毒入り粉ミルク事件は国際問題に発展
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国の毒入り(工業用メラミン)粉ミルク汚染は国家的な大問題になってきた。すでに二人目の乳児が死亡し、15日現在1253人の腎臓結石乳児が報告され、
340人が入院中、53人が重症だというが、実態はその何倍もあるだろう。推定で被害者は3万人以上(問題の粉ミルクを飲んだ乳児数)と言われている。
情報からおかしな事も見えてきた。乳児の異常は今年の3月からあり、乳児の尿がにごる、 結石があるなどをメーカー三鹿集団はその時点で消費者の通報で把握しており、6月には腎臓結石の発祥も知っていたという。ここで問題は株の43%をもつ合 弁企業のニュージーランドの会社の対応だ。数名の社員を派遣しながら、この事実を知ったのは8月の3日だという。知って中国側に回収指示をしたが、中国側 が国内の行政との調整のためにすぐ回収しなかったという。8月まで知らなかったというのも理解に苦しむ。
ここでひとつの仮説が浮かび上がる。すでに有毒粉ミルクによる発症は知っていたが、中国側の行政がオリンピック終了まで伏せるように指示したのではないかという疑惑だ。これは非常に真実味がある。回収が遅れたことの説明がつくが、ならば中国は乳児の生命よりオリンピックを優先したことになる。やりかねないし、おそらくそうだろう。中央政府の指示ではなく、地方政府単独の判断の可能性もある。
中国の新聞は、故意に誰かが有毒メラミンを混入したと犯罪を匂わせている が、これもおかしい話だ。今回逮捕された業者が2007年末、原料乳を持ち込んだ際に三鹿側の品質検査で合格せずに返品されているが、その後に同じ業者が 持ち込んだ際には合格しているという。意味することは、最初は検査対象のたんぱく質含有量が不足した牛乳だったが、その後に有毒メラミンを混入して窒素量 を増やし、さもたんぱく質が増えたように偽造されていたということで、現在他に18名の原料乳生産者が警察に拘束されている。また、受け取る側がそれを見 抜けなかったというのも理解に苦しむ。なぜなら、中国ではこの手の偽造は広く知られており、同じ業者が2度目に合格することで疑問を持って普通だろう。黙 認したか、担当者が賄賂を受けたかだろう。
写真上は苦しい言い訳をするニュージーランドのクラーク首相。ニュージーランドの乳業大手フォンテラ(Fonterra)は2005 年に中国の会社の43%の株式を8億6400万人民元で買収したが、中国のような社会体制の国の企業を買収するにはかなりなリスクがあるということを今回 の事件は明示している。被害者の多くは損害賠償を要求する構えで、フォンテラも無傷ではいられない。一番の被害者は気の毒な乳児たちだ。すでにニュージー ランド政府も巻き込んだ国際問題になりつつある。製品の一部が台湾や世界中の架橋にも輸出されているようなのも気になるところだ。
16日の報道では国家品質監督検査検疫総局が中国全土より109社の粉ミルクメーカーの491品目を検査したところ、22社69品目からメラミンが検出され、バングラデシュ、ミャンマー、イエメンに輸出されていたものも見つかっている。