2021年9月16日、中国がTPP「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(現略称: CPTPP、The Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership ; TPP11):加盟11カ国」への参加申請を申請窓口のニュージーランドへ提出しており、当時CPTTP議長国の岸田首相の発言は「検討する」にとどまっていたが、豪州首相は今回明確に中国の参加に反対を示した。
またオーストラリアのダットン国防相Defence Minister Peter Dutton:左 は2021年11月26日、中国海軍の艦船がオーストラリアの排他的経済水域(EEZ)内を航行したことについて、中国は口では地域の平和と繁栄を唱えているが、行動は「憂慮すべき」ものだと批判した。同相は、中国の言行不一致の例として南シナ海の軍事化、台湾海峡の緊張、香港国家安全維持法の導入を列挙。「中国政府が頻繁に、平和・協力・発展に取り組むと主張していることは周知の事実だが、われわれは言葉と行動が大きく異なっていると証言する。中国政府はますます憂慮すべき活動に関与しており、われわれは状況を非常に注視している」と述べた。参照記事 Australia says China’s actions at odds with rhetoric of peace
オーストラリアのスコット・モリソン首相は2021年11月22日、首都キャンベラで行われた記者会見で、中国を念頭に、貿易相手国に対して経済的脅迫を行う国は、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」の加盟条件を満たしていないと強調した。「CPTPPの加盟条件は非常に厳しい。新規申請国は(これらの条件を)満たす必要がある。他の貿易相手国を脅かしたという記録が残らないことが重要だ」と述べている。また、この問題に関して日本の岸田文雄首相と緊密に協力していると述べた。岸田首相は、11月12日に開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議で、CPTPPは不公正な貿易慣行や経済的強制を容認しないと警告した。
中国はオーストラリアにとって最大の貿易相手国であるが、2020年4月、豪政府がウイルスの発生源について独立調査を求めたことを受けて、中国政府は年間200億豪ドル(約1兆7000億円)以上に相当するオーストラリアの輸出品に対する貿易報復を開始した。貿易制裁の対象となったのは、牛肉、大麦、石炭、綿花、銅、水産物、砂糖、木材、ワインなど、幅広いオーストラリア製品である。制裁措置としては、オーストラリア製品への高額な関税、輸入停止、通関遅延などがある。
CPTPPへの加入には、全加盟国の同意が必要である。中国政府がCPTPPへの加入申請を発表した2日後の9月18日、オーストラリアのダン・ティーハン貿易相(Hon Dan Tehan MP, Minister for Trade, Tourism and Investment of the Commonwealth of Australia)は、中国の加盟に反対する姿勢を明確にし、中国当局にその旨を伝えていた。参照記事 過去ブログ:2021年10月岸田政権の対中政策の行方と日本 9月インド太平洋構想の連携強化とオーカス、CPTPP
、、、最近中国は、石炭不足から豪州からの石炭輸入を再開したとされるが、豪州の反中政策に変化は無い。人権問題や台湾問題を思えば、現状で中国が加盟できる訳も無く、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)だけでなく、更に貿易協定を拡大しようとする態度には図々しささえ感じる。CPTTPへの参加へは英国、台湾も参加意向を示しており、いづれも中国とは対立している。元々CPTTPはトランプ政権が発案し日本がまとめた経緯があり、中国の環太平洋諸国への中国の経済覇権を警戒しての貿易協定で、そこへ自ら加盟したいとする意図は何なのか?
中国はこれまでの戦狼外交への国際的反発に、さすがの習近平国家主席も党内に柔軟な外交を求めたとの記事も目にしたが、その取り巻きは、相変わらず高飛車な発言を続けている。まるで中国に折れたかのような最近のバイデン政権に、今がチャンスとでも思ったのだろうか?最近富に、言う事とすることが一貫しない中国には、ますます不信感が増してくる。過去ブログ:2021年6月中共結党100周年と「チャイナドリーム」に付きまとう残虐と横暴
韓国も参加表明をしているが、韓国はオリンピックで一方的に福島産農産物に難癖を付け、勝手な解釈で福島第一原発の「トリチウムを含む処理水」の海洋放出には「汚染水のたれ流しだ」と世界へ発信し、そう簡単に肩を組める相手では無い。その海洋放出の基準も認可も国際原子力機関(IAEA)が発行したもので、日本を恫喝すること自体筋違いであり、また韓国は、中国に倣(なら)って台湾とは断交しており、日本が反対すればCPTTC参加は不可能になるし、そうなってほしい。一方で韓国内では、農民がCPTTP加盟に反対している状況だ。韓国企業は頼っていた中国市場から締め出され、サムスンは米国テキサスでの半導体製造に踏み切った。その時の政権の都合で態度をコロコロ変える韓国も問題だが、ここでもまた、中国の出方が韓国を更に不安定化させている。参考:2021年11月韓国大統領選のながれと政治不信にコロナが追い打ち