

右上は欧州に先に出現したネアンデルタール人で、ドイツ・メットマン(Mettmann)のネアンデルタール博物館展示物。再現されたネアンデルタール人の隣に立つのはペール・シュタインブルック(Peer Steinbrueck)独元財務相。右下はホモサピエンスHomo sapiens (現代人も広義ではホモサピエンス)で、彼らもまたアフリカが起源で、その出現時期は、化石からネアンデルタール人より遅い19万5千年前と言われている。現在、ネアンデルタールと現生人類と比較した結果、両者の分岐した時期は、現生人類がアフリカを出るよりもはるか前だったことがわかっており、共通の祖先から枝分かれした後、異なる地域で、別々に進化を遂げたと考えられ、ネアンデルタール人の兄弟種に当たるデニソワ人の遺伝子が現在のアジア人、特にポリネシア人やメラネシア人、オーストラリアのアボリジニらから発見されている。 参照記事 追記参照記事 さらに新しい現世人類として、欧州のみに実在したクロマニョン人 (Cro-Magnon)がいる。

英ケンブリッジ大(University of Cambridge)の研究チームが発表した新説は、欧州最大のネアンデルタール人の集落があり、また初期の現生人類であるホモサピエンスの集落もあったフランス南部ペリゴール(Perigord)地方の発掘調査から、ホモサピエンスの集落に残されていた石器や宝飾品、工芸品がネアンデルタール人のものよりもはるかに手が込んでいたと確認されたことから、ホモサピエンスはネアンデルタール人よりも複雑な社会ネットワークを構築し、頭脳も発達していたと考えられ、混在する中でホモサピエンスが優位に立ったという説だ。右は、現代人の直系の祖先ホモサピエンス。
研究を率いたポール・メラーズ(Paul Mellars) 氏は、こうした技術・行動の両面での進化によって、約6万年前にアフリカを出たホモサピエンスは、欧州全域にまたがってネアンデルタール人が暮らしていた地域に進出し定住した。このホモサピエンスの大量流入のため、ネアンデルタール人は従来の居住地域から生活環境の厳しい地域へと追いやられ、彼らネアンデルタール人に最後のとどめを指したのではないかという。



環境に対する順応性や創造性の乏しさだけがネアンデルタール人消滅の原因とは断定できないが、上の説に基づいて右上の小柄なネアンデルタール人の復元写真を見れば、なんとなく、気の優しい素朴な民に見え、一方の現代人に最も近い、右下の写真の現生人類ホモサピエンスは、賢いが相当獰猛、かつ好戦的な性格だったのではと思えてくる。過去ブログ:猿人 人類の320万年前の完全な二足歩行確認される。 Missing Link(ミッシング・リンク)の発見 ネアンデルタールはグルメだった スペイン
2013年12月17日:死者を埋葬し、介護をしていた痕跡が確認される ニューヨーク大学国際人文社会科学研究センター(CIRHUS)とフランスの考古学組織アルケオスフェール(Archeosphere)に所属する古生物 学者ウィリアム・レンドゥ(William Rendu)氏が率いた今回の新たな研究により、ネアンデルタール人の遺跡と人骨が埋葬によるものかどうかを巡る長年の論争に決着がついた。研究報告によると、ネアンデルタール人たちは故人のために、細心の注意を払って墓穴を掘り、遺体を腐食動物から守っていた。少なくとも5万年前の人類の間に、入念な埋葬の習慣が存在したことが確かめられた。
1999年になって、フランスの研究者たちがフランス南西部のラ・シャペル・オ・サン:La Chapelle-aux-Saints遺跡の再調査を開始した。発掘調査が完了したのは2012年だ。その結果、人骨が発見された窪地は、少なくとも部分的には墓にするために手が加えられていたことがはっきりした。

ラ・シャペルーサン(ラ・シャペル・オ・サン:La Chapelle-aux-Saints)遺跡から見つかった証拠は、ネアンデルタール人が私たちと同じように、病人や老人の世話をしていたことを示唆する。ブイソニー兄弟が発見した骨の主は、ほとんど歯を失い、腰と背中に問題を抱えて、補助なしには移動も困難だったと考えられるからだ。この研究論文は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌オンライン版に12月16日付で掲載されている。 参照記事

そ の後2本目のデニソワ人の歯が見つかり、ミトコンドリアDNAの分析から、先に見つかっていた指の骨の持ち主たちよりも約6万年も前に生きていたとされ、 デニソワ人は単一の種として、少なくとも現生人類と同じくらいの期間アルタイ地域に断続的に、またはネアンデルタール人より先に存在していた可能性すらあ り、後に交配があったとしても、デニソワ人は元々独立した種で、新たな歯の年代や分析から、これまで考えられていたほどネアンデルタール人とは近縁ではな いかもしれないことが示唆された。 参照記事
2016年2月22日: これまでの解析で、ネアンデルタール人と現生人類が交配していたことと、さらに同時代に第3の人類デニソワ人も存在していたことが判明している。この3種 は50万年前にアフリカの共通祖先から分かれたと考えられ、ネアンデルタール人はアフリカを出る前すでに現生人類と交配があり、現生人類(ヒト)に遺伝子 を残し、ヒトより数十万年前にアフリカを出て主にヨーロッパに広がった。


コメント
2. Posted by よりばば 2011年07月31日 20:04
先の投稿に捕捉します。
「半減期と人体に影響がほぼ無くなる時期に」ついては
2005年の 小出裕章先生の記述
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kouen/PuTherm.pdf
の10ページ目の終わりから5.6行目から書かれています。
「半減期と人体に影響がほぼ無くなる時期に」ついては
2005年の 小出裕章先生の記述
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kouen/PuTherm.pdf
の10ページ目の終わりから5.6行目から書かれています。
3. Posted by 九州の 2011年08月01日 19:39
顔おおらかですね
今の人間皆コンジョウ悪い我慢知らない
お天気も加減知らない土砂降り本とすごいてすから
今の人間皆コンジョウ悪い我慢知らない
お天気も加減知らない土砂降り本とすごいてすから
ところで今問題の、核種の中でも最悪のプルトニウムは、半減期が2万4千年といわれていますが、半減期の意味は半分じゃないそうで、人体に影響がほぼなくなるには、20万年!人類の歴史くらい要するそうです。
突然変異に加えて、核種の放射線の影響をうけた未来の人間はどんな人間になっていくのでしょう?日本だけのせいではありませんが、愚かな祖先たちでゴメンネ、と詫びたい気持ちです。