Neanderthals_1209901fCi110730183405原人(ホモ・エレクトス)から別れ、欧州に約30万年前に出現し、3万年~4万年前に突然消えたネアンデルタール人Neanderthals(右上:復元像)は長年考古学上で議論されている。代わって勢力を拡大したのが現代人に繋がる現生人類 modern humans、ホモサピエンスHomo sapiens(右下:復元像)で、 ホモ・サピエンスミトコンドリアDNA解析からネアンデルタールとは別な人種(別亜種)だと言われ、混血も出来なかったといわれていた。しかし、2010年になって、サハラ以南アフリカの地域以外の世界中の人々の 遺伝子にネアンデルタール人のDNA配列が存在することが分かったのだそうだ。つまり、現代人にも、現生人類ホモサピエンスを経由して、ネアンデルタールの遺伝子が伝わっていたらしい。参照記事 参考記事

 右上は欧州に先に出現したネアンデルタール人で、ドイツ・メットマン(Mettmann)のネアンデルタール博物館展示物。再現されたネアンデルタール人の隣に立つのはペール・シュタインブルック(Peer Steinbrueck)独元財務相右下はホモサピエンスHomo sapiens (現代人も広義ではホモサピエンス)で、彼らもまたアフリカが起源で、その出現時期は、化石からネアンデルタール人より遅い19万5千年前と言われている。現在、ネアンデルタールと現生人類と比較した結果、両者の分岐した時期は、現生人類がアフリカを出るよりもはるか前だったことがわかっており、共通の祖先から枝分かれした後、異なる地域で、別々に進化を遂げたと考えられ、ネアンデルタール人の兄弟種に当たるデニソワ人の遺伝子が現在のアジア人、特にポリネシア人やメラネシア人、オーストラリアのアボリジニらから発見されている。 参照記事 追記参照記事 さらに新しい現世人類として、欧州のみに実在したクロマニョン人 (Cro-Magnon)がいる。

modern-humans遺伝子は現代人にまで残ったが、ネアンデルタール人は2万8千年から3万年前、何らかの理由で歴史から消えた。その理由として、約4万年前の現生人類の爆発的増加により絶滅に追いやられたとする論文が、2011年7月28日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。絶滅直前、現生人類とネアンデルタール人の人口比率はおよそ10対1になっていたという。
英ケンブリッジ大(University of Cambridge)の研究チームが発表した新説は、欧州最大のネアンデルタール人の集落があり、また初期の現生人類であるホモサピエンスの集落もあったフランス南部ペリゴール(Perigord)地方の発掘調査から、ホモサピエンスの集落に残されていた石器や宝飾品、工芸品がネアンデルタール人のものよりもはるかに手が込んでいたと確認されたことから、ホモサピエンスはネアンデルタール人よりも複雑な社会ネットワークを構築し、頭脳も発達していたと考えられ、混在する中でホモサピエンスが優位に立ったという説だ。右は、現代人の直系の祖先ホモサピエンス。

研究を率いたポール・メラーズ(Paul Mellars) 氏は、こうした技術・行動
の両面での進化によって、約6万年前にアフリカを出たホモサピエンスは、欧州全域にまたがってネアンデルタール人が暮らしていた地域に進出し定住した。このホモサピエンスの大量流入のため、ネアンデルタール人は従来の居住地域から生活環境の厳しい地域へと追いやられ、彼らネアンデルタール人に最後のとどめを指したのではないかという。
 
