英国の報道記者
ス
リランカの反政府組織LTTEは日曜日の午前中で壊滅した。その様子を英国紙TIMEの記者が記事にしていた。彼、Marie Colvin
ha は文面からすると6年以上もこの紛争を追っている。LTTEのゲリラとも政府軍、大統領にまでコネを持っている。すでにLTTEが数百メートル四方
に追い詰められた土曜日に、激戦地に残っているLTTE幹部と衛星電話で連絡を取っている。幹部は「我々はすでに武器を下ろした。降伏するが英国か米国の
保障がほしい。自分の周りには約300名ほどが残っており、多くが負傷している。」 記者は白旗を上げて歩いて出て来れば大丈夫だと伝え、同時にスリラン
カ大統領まで掛け合う。大統領は「白旗を揚げて出てくれば大丈夫だ。自分が保障するまでも無い。我々の軍隊は規律を守るよう十分に教育されている」と返事
をしてきた。
日曜の朝、残ったLTTEゲリラ幹部は自分の妻も連れ、白旗とともに激戦地を仲間とともに歩き出した。見つけた政府軍は容赦なく発砲し全員がその場で屍(しかばね)になった。前後して、何とか彼らを助けようと、この記者は激戦地に飛び込むが、すでに全ては終わっていた。
激戦地からの脱出の際、彼もまた政府軍に砲撃を受け、「自分はジャーナリストだ」と叫びながら銃弾に倒れた。かろうじて命は助かったが、、。
最後の幹部も、そして傷ついたこの英国人の記者も、ともに心配しているのは少数民族タミル人の将来だ。難民キャンプ とは名ばかりで、有刺鉄線で囲まれた不衛生で、何の設備も無い収容所に隔離された20万とも30万人とも言われる難民の将来には悲惨さが漂っている。食料 も医療も十分に届いていない。今は、医師一人が4万4千人を担当している状態で、負傷者の治療もされていない。政府軍が国連や赤十字の救援すら制限してい るためで、キャンプにたどり着いた男性の多くはLTTEとの関係を疑われてどこかへ連れて行かれている。拷問か、射殺だろう。記者は書いている。この紛争 はまた新たな復讐を生み、終わることは無いと、。
こういう命がけのジャーナリストが現地の生の状況を届けてくれる。日本のマスコミには望んでも無理な話で、世界的に 見れば、日本には世界的に活躍するマスコミはひとつも無い。世界を市場に活躍する日本に、他国のニュースを配信するしか脳の無いマスコミしかないとはあま りにも悲しい。国連側の推定で、難民の犠牲者は6500人と報道があったが、あの密集地への集中攻撃でそんな犠牲者数ではないだろうと思っていた。5月 29日のロイターの推定では、少なくても2万人以上が死亡したと報道された。地獄を見た難民の悲劇は終わっていない。これからの酷暑の中、不衛生なキャン プでの伝染病や病気が心配される。 スリランカ過去ブログ