2012年09月

一連の反日運動、その後の日本の対応について中国の環球時報は記事「釣魚島防衛は持久戦を戦わなければならない=速戦では目的は達せられない」を2012年9月25日掲載し、「中国の世論は通常は対外闘争に参加することはないが、ひとたび愛国心に火が着けば過激化してしまう。その意味で世論が政府に与える影響力は日本や欧米以上だ。、、今、中国社会は社会転換、国家台頭のきわめて重要な段階にある。こうした時期に長期にわたり日本に圧力を加えつつ、社会の安定を保てるのか不安に思う者もいる。両者の関係を誤れば、中国社会は早晩、「内乱」に陥るだろう。、、」と書いている。

自ら反日に火を付けておいて、堂々とこういう言い方をするのにはあきれるしかないが、その反面、この問題の長期化は中国の足を引っ張る結果になるかもしれないと思っているようだ。参照記事

makati中国にとってはそんな悪影響のひとつとなるのだろうか、中国の周辺国が、自国への日本企業の移転に積極的だ。2012年9月26日、フィリピン貿易産業省のパンリリオ次官Philippine Trade Undersecretary Cristino Panlilio は同日本企業15社に対して優遇策を提示し、 中国からフィリピンへの工場移転を呼び掛けたと発表した。同次官は、「フィリピンは他国の危機に乗じているわけではなく、日本人を助けたいだけだ。」と表明し、この事は9月27日、中国でも報道された。フィリピン政府は日本企業に税制優遇措置、高等教育人材、安定的な経営環境を提供する方針だが、フィリピンには根深い汚職体質や政治腐敗が横たわっている。また、過去には軍事クーデターも起きていることが、企業進出を慎重にさせる原因だろう。参照記事 英文記事

中国側報道:「菲律宾拉在华日企转移投资」(フィリピン、在中国日本企業の移転・投資を取り込みへ)、中国「網易」は「菲律宾邀在华日企转移投资 否认乘人之危」(フィリピン、在中国日本企業の移転・投資を要請=危機に乗じたものではないと否定も)写真はフィリピンの首都・マニラ郊外に位置する“フィリピンのウォール街”マカティ。

フィリピンはすでに、中国と黄岩島(スカボロー礁)の領有権問題にからんで対立しているが、中国が最近、中国が行った鉄道建設の融資の回収を求めてきたと述べ、フィリピンは中国側の求めに応じ2年で完済する予定を公表した。過去ブログ:日本にも当てはまる、中国のフィリピン沖進出  フィリピンの毛派テロ拡大傾向
nappi11 at 00:47│Comments(3)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加
tibetans-second-general-meeting-3052012年9月26日、中国環球時報は亡命チベット人による第2回特別会議を取り上げた。

9月25日、インド北部ダラムサラ (ダラムシャーラー、Dharamsala in Himachal Pradeshで亡命チベット人や海外から集まった426人による*特別会議が始まった。中国では2009年3月以来、51人のチベット人が焼身抗議し、うち 41人が死亡した。これらの事件を受け、今後どのように活動していくか。チベットの人々をいかに絶望から解き放つか。世界26カ国から集まった参加者が話 し合った。 *中国自治区チベット外に中央チベット政府: Central Tibetan Administration (CTA)という亡命政府を設け、チベットの独立と人権活動を行っている。

indiamapmapindia亡命議会のペンパ・ツェリン議長は「中国はチベットを巨大な監獄に変えようとしている」と発言した。AFP通信は「チベット人の絶望感はますます 深刻になっている」と報道。ボイス・オブ・アメリカはダライ・ラマDalai Lamaの中道路線は若い亡命チベット人の支持を失いつつあり、強硬策を唱える声が高まっている と報じている。参照記事 

