネスチャンスを掴むのに最も適した国だと言えるのである。」とあり、すでに日本とは進行形の関係にある。参照記事 
webw0814jan010114しかしカンボジアにも問題があり、2012年には、韓国はカンボジアでの事業計画に総額2億8700万ドルを投資。韓国はカンボジアにとっては、中国を上回る最大の投資国で、衣料関係の事業に以前から進出し、カンボジア政府とは深い関係にある。労働争議に対するカンボジア政府の弾圧や、人権への弾圧政策が国際的に非難を受けている。 参照記事:カンボジア:政府による人権の過酷な弾圧を国連は非難すべき 参照記事:2014年1月カンボジア「死の弾圧」は韓国の要請か

2018年5月11日:中国での南通プロジェクト(江蘇王子製紙)の計画を発表した2003年の段階では、2000億円を投資することで原料のパルプから製紙までを扱う最新鋭の一貫生産工場になるはずだったが、地元の住民から反対運動が起こるなどして遅れに遅れ、2007年に着工し、上記の苦境を乗り越えても2014年になるまで本格稼働できなかった。結局、2016年までに1400億円を投資し、同年約551億円の減損処理を行ったが、中国市場の苦境は続き、重荷としてのしかかる中、業態の変更も検討されている。

img_585164d1f2842615683621c4af7dd6cb156603しかし、2016年3月期には、ブラジルや東南アジアなどでの海外事業が好調なほか、国内でも洋紙などの値上げで採算が改善していると報告された。現在、王子HDの営業利益の約60%は海外事業・海外関連事業が稼ぐ。以前は、社内でも一段下に見ていた段ボールや紙おむつなどで各国を攻める。次々に現地工場を立ち上げ、海外売上高比率は28.2%(16年度)に達し、2016年度には、国内と海外での従業員数の割合が逆転し:右の④、2018年度には全体の海外売上高比率を35%に上げ、将来的に50%にするという目標を掲げた。
王子ホールディングス売上高1706-1王子HDは2018年5月11日、2019年3月期の連結純利益が前期比38%増の500億円になる見通しだと発表した。14年ぶりの最高益となる。海外事業がけん引する見込みで、中国などで製紙原料となるパルプの販売を伸ばす。パルプ市況は高水準で推移しており採算も改善する見通し。国内は段ボールの値上げ効果を見込む。年間配当は前期比2円増の12円とする。海外投資は間違いではなかったが、中国に関しては読みが浅かったという事か。左下は、これまでの売り上げ推移 参照記事 参照記事 参照記事



nappi11 at 01:05│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

1. Posted by あの・・・   2012年08月01日 22:54
中国は韓国ほどではありませんが、技術をこっそり盗み見て
つかんだら、日本の会社をつぶすか放置して、自分たちで
盗んだ技術で走りだす15の夜状態ですよ。
ですから王子製紙はここであきらめて日本国内か、東南アジアの
優良な国で工場を運営した方がいいです。
日本のメーカーが苦難にあっているのは、ばかな経営者が
反日の国々と提携して貴重な技術を流出しているからですよね。
あほすぎて。
2. Posted by 30年前にこの危険性を予想していた   2020年09月26日 10:04
王子製紙が30年前に中国進出を決定した時点で、従業員はこの事態を予想していたが、現実に起こった事で非常に憤りを覚える。現経営陣は自社は勿論日本の今後100年の計をもって、従業員と国民の犠牲を最少にしながら撤退をすべきである。更に当時中国植林事業で中国との友好を演出していた両国全ての関係者に猛省を促したい。

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