2006年05月27日  個人 旅、冒険、

今だから 書けること12 アジャンタ1

今日の世界不思議発見はインドのアジャンタ だった.行っているので懐かしいと書きたいが、実際は短時間で似たような遺跡を見すぎて、印象に残っていない.時間が無いので、英国風な古いタクシーを借 り切って走り回ったが、助手席の床に穴が開いていて、暑くて窓を閉めると独特な赤い砂ぼこりが車内に充満するすさまじいタクシーだった.外はきれいな景色 なのに、中は砂嵐.たまりかねたウンチャンが窓を開けてくれと頼んできた.窓をあけると霧が晴れたようになったが、今度は熱気が入って暑い.
それよりオジはホコリで息が出来なくて、宇宙旅行でもあるまいし、それこそ酸素ボンベがほしいくらい.エアコンなど効かないし、壊れていて当た り前の世界.たまりかねて文句を言うと、ウンチャンなにやら大ぶりのハンカチのようなのをくれる.それで口を隠せと言うことで、オジはカウボーイ映画の ギャングの格好と相成った.
早口で、運転手のオヤジが○○テンプルだとか、ここは○○村でとか説明するが、何も見えん.当たり前だ!メガネは砂ほこりで真っ白、見えるわけ が無い.聞こえん.けつが痛い.ヘタにしゃべれば舌を噛む.この天地がひっくり返るようなドタバタ運転中、運転のオヤジはよくしゃべる.オジのことを何か につけてサー(公爵、だんな様ほどの意味だろう)付けで呼ぶ.植民地の名残だろうが、オジはコウシャクでもなければシャクナゲでもない.「インド、ビュー ティフル?サー」「グッド ドライビング?サー」.今なら、お前は福原愛かと突っ込みいれただろう.何か効かれても、力なく後部座席で「アへ、ハ、ハハ」 と笑うだけ.なぜそんなときに笑いが出るのか心理学者に聞いてみたいものである.全てはオヤジが風光明媚な田舎を見せようとした為に未舗装の近道を通った ためだった.
もうギブアップ!止めてくれと催促.
オヤジも悪路で腰が痛いらしく、二人とも外に出た.いったん休憩.
オヤジは顔から全身、真っ白な私を見て大笑いしている.笑うオヤジもヤニで黄色い歯以外はホコリで真っ白になっている.まるで墓場から出たばか りのオヤジゾンビである.黒いはずのタクシーがらくだ色になっている.田舎の道端でのオヤジ二人の大笑い.オジが30代の時のアジャンタ旅行記である.全 てを笑い飛ばせるほどに太っ腹でなければ旅は出来ない.タクシーのオヤジの別れ際の言葉を今でも覚えている.
「また来たら呼んでくれ.」...誰が呼ぶか!このスカポンタン!、それでも人に話して笑えるほどの思い出にはなった.旅はそれでいい.
実はこのオヤジのタクシーに帰国の際にも乗るのだが、大失態をしてくれる...
 


nappi11 at 12:30│Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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