一方のオポチュニティーは写真のようなロボットで、着陸時にクレー ターに落ちたが、それが不幸中の幸いで、地表断面を分析することが出来、思わぬ資料を地球へ送信した。自力で落ちたクレーターをやっと抜け出て、地表面を 走行中に砂地に車輪をとられ、あわやここまでと研究者があきらめかけた。科学者は地球上に同じ模型を作り懸命に火星の小さなロボットに指令を送る。しか し、どうしても砂地から脱出できないとあきらめかけた5ヵ月後に、この小さなロボットは自力で脱出に成功する。発電能力の落ちた太陽電池にむち打って必死 に働こうとするロボット、更に今月(2007年9月)、数日前に大きなビクトリアクレーターの淵に到達し、今その斜面を降りてまだ役目を務めようとしてい る。今、巨大なクレーターの内側と外側に足を乗せて止まっている。
というのが去年2007年9月に書いた火星探査機オポチュニティーのブログだった。直径800mのビクトリアクレーターの淵で懸命に底に降りる経路を探していた。すでにこのとき、90日の探査機の寿命を3年半も延ばしていた。それから1年たった今2008年にニュースが入った。なんとオポチュニティーは生きていた。 それもクレーターの底部分の探査を終えてクレーターの崖を時間を掛けて登りきり平地に戻ったという。
下の写真は左から、クレーターの周りで降下地点を探し ていたときの移動跡、真ん中はクレーターの崖の部分、下はクレーターから這い上がり平地部分へ戻った写真で、車輪の跡とクレーターの底が写っていいる。
この探査機は、2004年1月25日、火星の赤道付近にあるメリディアニ平原、後にイーグル・クレーターと呼ばれるクレーター内部に軟着陸し、もともと90日の設計寿命を想定し開発された車両が、もう約5年近くも作動している。弱った太陽電池に時間を掛けて充 電し、クレーターの周りでまだ鉱石調査を続行するという。これを奇跡と言うのかも知れない。すでに回路不良やモーターの急停止など不具合を抱えているが、 かろうじて生きている。いや、生きようとしている。双子のスピリットはすでに動かくなったようだ。