相変わらずドイツ外交がスゴイ

中国を訪問しているドイツのメルケル首相は2010年7月16日、温家宝首相との会談後の記者会見で、市場経済について、欧州連合(EU)は中国を市場経済としてまだ認められないとの考えを示した。
中国がEUへの輸出に制限を受けない条件として、特に、知的財産権の保護や、中国市場に進出するドイツの企業により良い環境を与えるなどの問題を明確にすべきだと指摘した。中国政府がこれらの事項に関する適切な措置を取るのであれば、自分は「公平かつ目標の明確な交渉」の実現に努力する考えを示した。
独中の共同声明は、「EUに中国の市場経済としての地位を認めさせるために、ドイツは引き続き積極的に努力する。中国もこの問題について、EUと頻繁に対話を行っていく」と記した。また、これまでの中国訪問と同様に、メルケル首相は人権活動家とも面会した。
毎度中国に迎合した政治姿勢しか示さない日本の外交姿勢からみれば、やはりドイツの外交政策は筋が通っている。ドイツはすでにいろんな企業が中国と提携しているが、現ドイツ政権は進行形の状況の中でしっかり知的財産権、つまり特許やデザインを尊重しろ、労働環境を改善しろと要求し、同時に中共政府が一番嫌う人権活動家と面会をする。間違いなく訪中の際に中共政府に面会の条件を強硬に要求したのだろう。この行動で活動家の生命が守られる。この辺がドイツの巧妙な所で、過去のメルケル氏の談話からも、ドイツは近い将来中国の共産党一党支配は崩壊するとみている。その時を見据えた活動家、民主派へのアピールを今からしていると見る事ができる。
中国の鉄鋼産業はドイツのテコ入れで世界水準になった。それが今の中国の躍進の原動力になっている。もちろんEU連 合と綿密な作戦を練っての上だが、その結果日本はEUの思惑通り弾き飛ばされた。日本は大戦後これだけ長期間中国の復興に手助けしてすべてに後塵を拝して いる。中国経済にも政治にも堂々と注文つけるメルケル氏のような政治家が日本から、、出る事は無いだろう。と言うより、国内改革もできない、しない政党に 期待しても国際問題に期待できるわけもない。中国は貪欲に海外の一流の技術を入れながら一流の政治も環境対策も入れようとしている。当然二流、三流で手腕 に疑問のある政治家には興味がない。日本の政治家のちょっとした言動もすべて分析されているから、ジョーク一つでさえ、その政治家の判断に繋がる。前の麻生 氏が相手にもされなかった原因がこれだろう。はっきり言えば、レベルの低い人間と見られたということだ。
こういう声明の内容やメルケル氏の訪問先は事前に温家宝首相は当然知っている。つまり、自分の言いたい事や希望を温家宝首相はドイツにさせていると見ていいだろう。内緒でできない事は頭の固い中共政府に外圧をかけてもらうと言う温家宝の作戦だろう。温首相の言葉で「我々は外国からの干渉を望まないが、それを恐れない」という有名な発言がある。この一言が今の中国だろう。日本の場合、この外圧である米国からもあきれられているという悲しい状態だ。首相が菅でも実際は詰まった菅(パイプ)のようだ。