de7dfa52-s現在判明しているその分布域は今の欧州全域から中東やアジアにまで及び、南は地中海沿岸からジブラルタル海峡、ギリシャ、イラク、北はロシア、西は英国、東はモンゴルの近くまで達していた。西ヨーロッパで最も多かった時期でも、その数はせいぜい1万5000人程度だったと推定されている。 欧州に20万~30万年余りにわたって存在していたネアンデルタール人を約4万年前(4万3千年前)に欧州全域を突然襲った寒波が、彼らを欧州のイベリア半島と中欧、地中海沿岸の限られた地域に追い込んだとされ、さらに現生人類に追われ、彼らの最後の痕跡は、現在スペインとジブラルタル(Gibraltar)の洞窟内で見ることができる。地図は、ネアンデルタールの化石の発掘地点 参照記事 参照記事
GorhamsCavef6c6472a左の図では、一時期欧州全域に居住していたネアンデルタール人が、後から侵入してきた現生人類ホモサピエンスに追われて、最後はジブラルタル海峡の
ゴーハム洞窟Gorham's Cave(左)に居住した(2万6千年前)位置関係を図にしたものここでイルカやアザラシを食べていた事が確認され、狩猟だけでなく、近年穀物を調理して食べていた事も確認されている。

環境に対する順応性や創造性の乏しさだけがネアンデルタール人消滅の原因とは断定できないが、上の説に基づいて右上の小柄なネアンデルタール人の復元写真を見れば、なんとなく、気の優しい素朴な民に見え、一方の現代人に最も近い、右下の写真の現生人類ホモサピエンスは、賢いが相当獰猛、かつ好戦的な性格だったのではと思えてくる。過去ブログ:猿人 人類の320万年前の完全な二足歩行確認される。 Missing Link(ミッシング・リンク)の発見  ネアンデルタールはグルメだった スペイン

2013年12月17日死者を埋葬し、介護をしていた痕跡が確認される ニューヨーク大学国際人文社会科学研究センター(CIRHUS)とフランスの考古学組織アルケオスフェール(Archeosphere)に所属する古生物 学者ウィリアム・レンドゥ(William Rendu)氏が率いた今回の新たな研究により、ネアンデルタール人の遺跡と人骨が埋葬によるものかどうかを巡る長年の論争に決着がついた。研究報告によると、ネアンデルタール人たちは故人のために、細心の注意を払って墓穴を掘り、遺体を腐食動物から守っていた。少なくとも5万年前の人類の間に、入念な埋葬の習慣が存在したことが確かめられた。
1999年になって、フランスの研究者たちがフランス南西部のラ・シャペル・オ・サン:La Chapelle-aux-Saints遺跡の再調査を開始した。発掘調査が完了したのは2012年だ。その結果、人骨が発見された窪地は、少なくとも部分的には墓にするために手が加えられていたことがはっきりした。

