昨日の報道ステーションで兵庫県の幸福重信さんが紹介されていた。以前は自分のりんご園が熊に食い荒らされ「これからどないするかと。頭が真っ白になって。熊を殺してやろうとすごく怒りを感じたんですけどね」と思ったという。その後、以前の山林での仕事の経験から、戦後の人工的な森林破壊が原因と知り、今は広葉樹を植林、熊へのえさの補給など、経験からの熊対策を信念を持って行っている。結果はくま被害の激減となり、今は多くのボランティアも参加しているというドキュメントだった。

実はこの映像の元になったのは『人とクマと森と』という伊川谷北高校の生徒の作ったVTRがもとだった。以下にその紹介記事の一部を転載する。

「幸福さんは5年前、育てていたリンゴ1万2,000個をクマに食べられてしまいました」
<幸福重信さん>「これからどないするかと。頭が真っ白になって。熊を殺してやろうとすごく怒りを感じたんですけどね」

商売道具であるリンゴを、クマに食べ尽くされてしまった幸福さん。ところがその後、クマを駆除しようとするのではなく、クマが暮らしやすい森を作る活動を始めたというのです。

<伊川谷北高校 石谷成美さん>「大切にリンゴを育てていると思うので、そういうことされたらクマには腹が立つというか怒りでいっぱいになると思うが、それを押さえて、それよりもクマと共に生きたいと考えているのがすごいと思った」

恨んでいるはずのクマをなぜ守ろうとするのか。私たちも、幸福さんに話を聞きました。

<幸福重信さん>「100キロクラスのクマが出てくると、一晩200個はペロッと食べてしまう」 リンゴが食べつくされたのは今から6年前のこと。しかしその後、ある工夫をしたことで被害は少なくなったといいます。それがこの「えさ場」。山とリンゴ園の境目の土地に売り物にはならないリンゴを置き、動物に自由に食べさせるスペースを用意。すると、クマが柵を乗り越えてリンゴ園に侵入することはほぼなくなったといいます。

<幸福重信さん> 「くずリンゴでも、食べて満足して帰ってねと。こういう対策をしてるから、僕のリンゴ園には入ってこない」ただしこれは時間稼ぎ。本当に被害を防ぐには、クマが暮らしやすい山を復活させることしかないといいます。、、。

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日本熊森協会 という保護協会も活動しています。今年はドングリなどの木の実が6~7年周期でくる「凶作」の年に当たり、かってないほどエサが不足しているため熊が人里におりてきていると見られ、太平洋戦争後に、松、杉、ヒノキの針葉樹を植林しすぎた山林政策のツケだといえる、という分析もある。今年は熊の出没が多く、残念だが射殺されることも多い。これに対し「かわいそうだ」といえば、必ず感情論だ、判断が情緒的だと判断される。しかし、第3者の目で見て、それがかわいそうだと見る目があるというのは大事なことで、命あるものが殺されることに対し、それが動物であれ哀れを感じるのは大事なことだ。大衆の中から、失われる生命に対し哀れみがなくなることは大きな「何か」の損失だろう。殺さない、殺されないことの努力で人間は進歩してきた。それを放棄すれば歴史を逆行し、自然を、同時に人間性を取り戻すという人間の希望からはどんどんかけ離れていくだろう。これは、死刑制度や戦争の是非、国家間の援助にも通じる大きな判断の一つで、高校生たちの感じることが健全だということを大人は改めて認識しなければならない。人間がルールを決めて、ここまで来れば殺すというのがある。しかし、相手は野生である。人を嫌い、何のしつけもされていない野生である。彼らにしつけの良さを求めても通じるわけも無く、如何に困難でも共生していくことを模索するするのが大事なことではないだろうか。上の幸福さんの言葉から感じたことだ。参考:どんぐりの送り先 参考サイト:日本熊森協会石川県支部



nappi11 at 09:06│Comments(6)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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コメント

1. Posted by みさ   2010年10月28日 09:51
幸福さん
ほんと幸福さんですね。

2. Posted by どら   2010年10月28日 11:51
いいはなし。
3. Posted by 九州の案山子   2010年10月28日 12:53
こんにちは 九 州 寒いです 白い恋人抱いて 昼ね します
12時ヤマトさん 来ました
熊の件 私も 協賛します 人が原因 作ったのです
九州の話しですが 山林 国が補助して杉檜 植林しました
どんぐり クヌギ 実物 山にありません 野獣餌 ありません
人里出るのも 当たり前の事です
生きる為ですから
4. Posted by よしつね   2010年10月29日 11:30
一見美談なのですが、この行為は必ずしも正しくないと思います。
ご本人も言われてますが、あくまで一時しのぎです。
たとえば、何等かの理由でリンゴを与えなくなったらどうなるでしょうか、
餌付けに慣れたクマが別の果樹園や近くの町に現れる可能性は否定できません、
そうなれば最悪射殺されます。
どんな理由があろうと、野生の動物を餌付けするべきではないと思います。
5. Posted by よりばば   2010年10月30日 21:44
親子の熊が、柿の木に登り、柿の実を食べ尽くしたというニュースもありました。お腹が空いている事は間違いないようですね。木の実がすくないんでしょうね。たらふく食べないと冬眠できないでしょうし、山に実のなる木を植える事はどうなんでしょうか。勝手には植えられないでしょうねぇ。
6. Posted by 道東民   2010年11月02日 18:15
同じく。個人の思想に意義を唱えるのはどうかとも思うが却って熊のためには良くないとしか思えない。
が、銃で撃つと同程度のの緊急処理としては仕方が無い行為とも思う。
とりあえず、それで熊の被害がりんご園に出ないのなら慶賀ではある。
あるが、人から餌を貰う事を覚えた野生動物は餌の取り方を忘れてしまうことは書いておく。

なぜならば自分もかつては野生動物に餌を与えてしまった人間だったから。
本当に動物を愛し守ろうとする人間は、それが草藁ひとつかみであっても野生動物に「あげる」事は戒める。
かつて、水鳥に餌をあげていた池で、水鳥が水草を食べなくなり餓死した事があったそうだ。
わたしの住む当地では誰も白鳥などの水鳥に餌をあげないのが素晴らしい、と環境保護、野生動物保護をしている友人が言う。

自然は自然のままに。
それが例え都市部の人間の欲求に応えるために作ってしまった自然であっても、そこに更に人の手を加えるのは自然ではなくなる。

中にはドングリをばらまいて自然保護をしてると錯覚している人達がいるとは聞いたが、そんな手抜きはこの歳になって初めて聞いた。

海の資源を守るために森を守る漁師は、その土地の木の実を拾い育てて木にしてから初めて植樹をして来る。

野性動物に餌付けをするのは罪であるとしか、わたしには思えない。
そんなに、熊を人の手で殺させたいのかと。

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