アジアで唯一、直接の戦争も紛争も無い日本では想像しにくいが、アジアでは難民が急増している。戦争終結も近いだろうスリランカでは、スリランカ政府軍が反政府勢力「タミル・イーラム解放のトラ(Liberation Tigers of Tamil Eelam、LTTE)」が提案した「停戦申し入れ」を一蹴し、数百から1000人程度のLTTE敗残兵殲滅に向けて攻撃を続行している。未だに最大5万人いると言われるタミル人難民は、LTTTEからの攻撃とスリランカ軍の砲撃、空爆の十字砲火の下を逃げ惑い、死傷者の数は計り知れない。国連の人道支援チーム、マスコミの進入が禁止され、どれほどの被害が出ているかも不明だが、恐らく今世紀最大規模の死者が出ているだろう。スリランカ紛争以前のブログ記事
スリランカ政府軍の安全圏へにげた難民は政府軍から過酷な扱いを受ける事は必至で、多くが命がけで密航船でインド南部に避難している。粗末な船が転覆したり、LTTE狩りで攻撃を受け多くが海上で亡くなっている。陸上の難民への食糧支援はスリランカ政府軍により意図的に禁止されていて、推定で16万人以上の難民が飢餓に瀕している。ここの難民の一部がオーストラリアを目指していると言う情報がある。相当な距離があり、途中の島々に上陸しながらオーストラリアを目指す。右はその経路。
パキスタンでは、パキスタンタリバンが首都近郊まで攻撃を始めたことで、新たに3万人の難民が発生し、すでに1月時点で20万人に上る国内難民も含めて深刻な状況になっている。パキスタン政府軍は徹底攻撃の構えで、パキスタンは深刻な内戦状態に突入した。この国の難民は少なくても20数万人。難民キャンプが戦争地域に巻き込まれる事で事態は深刻だ。
イラクでは長い戦争で宗教対立などで約350万人が国内難民になり、多くが近隣のヨルダン、シリヤに流れ込み、それらの国の経済を圧迫している。一部はイラクを脱出し、船でインドネシアを経由したりでオーストラリアに向かっていると情報が流れている。オーストラリアが人道的見地から難民受け入れに積極的なためだが、オーストラリアも不法移民は治安上問題があり、対策に動き出した。
そのほか、紛争の続くミャンマー、タイなどからの難民もオーストラリアを目指しているが、その数は把握すら出来ない。
こんな状況で、アジアは難民であふれている。日本に直面する難民問題は北朝鮮であり、現政権の成り行きでは多くの難民が日本海側に押し寄せる可能性がある。日本には現在多くの在日と呼ばれる人がいるが、元は彼らは朝鮮戦争が起きた1950年代に行き場を失った難民だった。そのとき日本は特別在留許可を出す事で日本定住を受け入れた。そろそろこの問題を真剣に考える時期だろう。