インド ムンバイ テロリストとインターネット

20081129112111932734_8  死者195人以上(情報ではでは300人近い)というインド、ムンバイ(旧名:ボンベイ)の虐殺事件もほぼ収束に向かっている。すでにいろんな分析が始まっているが、水曜日の攻撃については特徴的なことがある。最初に大量虐殺、乱射が起きた鉄道駅の場合やホテル内での虐殺には米国人、英国人が選別されたこと。これは1970年代に頻発したパレスチナゲリラのジハード:聖戦 とよばれた飛行場での大量殺戮や、イスラエルの飛行機ハイジャックやイスラエル人とアメリカ人が人質のターゲットにされたのとよく似ている。インドでは過去6年間に600人以上がテロで亡くなっているが、今まではほとんど無差別爆弾による攻撃で、今回の状況とはかなり違う。(写真は29日のタージマハールホテル)

今回のグループがロシア経由のメールの中でデッカの聖戦士イスラム過激派Deccan Mujahadeen, Islamist extremists を名乗っているのも特徴で、過去の事件にも大きく関係していると思われ、今後注意すべきグループだろう。彼らの拠点はインド南部の八つの州にまたがっており、過去、5月のジャイプールでの死者63人、7月のアフメダバードの死者45人の犯行も主張している。この犯行声明から、彼らがイスラム原理主義のタリバンやアルカイーダ:Taliban and Al Qaeda と連携していることがうかがえる。

逮捕されたり射殺された犯人の内、数名が英国籍のインド系の疑いが濃く、彼らの供述から訓練キャンプが隣国パキスタンにあることも判明。一部では、核兵器を保有するパキスタンとの関係を、将来テロ組織が核兵器の使用も可能だとの見方もしている。インドとパキスタンは国境紛争などで長いこと対立しており今回の事件でにさら対立を深めた。パキスタン政府は関与を認めず今後の調査に協力を申し出ている。 blackberry-pearl

犯人の遺留品の中にカナダの会社が開発した 携帯情報端末 ブラックベリー:BlackBerry mobile phones が少なくても5個見つかっており、ケーブルTVが遮断されたホテルの中でもこの端末でインターネット情報を入手したり電話をしていたようだ。端末には英国のサイトを見ていた形跡やパキスタンの誰かとコンタクトを取った履歴があり、英語だけでなくアラビア語クルド語サイトなどからも情報を取っていたようだ。これはビジネス用にアメリカなどで広く利用されている。

article-1090546-02A33527000005DC-713_468x321 29日土曜日になってもタージマハールホテルにいる、おそらく一人の犯人と交戦中。人質がいるようなので慎重に対応しているようだ。判明している外国人死者には英国人、米国人、イスラエル人、フランス人、ドイツ人、カナダ人、シンガポール人、オーストラリア人、日本人、イタリア人が含まれ(判明している死者は21人)、インド警察側の死者は14人が判明している。逮捕された少なくても3名はパキスタンにベースを置く カシミール独立派のカシミール独立戦線:ラシュカレ・タイバLashkar-e-Taiba(LeT), which means army of God のメンバーと確認されている。彼らは船で水曜の早い時間にパキスタンのカラチを出航し、夕方ムンバイにゴムボート(写真左)で乗りつけた。武器などは計画的にホテルの内部などに隠してあったようで、決行前に部屋を借り、ホテルの中で計画を準備していた。

この記事を書いている日本時間29日土曜日正午タージマハールホテルの最後の犯人が射殺され人質事件の掃討作戦は完了した。(この記事に関連した前のブログ

2008112803154428580_32 写真は市内を巡回するインド軍。LeTは,パキスタンに本拠を置く反米宗教組織Markaz-ud Dawa-wal Irshadの武装部隊を起源とし,パキスタンの情報機関Inter-Services Intelligence (ISI) から資金提供を受けていました.2001年12月,米国により海外テロリストグループに指定された後,パキスタン政府は彼らの資産を凍結しましたその後,LeTは,パキスタンでの宗教活動と切り離して武装部門を再編し,今に至っています.インド全域のイスラム支配を目的とする原理主義グループとして,オサマ・ビン・ラディンの組織する反米・反イスラエルの聖戦会議ユダヤ・十字軍に対する聖戦のための国際イスラム戦線)の一員であるとされています.



nappi11 at 12:58│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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