10db2b36-s2012年7月25日のシリアは、首都ダマスカスでは、首都近郊まで迫った残存反政府勢力が政府軍と戦闘を継続中で、シリア政府側は、市内で空からと地上砲撃を繰り返している。
ほぼ反政府側が掌握したと言われるハマーでは、シリア軍が再攻撃を行っているようだ。

すでに6日間の激戦が続く北部の商業都市アレッポ(戦争前の人口は250万人)は、戦略的にも重要な地点で、ここでの勝敗が今後の展開に大きく作用すると言われている。自由シリア軍とアルカイダ系イスラム系武装組織の混成軍が、シリア軍と一進一退を繰り返し、映像にはスンニ派アルカイダal-Qaeda系武装組織イラク・イスラム国(ISI:Islamic State of Iraq : دولة العراق الإسلامية‎ Dawlat al-ʿIrāq al-ʾIslāmiyyah)の黒い旗が何度か登場している。過去ブログ:2012年5月シリアのアルカイダは第三勢力になるか?

1706920dどうやらこのイラクから遠征してきたイスラム系グループが最前線で活動しているようだ。
一方のシリア政府軍は、イドリブから大量の援軍をアレッポに送り込み、一歩もひかない状況だと言われるが、西側の報道では各地での損害が大きく、士気は低下し離脱兵が増えていると報道されている。イスラム系もアレッポに集結ともいわれ、すでに住民の多くが南部に避難した市内で近いうちに全面対決になるのかもしれない。参照記事    7月23日のアレッポの戦映像、政府軍の戦車が炎上し、自由シリア軍に奪われている。 7月20日アレッポ郊外:ゲリラ戦には不向きなロシア製T-72大型戦車が大量に破壊されている。YOUTUBE映像:死体も映っていますので注意。
シリア軍の戦車は、イスラエルなどとの対戦車戦を想定した大型で、高速で走行するものの、装備をみると防御能力や機関銃などが不足で、大砲は中長距離用で長く、小回りも利かず市街戦には向いていないようだ。

すでにハマーで使用されたとのうわさもあるが、シリア軍には化学兵器使用の疑いもあり、欧米、ロシアはシリア側を強く非難している。米国は、イスラム系に化学兵器の渡るのを警戒し、特殊部隊の派遣も公言している。場所は不明だが、化学兵器で負傷したと言われる市民の映像も確認できる YOUTUBE映像

syria-jihad-militants-al-qaida-0001イラクの今の状況は、北部をクルド人、中央部をアルカイダal-Qaeda系武装組織イラク・イスラム国が代表するスンニ派支配地域、残りをシーア派が強いとされるイラク現政権側と、大きく3つに分割される可能性があり、米軍撤退後の今も争いは止んでいない。

7月25日の記事では
、米国がアサド退陣後に心配していることが正にこれで、アサド政権崩壊後も、シリアでも今のイラクのように内戦やテロによる勢力抗争が頻発するのではということのようだ。今後米国は、スンニ派勢力、アラブ諸国の発言の強まるのを警戒し、より一層武器以外の支援でトルコを支援していく計画を持っている。もともとは、経済的にも密接だったトルコ、シリアだったことから、シリアの再建にはトルコ主導がよい選択肢かもしれない。それにしても厄介なのはイスラム系武装組織で、彼らが基本的に反米である以上、米国としてはシリアでの彼らの影響力を薄めたいようだ。本音は排除したいのだろう。
イラク政府は、シリアで勢いづいたスンニ派組織がイラクでの反政府活動をさらに活発化させるのではと懸念している。
ロシアはあくまでも自国が仲介してアサドと自由シリア側の協議を実現させる意向で、米国の反政府側支援を非難している。参照記事

2012年7月25日:トルコがシリア国境の税関業務停止したが、難民は受け入れると公表。参照記事 またトルコは、トルコと長年もめているトリコ内の分離独立主義の反トルコ政府組織クルド労働者党PKKが、シリア内のアルカイダ等反政府組織と合流し、トルコでテロを拡大させることを非常に警戒している。参照記事

article-2179822-14394DA5000005DC-831_634x3862012年7月28日:北部アレッポで、シリア軍、自由シリア軍が全面衝突となっている。英国紙の報道では、反政府側にガスマスクも届けられている。英国、米国は、アレッポに集結している戦車、空からの攻撃による政府軍の大量殺戮を懸念し、攻撃停止の警告を発している。英国は、ロシアと中国が、このような脅威を避けようとした国連の軍事制裁決議案に反対したことを改めて非難している。 参照記事
写真は、箱に入ったままの反政府軍向けガスマスク。

article-2179822-14391154000005DC-587_306x423すでに100人以上のシリア軍人、警官が捕虜になり、リンチを受けたのか、彼らの目の周りは腫れ上がり、言葉は震えているとマスコミが書いている:写真下。現在反政府側は、アレッポの東西から徐々に中心部に攻め寄っている。すでに数万の市民がアレッポ北部のトルコ国境付近に避難していると反政府側がコメントしている。参照記事英文BBC

地図はアレッポ。28日には、市の南西部Salaheddine(地図ではSalah al-dinか?7月20日以降の反政府側前線基地が有る)、Hamdaniyeh 、東部Sakhourで多数の政府軍戦車が確認され,28日現在戦闘中と報道されている。反政府側は「ここ2日で激戦になっているが、全市の掌握は時間の問題だ」とコメントしている。別な記事では、ハマやイドリブからfrom Hama and Idlib アレッポ郊外西部に、100台ほどの政府軍戦車、装甲車が集結していると報道され、市内への砲撃、ヘリからの激しい攻撃が確認されている。 参照記事
aleppo
2012年7月29日:地上戦では Saif al-Dawla 、 Salaheddinの地域で、反政府側が政府軍を撃退したが、以前この地域へのヘリからと地上からの砲撃が続いている。監視団は、28日のシリアでの死亡者は168人で、市民94人、反政府側33人、政府側41人と公表した。アレッポでの市街戦映像28日

2012年7月30日:国連によれば、戦闘の続くアレッポで2日間で20万人が避難し、依然多くの市民が戦火におびえている。反政府側は、政府軍による虐殺の可能性を懸念している。反政府国民議会Syrian National Council (SNC)は29日、国連に対し、市民保護のための緊急会議の開催を要請している。 参照記事 
依然南西部のサラヘッディンSalaheddin地区攻防が継続、双方が互いの前進をコメントしている。政府軍の砲撃、ヘリ攻撃が続き、市内住民の食糧、医薬品、水、寝具の不足が懸念されている。参照記
2012年7月31日: シリアの サナ通信が30日伝えたところによれば、シリア政府軍は経済の中心都市であるアレッポのサラヘッディン地区からテロリストおよび傭兵らを一掃した。 シリア政府軍は29日、反対派武装勢力の陣地や隠れ家を攻撃するのに、破壊や犠牲者を避けるために精密爆撃を行ったという。国連は、国連車両が30日にシリア軍戦車の砲撃を受け破損したとシリアを非難している。30日のアレッポの映像    30日、アレッポの北10キロのアナダン基地Anadan baseを占拠した反政府側の映像

nappi11 at 01:11│Comments(1)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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コメント

1. Posted by よりばば   2012年07月26日 09:19
反政府軍が勝利しても、アメリカにとっては新たな問題発生ですね。
 化学兵器も使用されたようですが、核兵器も過去に北から入手してる疑惑もあり
敗色が濃厚になるほど、危険は増大ですね。

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