122224213-1-_74484_600x450ネアンデルタール人が死者を葬っていたという見方は、彼らには象徴的思考の能力があり、豊かな文化を築いていたとする近年の知見とも符合する。例えば、ネ アンデルタール人は自分の身体を顔料で飾り、鳥の羽や色味のある貝殻で作った装身具を身に付けていたことが分かっている。
ラ・シャペルーサン(ラ・シャペル・オ・サン:La Chapelle-aux-Saints)遺跡から見つかった証拠は、ネアンデルタール人が私たちと同じように、病人や老人の世話をしていたことを示唆する。ブイソニー兄弟が発見した骨の主は、ほとんど歯を失い、腰と背中に問題を抱えて、補助なしには移動も困難だったと考えられるからだ。この研究論文は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌オンライン版に12月16日付で掲載されている。 参照記事
ph_thumb2015年11月19日:5年前の2010年に報告されたばかりの謎多き“第3の人類”デニソワ人。その歯の化石を分析したところ、彼らは現生人類やネアンデルタール人と数万年も の間共存していたことが、11月16日付けの科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」の論文で明らかになった。我々ホモ・サピエンスの祖先が、かつて他のヒト科ヒト属(ホモ属)とユーラシア大陸を共有していたことを裏付ける研究結果である。約4万年前に姿を消した ネアンデルタール人は、現生人類と数十万年もの間すぐそばで暮らしていたが、ある期間そこにはデニソワ人の姿もあったことになる。 過去に行われた指の骨と歯の分析では、現生人類にデニソワ人の痕跡が残されていることが判明した。パプアニューギニアをはじめ太平洋の島々に住むメラネシア人のゲノムの5%に、デニソワ人が貢献しているという。
そ の後2本目のデニソワ人の歯が見つかり、ミトコンドリアDNAの分析から、先に見つかっていた指の骨の持ち主たちよりも約6万年も前に生きていたとされ、 デニソワ人は単一の種として、少なくとも現生人類と同じくらいの期間アルタイ地域に断続的に、またはネアンデルタール人より先に存在していた可能性すらあ り、後に交配があったとしても、デニソワ人は元々独立した種で、新たな歯の年代や分析から、これまで考えられていたほどネアンデルタール人とは近縁ではな いかもしれないことが示唆された。 参照記事
2016年2月22日: これまでの解析で、ネアンデルタール人と現生人類が交配していたことと、さらに同時代に第3の人類デニソワ人も存在していたことが判明している。この3種 は50万年前にアフリカの共通祖先から分かれたと考えられ、ネアンデルタール人はアフリカを出る前すでに現生人類と交配があり、現生人類(ヒト)に遺伝子 を残し、ヒトより数十万年前にアフリカを出て主にヨーロッパに広がった。
e194b49e新たなTLRの遺伝子の解析から、ヨーロッパ人と東アジア人、アフリカ人 など現代人の14集団のこの領域を調べると7つのタイプに分類された。このうち2つがネンデルタール人由来、ひとつがデニソワ人由来だと判明する。理論的 には現生人類(ヒト)より数十万年先にアフリカを出て、中東を経由してヨーロッパに広がったネアンデルタール人の遺伝子は、アフリカに残った祖先由来のア フリカ人には存在しない。調べると、確かにアフリカ人にはネンデルタール人由来のTLRを含む領域がほとんどみられなかった。このように、現代人のTLR を含む領域のゲノム配列を詳細に調べ比較してネンデルタール人とデニソワ人由来だと突き止めた。実はこのネアンデルタール人由来のTLR1とTLR6、 TLR10遺伝子を最も多く持つのが日本人。どの集団よりも高く、約51%が持っていた。このことは、世界の中で「最もネアンデ326dac9dルタールに近いのは日本 人? 」という推論を浮上させた。言い換えれば、他の民族もネアンデルタール人の遺伝子を持ってはいるが、日本人が一 番他の人種と交配せずに今に至った、ネアンデルタールに最も近い現生人類の末裔と言えるのでは、、。早い時期から島だったことも、他の人種から隔離される結果に なったのかもしれない。上の図については 過去ブログ:2015年10月現生人類は欧州より早く中国大陸で出現したのか? 参照記事


nappi11 at 00:03│Comments(3) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメント

1. Posted by よりばば   2011年07月31日 11:32
[現生人類ホモサピエンスは、賢いが相当獰猛、かつ好戦的な性格]!は確実に引き継がれて、優しい人々は排除され続けていると思います。
 ところで今問題の、核種の中でも最悪のプルトニウムは、半減期が2万4千年といわれていますが、半減期の意味は半分じゃないそうで、人体に影響がほぼなくなるには、20万年!人類の歴史くらい要するそうです。
 突然変異に加えて、核種の放射線の影響をうけた未来の人間はどんな人間になっていくのでしょう?日本だけのせいではありませんが、愚かな祖先たちでゴメンネ、と詫びたい気持ちです。
2. Posted by よりばば   2011年07月31日 20:04
先の投稿に捕捉します。
「半減期と人体に影響がほぼ無くなる時期に」ついては
2005年の 小出裕章先生の記述
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kouen/PuTherm.pdf
の10ページ目の終わりから5.6行目から書かれています。
3. Posted by 九州の   2011年08月01日 19:39
顔おおらかですね

今の人間皆コンジョウ悪い我慢知らない
お天気も加減知らない土砂降り本とすごいてすから

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