今だから書けること 3
大変重いテーマです.英国にわたるまでは、私も感じたことはほとんど無く、ましてや、される側になろうとは思ってもみませんでした.私、個人の経験からの自論ですのでご了解下さい.
安い部屋を斡旋所で探したときです.いつも同じ地区を指定される.行ってみるとなるほど、黒人、
アジア人、他、有色人種だらけの町外れです.歴然と住む場所が分けられているのです.
指定された家のドアをノックすると黒人の大家が出てきましたが、同時に、経験したことも無いにおいがする.チョット形容しがたい、体臭のような、とにかくきつい臭いが充満している.
部屋はいいのだが、とても我慢できる臭いではなく、学校から遠いからとお断りする.臭いからとは失礼で言う度胸は無かったが、住めるかといえば、はっきりノーである.それほど強烈だった.
次の部屋は、アボットと言うおばあさんの家で、お茶まで出してくれた.部屋代が高いので悩んでると
アボットばーさんのほうから下げてきた.おまけに、ぜひ借りてくれと言う.
英国北部のアイリッシュなまりの聞きづらいのを何とか聞いてみると、
「この辺は有色人種が多いからね.貴方のようなアジア人が借りに来るけど、ワタシャ、体臭の強いのはごめんでね.貴方が日本人と言うのでOKしたんだよ.前の日本人も体臭が無かったからね..」
少し前に自分が気にしたことを、今度はそれが理由で選ばれるとは..それもはっきりと指摘されて.
全てとは言いませんが、これが差別の、隠れた理由のひとつなんだなとは思いましたね.
それ以降、人権を侵害するほどの差別には反対しますが、全ての人種が交じり合って暮らすのは
現実を知らない理想論に過ぎないのではないかと思うようになりました.
本や映像からは分からないし、伝わって来ない現実を知るのも、旅の大きな収穫です.