大物麻薬密売人の手下で、メキシコ最北のバハカリフォルニア州エンセナダ(Tijuana近郊)で 22日に逮捕された男が、これまでに約300人の遺体を酸(caustic soda苛性ソーダ)につけて損壊したと自供した。逮捕されたサンティアゴ・メサ・ロペス Santiago Meza Lopez 容疑者は、麻薬密売カルテル Arellano Felix drug cartelと抗争を繰り返す有力者テオドロ ・ガルシア・シメンタルTeodoro Garcia Simenta (:通称 EL Teo 職業、麻薬、誘拐) の部下を自称し、遺体損壊作業で毎週600ドル(約5万3000円)の報酬を得ていたと述べた。遺体はガルシアへの借金があった者や、同氏を裏切った者だったという。同容疑者は寛大な措置を求めている。被害者の多くは対立するカルテルのメンバーと言われ、犯人の住んでいた国境沿いのtijuanaだけで昨年700人以上が行方不明になっている。この国境沿いの街がアメリカへの密輸の拠点のようだ。メキシコ麻薬カルテル勢力図
この男、仲間からは ポゾレ料理人(Pozole、メキシコのシチュウ料理、シチュー料 理人 PozoleMaker、英語ではstew maker) と呼ばれ、運び込まれる遺体の処理については「何も感じなかった」と言い、一番忙しかったのは2007年12月で、32人を処理したと供述している。
メキシコの麻薬犯罪が、すでに警察の手に終えないので軍隊が鎮圧に当 たっているのは知っていた。以前には報復を恐れた警察署長がアメリカに逃げたほどだ。それにしても300人以上を溶かしたとは恐れ入る。(追記:その後の調査で、2018年3月、ロペスが酸で処理した人数は650人以上と判明した。麻薬組織が溶かして遺棄した300人分の遺骨発見>650人分に )
右の写真は麻薬カ ルテルのボス、テオ と溶かした遺体を処理したレストランの外にある現場、青いポリタンクは酸と溶けた遺体が入ったまま通りに放置されていたもので、タ ンクには、恐らくテオの手書きと思われる「歯むかう奴はこうなる」というメッセージが貼ってあった。恐らくこれもロペスが処理したものと思われている。こ のカルテルのボスの殺人は残酷で有名で、バラバラにする、首を切る、顔をそぐ、橋からぶら下げる、ガソリンで燃やす、それも人目に触れるようにしたり、 メッセージを残すのが特徴で、敵対するギャングに送り込まれたヒットマン十数人が市内で同時に殺された事もある。メキシコの抗争では1日平均5人が殺害さ れているといわれ、昨年で2007年の倍以上の5700人以上が殺害され、今後の行方不明者の確認にはアメリカやニューメキシコ政府のDNA鑑定の支援が 必要になる。 2010年1月テオ逮捕される
2011年2月22日:ティファナ市Tijuana検察局は、上記のロペスの遺棄した人間のものと思われる死亡や皮膚、骨片などを発掘したと公表したが、人間のものかどうか鑑定中。アレラノ・フェリックス・カルテルArellano Felix cartelの4人の兄弟は、2002年から2008年10月のEduardo Arellano Felixの逮捕や殺害により組織は崩壊状態になった。ここにシナロア系、独立系組織が浸透し抗争が複雑化している。2011年1月22日のブログ:シナロアの地方ボス、CICDのリーダー逮捕