4bd07d35-s現在、チベット人のうち14万人が国外に住み、そのうち10万人がインドに居住していると言われている。会議では、ロブサン・サンガイLobsang Sangay亡命政府首相:写真 がスピーチの中で「我々の世代はこの地上からチベットが抹殺されるというチャレンジを受けている。我々はチベット内地のチベット人を助けるために更なるキャンペーンを行わねばならない」と述べ、中国に住む3億人の仏教徒との連携を訴えると同時に、世界中での活動の強化方針が確認された。今回の会議にダライラマは参加せず、サンガイ亡命政府首相が全権委任されている。参照記事 英文参照記事 過去ブログ:チベット史(4)開放?これが。  中国はいかにチベットを侵略したか チベット(5)
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2012年09月30日  科学化学テクノロジー 
無題奈良県高取町の奈良県森林技術センターは、竹の粉を80%混ぜ込んだバイオマスプラスチックを、独立行政法人産業技術総合研究所、国立大学法人京都工芸繊維大学、シヤチハタ(株)と共同研究を実施して、実用化のための技術を確立した。試作された印肉ケースが売り出されて好評のほか、新たな引き合いもあるといい、担当者は「利用が拡大して、 プラスチックの原料・石油の節約に結びつけば」と話す。 写真は、試験販売を開始した竹バイオマスプラスチックの印肉ケース(写真提供:シヤチハタ(株))

無題低温炭化により竹粉は疎水化されて、80%の竹粉率であっても、①熱可塑性プラスチックとの相溶性が改善され、結果として成形時の流動性が良く、②成形品の強度性能が改善、③成形品の吸水性やそれに伴う寸法変化が著しく抑制、④耐久性が向上することなどを確かめ、産業技術総合研究所と共同で特許出願を行った。PDF参照記事(試験データ含む)

竹林は過疎化や住民の高齢化が進む山間部で手入れが行き届かなくなっており、センターは、県内で面積が この20年で約2~3倍に増えていると推計。このため、プラスチック原料として活用できないか検討していた。竹は硬くて粉砕しにくいうえ、栄養分が多いため腐りやすく、シロアリの被害に遭いやすいという難点があった。 しかし、センターが2007年から京都工芸繊維大(京都市)などと共同研究を続けて竹を約230度の高温で 蒸し焼きにする技術を開発し、課題を解消した。

無題この技術で製造した竹の粉は、従来の木の粉より丸くなるのが特徴。プラスチックに混ぜる際も、約50%が 限界だった木の粉より多い80%まで可能になった。細工もしやすくなり、複雑な立体を作ることも可能になったという。このプラスチックで、共同研究に加わる印鑑大手「シヤチハタ」(名古屋市)が高級印肉3種 (5250円~1万500円)のケースを製作し、1月からインターネット上のアンテナショップで販売。約40個が売れたという。自動車の車体メーカーからも内装への活用を打診されており、センターの伊藤貴文木材利用課長は「今後、家電製品などへも広がれば、さらに省資源につながる」と話している。参照記事に加筆、編集 写真下は、各種成型品
過去ブログ:カニの甲羅から高強度・低熱膨張プラスチック  とんでもない新素材 新プラスチック iPP
問題はコストだが、それについての説明はない。
nappi11 at 00:45│Comments(1)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加
Ileana_Ros_Lehtinen_YAM_MAKERS3_0102-Ileana-Ros---Lehtinen_A「中国は海洋紛争の関係諸国に対し好戦的な暴漢のようにふるまい、とくに日本に向かって官営メディアやブログが国内の反日感情をあおり、各都市で反日暴動まで起こしているが、米国はあくまで同盟国としての日本を支援します」

この発言は、米国連邦議会の下院外交委員会がつい9月半ばに 開いた南シナ海などでの中国パワー拡張についての公聴会で発言した イリアナ・ロス・レイティネン(Ileana Ros-Lehtinen)委員長(野党:共和党)の発言で、その冒頭で委員長は、中国の南シナ海から西太平洋での行動を無法だと非難し、その軍事の攻撃や威嚇には米国海軍を使っても日本やフィリピンを守るとまで明言した。参照記事
これは、過去に何の紛争も制圧、解決できなかった、民主党オバマ大統領への当てつけともとれる。

与党民主党オバマ政権に対して委員長は以前から、外交面で弱腰だとして批判的な方だ。キューバ出身(小学生の時にキューバから亡命し、今はフロリダ州選出)とはいえ、顔立ちやLehtinen:レヘティネン という姓からフィンランド系の家系の出身だと想像できる。同議員は共産主義のカストロ政権への反対が強く、北朝鮮や中国の人権弾圧にも遠慮のない非難を表明してきた事から、一部では親韓派といわれることもあるようだ。過去に議員は日本の拉致問題にも積極的にかかわり、議員28名と共に「日本人の拉致問題を北朝鮮が解決しない限り、アメリカは北朝鮮とまともに付き合わない」という趣旨の法案も出している。拉致問題に関しては他に、ハワイ選出の上院の超大物のダニエル・イノウエ議員も高齢ながら活躍している。レイティネン議員は委員長就任が決まった2010年12月上旬の声明でも「無法国家や独裁国家の責任を追及し、同盟諸国との連携を強める」ことを強調し、共和党優勢で影響力の強くなっている下院の中で注目すべき人物だ。参照記事

