サウジの硬化した発言の背景には、サウジアラビア政府主導のアラブ有志連合はイエメン政府を空と陸から支援している中、フーシ派はこれに対する報復として、サウジアラビア首都リャドRiyadh方面などにミサイルを定期的に発射し、サウジは対空ミサイル迎撃で応戦する状態が続く、最近の状況があり、欧米を揺さぶる意味もあるだろう。3月25日夜には、イエメンから撃ち込まれたミサイル7発が着弾し、首都リヤドで1人が死亡、2人が負傷した。
宗教教育やその実践が優先されて、サウジのみならず、一般的にアラブ諸国での教育レベルは低く、海外からの出稼ぎ労働力に依存して労働意欲も低いといわれる。輸出の90%が石油のサウジは、国内経済での石油依存からの脱却や近代化を2030年までに達成する事を目指し、ソフトバンクと組んで世界最大、21兆円規模の太陽光発電所を計画するなどしているが、近代化が行き過ぎると国内企業や大衆から反発を招く可能性が高く、これまでの例から見れば、イスラム社会で近代化を阻むのは常に宗教や部族、派閥対立である。近代化に逆行し独裁色を強めればリビアのような結果を招くことは、ムハンマド皇太子も十分承知のはずだ。2017年に彼が行った国内の粛清なども、新たな経済の受け入れ体制造り、国家の近代化なのだろう。 過去ブログ:2017年11月体制の近代化と粛清の嵐 サウジアラビア
2017年9月には、皇太子一行が、秘密裏にイスラエルを訪問したとの情報もあり、中東での影響力が弱まったかに見える米国に代わり、サウジの存在とこれからの出方が注目されている。今サウジは、あらゆる国際関係を再構築しながら軍事面、経済面における計画を積極的に進めるサウジの姿が見えつつある。国内では女性の権利を向上させるなど近代化の動きも見せ、豊富なオイルマネーだけでなく、国際金融機関や海外からの投資も受け入れ、自らも積極的に海外への投資を実現化させ、周辺国との関係を強化している。この動きに、筆者はどこか戦後のアジアでの日本の動きに似ていると思っているのだが、、。
実際、最近話題になったのはサウジの、親イランロシアへの接近で、サウジはロシアのLNG基地への大型経済投資と新型ミサイル購入という、米国の血圧が上がりそうな展開を見せている。言うまでも無くサウジアラビアは世界有数の産油国で、天然ガスの埋蔵量も世界6位と豊富だ。しかし、国内では天然ガス需要が急増しており、ロシアを含めた世界の天然ガス開発投資に強い関心を持っているというのが、表向きの説明である。
LNGの世界最大の輸入国は日本だが、大気汚染への懸念から、中国の輸入量も急増し、世界第二位になろうとしている。 参照記事 参照記事 参照記事 参照記事 参照記事 参照記事 過去ブログ:2018年1月イエメンの戦況は3つ巴 暫定政府内で分離派が武装蜂起 2017年11月体制の近代化と粛清の嵐 サウジアラビア 6月国家崩壊寸前のイエメン