刑務所からタリバン脱走 アフガニスタン カンダハル


2008 年6月13日夜、アフガニスタン南部のカンダハルKanadahar, southern Afghanistanにある最大規模のサルボサ刑務所が2名のテロ組織タリバンの車による自爆攻撃を受けた。同時に30人ほどのバイクに乗ったタリバン のロケットと銃による攻撃がなされ、警備の警察官15人が死亡。(別な警察発表では警察官9名死亡、負傷12名、囚人8名死亡)攻撃は内部からの手引きで 計画された模様。タリバン、アルカイーダ400名を含む600人から1000人が脱走した。この刑務所の待遇は劣悪で、囚人による待遇改善のハンガースト ライキに対し、47人の囚人の口を縫い付けたり、拷問をした事が知られている。刑務所にとっては、まさに魔の13日の金曜日となった。駐留する多国籍軍は 刑務所から離れていた。14日現在一人も再逮捕されていない。
空爆などで劣勢だといわれるタリバンだが、まだその力を温存していることを見せ付けた都
市部での攻撃だった。カンダハルはタリバン勢力の活動が活発な地域の一つ。アフガン支援国会議がパリで十二日に開催されたばかりだが、治安改善が進まない
現状があらためて国際社会に突きつけられた。今回のパリ会議で日本は支援の追加5億5000万ドル(約590億円)を表明、日本の支援規模は過去3回の計14億5000万ドルと今回の提示額を合わせて、総額20億ドル(約2140億円)に達する。上の写真は襲われた刑務所正門付近と空になった刑務所内部
15日、アフガニスタンのカルザイ大統領は、タリバン攻撃のため、隣国パキスタン領内 に住むタリバンへの越境攻撃の可能性を公表した。これに対しては、すでにNATO軍やアメリカ軍のパキスタン領内への攻撃に主権が侵されたとして反発して いるパキスタン国民の相当な抵抗があるだろう。場合によってはパキスタンとアフガニスタンの軍事衝突もありえる。左は以前にアメリカの越境攻撃に抗議した 時のパキスタン住民の抗議の写真。