200px-Howardberman中国批判はオバマ政権と同じ民主党の同外交委筆頭メンバーのハワード・バーマンHoward Berman議員からも出ていて、「南シナ海などでの今回の緊迫は中国側が一方的に火をつけました。中国の領有権主張はいつも膨張的で根拠が不明確なのに、いままたさらに攻撃的、挑発的となった。オバマ政権は中国のアジア海域での覇権の拡張を許さないでしょう」 と語っている。

反日デモも落ち着きをみせ、過激な破壊行為を行った者たちが相次ぎ逮捕されている。ある都市は破壊行為を行った47人を逮捕したが、取り調べで内12人は尖閣諸島がどこにあるのかさえわからなかったという。こんな連中の大暴れを、中国政府は大衆の世論であり、愛国心の表れだと言う。この浅はかな国策デモで中国が得たものは、世界からの不信感だけだったのではないのか? 参照記事
過去ブログ:歪んだ中国を米国教授が分析 米国 「一番公正な歴史教科書は日本」米スタンフォード大学

20reutersmedia12年9月28日:
9月28日、中国の英字紙チャイナ・デーリーは、米紙ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストに「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国領」と題した広告を出した。写真はタイムズ紙  中国の人権活動家・胡佳氏はこのほど、自身の友人数人が国家安全部(省)警察に10月11日から18日までの間、北京から離れるよう警告された、と英BBC放送に明かした。共産党大会はこの期間中に開催される可能性が大きいと胡氏は見ているというが、第18回党大会は11月8日から北京で開催されることが決まり、9月28日発表されている。10月11日から18日までの間は何を意味するのだろうか?過去ブログ:反日デモの背景が透けてきた 中国  悪魔のビジネス 中国
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003074-isleworth-mona-lisa2012年9月28日:イタリア・ルネサンス期の芸術家レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci:1452–1519)が描いた 世界で最も有名な絵画「モナリザ(Mona Lisa)」──その若かりし姿を描いたとされる 肖像画「アイルワースのモナリザ(Isleworth Mona Lisa)」について、スイス・チューリッヒ(Zurich)のモナリザ財団(Mona Lisa Foundation)は2012年9月27日、財団が40年の調査の結果、モナ・リザより先にダヴィンチが描いたもう1枚のモナ・リザである事がわかったと発表した。 このことは、制作年代的にはルーブル美術館にある有名な方がコピーとも言えるが、フィレンツェの裕福な絹の貿易商デル・ジョコンドの2番目の妻Lisa Gherardini(リザ・ゲラルディーニ、またはリザ・デル・ジョコンド Lisa del Giocondo)の若いときと、晩年を描いたダビンチの力作であることは事実のようだ。しかしまだ謎は多く、今後も多くの話題を投げかけるだろう。関連ブログ;2012年10月「モナリザ」の遺骨か?イタリア

161886045「アイルワースのモナリザ」は、19世紀末には英国貴族が英国アイルワースIsleworth の邸宅に所有している事が確認され、その後長らく1960年代に購入した米国人個人コレクターのヘンリー・ピュリツァー (Henry Pulitzer)氏が所有していたが、同氏の死後40年以上、スイスの銀行の金庫に 保管されていた。後の2008年に匿名の国際財団が、ピュリツァー氏の伴侶だった女性の 遺産から購入し、モナリザ財団に鑑定を依頼していた。モナ・リザ財団の調査では顔料が16世紀のイタリア・フィレンツェで使われていたもので、2つの構図を比べるとダ・ヴィンチが同じ構図で描いたものと判明したという。
2億4000万画素の超高画質で撮影出来るカメラを開発した工学技師のパスカル・コットPascal Cotteさんは、マルチスペクトル・カメラを用いてモナ・リザを撮影し、データを解析してニスが変色する前の姿を突き止め、分析では、ごく細い筆で、10年ほどもかけて細かな点描で、微細に輪郭がぼかして描かれたとされている。美術史家ジャック・フランク氏によれば、これはダビンチの、物には輪郭や線はないという考えを具現化していると説明されている。

