黄元秘書 北朝鮮暗殺標的1号 暗殺失敗
北朝鮮で権力序列26位として労働党国際担当秘書などを務めた金正日総書記の側近 黄長燁元 秘書(ファン・ジャンヨプ Hwang Jang-yop 右)は97年2月、中国・北京の韓国総領事館を通して亡命し、同年4月20日に韓国に入国した後、たび重なる殺害の脅迫に苦しんできた。現在87歳で韓国 内で身辺警護されて住んでいる。北朝鮮は、主体(チュチェ)思想を理論的に確立した黄元秘書が人民を捨てたという理由で‘標的1号’に指定した。過去ブログ:女スパイ事件
韓国国家情報院と検察は2010年4月20日、北朝鮮人民武力部偵察総局所属の少佐キム・ミョンホ容疑者(36)と ドン・ミョングァン容疑者(36)の2人を国家保安法違反と殺人予備陰謀などの疑いで拘束した。二人は2009年11月、偵察総局長の金英徹 キム・ヨン チョル中将から直接「黄長燁を殺害しろ」という指示を受けたという。韓国で黄元秘書の動向、居住地、病 院、会う人物などの情報を収集し、偵察総局に報告した後、暗殺命令が下されれば殺害しろという内容だった。同年11月、中国に入り、延吉(ヨンギル)にあ る偵察総局連絡所で指導員と接触、韓国での活動方法について教育を受けた後、2009年12月に タイに密入国。タイ警察に捕まった二人はそれぞれ今年1月と2月に脱北者として韓国国内に入国した。2人は「キム・ミョンサム」「ファン・ミョンヒョク」 の偽名で韓国に入国後、国家情報院合同尋問センターで調査を受ける過程でうその出身地を語り、その地域の脱北者との面接で出身地の事実と異なる陳述をした ため身分が発覚し、1か月に渡る尋問の結果暗殺計画などを自白。尋問の過程で自殺未遂も起こしている。
二人は10代の1992年に北朝鮮人民武力部偵察局(現在の偵察総局)の戦闘員に抜てきされ、2004年から韓国への侵入や要人暗殺のための厳しい訓練を受けた特殊工作員で2006年から潜入のための身分洗濯を 行っていた。素手やボールペン1本で殺人ができるほどの技術を持ち、現在は24時間公安機関の特殊隊員が警護している。黄元秘書の親戚と偽って会う計画 で、暗殺後投身自殺する予定だったと供述している。黄元秘書は以前、「韓国内部の北朝鮮定着スパイは5万人にのぼる」と主張している。
◇6年間の緻密な南派準備とその末路=調査の結果、キム・ミョンホとドン・ミョングァンは04年12月当時、偵察局傘下対南工作部署の工作員に選抜された後、脱北者に偽装して潜入するため、06年から‘身分洗濯’を 準備してきたことが明らかになった。キム・ミョンホは07年、担当指導員から死亡した咸興(ハムフン)市民‘キム・ミョンサム’という人物に偽装するよう 指示を受けたム・ミョンホは‘キム・ミョンサム’の学歴・経歴・家族関係などに関する身辺事項を記憶した。 ドン・ミョングァンは06年8月、‘キム・ミョンヒョク’に偽装しろという命令を受けた。ドンはキム・ミョンヒョクの住所のほか、職場(興南精練所)、軍 服務部隊(人民保安省第7総局第5旅団第13隊)を訪れ、‘キム・ミョンヒョク’の前歴を確認するなど緻密に準備し,咸鏡北道茂山(ハムギョンブクド・ムサン)にある‘茂山鉱山’輸送隊第2中隊の運転手として偽装就職し、昨年5月に中国・長春に渡った。長春現地の運送会社で働きながら、長い時間をかけて‘身分洗濯’を した。2人の工作員は北で専門的な‘キラー’訓練を受け、92年からマドンリ軍事学校で射撃と武術を習った。素手でも2、3人を殺害できるほど高度な暗殺 教育を受けたという。キム・ミョンホは97年12月、西海(ソヘ、黄海)海上侵入組の開拓組長を務め、北朝鮮国旗勲章3級を受けている。このため20日の 裁判所令状実質審査では、国技院所属の武術要員と法廷警衛が配置され、万一の事態に備えた。2人は韓国定着のために自動車整備教育を受け、韓国で出版され た教材で英会話教育も受けた。国内テレビドラマ3本を見ながら韓国の世情を学んだ。どこまで行ってもスパイの末路は哀れで、成功しても投身自殺、失敗しても恐らく舌を噛み切ってでも死を選ぶように洗脳されている。
北朝鮮は昨年11月、朝鮮労働党のファン・ジャンヨプ元書記(87)の暗殺命令を下したことをきっかけとして、脱北 者の「掃討」に突入したとの見方が強まっている。北朝鮮が金正日(キム・ジョンイル)体制に反抗的な脱北者に対する作戦を開始したのは、昨年11月ごろか らとみられる。上の二人の暗殺グループが指令を受け、北朝鮮を出発したのもこの時期だ。北朝鮮系ウェブサイト「わが民族同士」が今月5日、ファン・ジャン ヨプ元書記について、「決して無事ではいられない」と脅迫したことも脱北者掃討の一環として読み取れる。韓国に定住した脱北者は近く2万人を超える見通し で、中国にも3万-4万人の脱北者がいるとされ、中国政府も何らかの協力をしているものと憶測され、すでに中国側北朝鮮国境付近に隠れ住む脱北者数名とは 連絡が取れなくなっているという。