img_1723006_36294574_0「アイルワースのモナリザ」と「モナリザ」の顔は驚くほど似ているが、「アイルワース」のほうはモデルの年齢が明らかに若い。また背景の風景は下絵のままで、両脇には柱が描かれている(写真下)。モナリザ財団によれば、こうした特徴は「未完のモナリザ」として歴史上登場する記述に よく似ている上、ダビンチと同じイタリアの巨匠ラファエロ・サンティ(Raffaello Santi)など他の画家が 当時描いた「モナリザ」の模写;写真右 (左側が最初の素描で、右側は Lady with a Unicorn(処女と一角獣)ラファエロ1505年頃の作品。)やスケッチの特徴と一致しているという。同時代の画家、ラファエロはモナ・リザに衝撃を受けて模写したとされ、その絵にはルーブルのモナ・リザにはない柱が描か れているが、アイルワースのモナ・リザには同じ柱が描かれている。 モナ・リザ財団の調査では、二つのモナリザの顔料が16世紀のイタリア・フィレンツェで使われていたもので、2つの構図を比べるとダ・ヴィンチが同じ構図で描いたものだった 事がわかったという。
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モナリザ財団がジュネーブ(Geneva)で開いた記者会見は、報道陣やテレビカメラで いっぱいになった。鑑定結果を証言するために、同財団によって会場に集められた専門家たちは、「アイルワースのモナリザ」はダビンチが「モナリザ:制作時期1503~1506年」の10年ほど前(別記事で11年~12年前)に描いた 未完の作品だと述べた。 その後、この絵の存在が確認されたのは18世紀末’(別記事で1800年代末とあるので19世紀末とも)になってからだった。参照記事 2011年5月日本語YOUTUBE  2012年9月英語版YOUTUBE映像
所有者の匿名財団を代表して出席した美術商のデビッド・フェルドマン(David Feldman)氏は推定価格を明かさず、個人に売却するよりも一般公開できる 状態のほうがふさわしいとの見解を述べた。すでに「モナリザ」を所有するルーブル美術館はコメントを拒否したといわれている。 参照記事 英文記事 

Martin-Kemp-a-donne-un-nom-a-la-Belle-Princesse_article_popin本物との鑑定に対し、オックスフォード大学の教授マーティン・ケンプMartin Kemp, an Oxford University professor氏は、直接この絵を鑑賞したことはないことを認めつつ、模写であると主張している。ケンプ氏によれば、アイルワースのモナ・リザは、女性のヴェールや髪の毛のほか、衣服をおおう透明な層、手の組み方といったオリジナルの繊細なディ テールを写し損ねており、また模作にありがちなことだが背景の大気と女性の表情にもとらえどころのない深みが欠けていること、さらにレオナルドが好んだ木 板ではなくカンバスに描かれていることなども模作であることを疑わせるとしている。 またケンプは赤外線反射光とX線による検査もこの絵の作者がレオナルドではないことを非常にはっきりと示していると述べており 'The infrared reflectography and X-ray points very strongly to its not being by Leonardo、モナ・リザが若くみえるのもあくまで模倣者がそのように描いたからではないかと語っている。参照記事 英文記事 

2013年5月11日放送 21:00 - 21:54 TBS 世界ふしぎ発見!「2枚目のモナリザ」
151211HiddenPortraitMonaLisa2015年12月9日:フランスの科学者で工学技師のパスカル・コットPascal Cotte氏は、多重スペクトルカメラでルーブルのモナリザの表面に強い光を当てて反射を測定(LAM技法:Layer Amplification Method)し、絵の具の層と層の間に描かれた内容を浮かび上がらせることに成功し、モナリザの微笑の下に3つの肖像画が隠されていたことが分かったと発表した。この女性は遠くに視線を向けていて、頭、鼻、手は大きめに、唇は小さめに描かれ。モナリザのような微笑は浮かべていない。コット氏はこれこそがジョコンドの真の姿だと確信したといい、この発見について「多くの神話を打ち砕き、ダビンチの名作に対する私たちの見方を一変させかねない」imagesjjhと語ったとされる。右の画像が、同氏がLAMで復元したというモナリザの下に“隠された”ポートレイトで、彼は、ダビンチが描いた別な女性ともいっているようだが、これには懐疑的な意見もあるという。この復元した絵には、しっかり眉毛も描かれている。 参照記事 参照記事 参照記事
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